うその答弁に文書の改ざん、言いのがれ、開き直り――。民主主義をなり立たせる最低限のルールも倫理もない、異常な国会が幕を閉じて1週間になる。 豪雨被害、そして酷暑に人々の関心は移り、不都合なもろもろを、このままなかったことにしてしまおうという為政者の思惑が、少しずつ、しかし着実に世の中を覆っていく。 私たちの日本社会はいま、危うく、きわどい地点にさしかかっているのではないか。 ■忠誠が生み出す罪悪 来月3日まで東京・岩波ホールで公開されている映画「ゲッベルスと私」の主人公ブルンヒルデ・ポムゼルは、第2次大戦当時、ユダヤ人虐殺を進めたナチスの宣伝相ゲッベルスの秘書として働いた。顔に深いしわが刻まれた103歳が語る。 「私は、言われたことを忠実にやっていた」 彼女が担った役割は、ナチスの犯罪のごく末端にすぎない。だがそうした小さな悪の集積が大きなうねりとなり、当時のドイツを破滅に追いやった。 「