高校数学での統計学必修化は間違っている まったく異なる原理を持つ「数学」と「統計学」、だから別の科目にするのが最善 小島寛之 帝京大学経済学部教授 2022年度から施行される新指導要領の案が公開され、高校の数学教育に携わる人々に激震が走っている。最も衝撃的なのは、統計学が数学B(高校2年、理文共通)において事実上必修化され、その割を食ってベクトルが数学C(高校3年、理系のみ)にはね飛ばされる、という変更点だ。数学Bで必修化される統計学とは、「仮説検定」や「区間推定」などの「統計的推定」と呼ばれる方法論である。これは小学校や中学校の統計の授業では学ばない、統計学の核心といって良い部分だ。これまで普通は大学に入ってから学ぶものだった。 これについて、批判点は二つある。第一は、ベクトルが理系のみの学習で良いのか、という点。第二は、統計学を数学で必修化するのは正しいか、という点。筆者の意見では、第