レバノンのディアブ内閣が8月10日、総辞職した。首都ベイルートでは、大規模爆発事件の後、反政府抗議行動が激化し、その混乱の責任を取った形だ。しかし、本当の理由はディアブ首相が事件の真相解明に真剣に取り組み始めたことから、同国を食いものにしてきた支配層が、利権の実態など“不都合な真実”が明るみに出るのを恐れ、圧力を掛けたためと見られている。 繰り返される“政治ゲーム” 爆発事件の被害は想像を超える規模だった。死者・行方不明者200人、負傷者6000人、家屋の損壊などを被った市民は30万人に達した。損害額は100億ドルから150億ドル(1兆5800億円)にも上る。旧宗主国フランスのマクロン大統領の呼び掛けで、レバノン支援の国際会議が9日開催され、約2億5000万ユーロ(312億円)の援助が決まったが、焼け石に水の状況だ。 政府や政治支配層の腐敗が爆発事件を招いたとする市民らの抗議行動は爆発直後