子供に愛され、大人に嫌われた。そう、テレビコマーシャルのことだ。1960年代、ソ連のテレビ画面にコマーシャルが現れ始め、大きな話題となった。 とはいえ、粋な車やセクシーな口紅、流行りの服のコマーシャルではなかった。ソ連最初のコマーシャルは、トウモロコシの集団が歌いながら健康的な食習慣を促すものだった。 「ソ連のテレビにはコマーシャルがなかった」と芸術チャンネル「ロシア・クリトゥーラ」のプロデューサーで受賞経験もあるリュボーフィ・プラトーノワ氏は解説する。当時、テレビコマーシャルはソ連の商業や文化に全く影響を持っていなかった。 「ソ連経済は国家に統制され、民間企業は一切存在しなかったため、自由市場のツールは基本的に不要だった。その上、当時は物不足で、そもそも『何を買うべきか』より『いつ、どこで買うべきか』が問題だった。結局、現在のような形式、規模、量のコマーシャルを作る意味がなかった」とプラ