電子書籍の概念は曖昧だ――そう前回の「EPUBフォーマットでの電子書籍の出版に取り組みます」で書きましたが、紙の印刷物と比較してみると、その実体が浮かびあがってきます。今回は、紙の印刷物と電子書籍を比較しつつ、電子書籍に取り組む際の留意点を備忘録がてらまとめてみたいと思います。 画像の扱いをどうするか 電子書籍において、扱いが難しいのは図版(画像)だろうと考えています。その理由が、紙の印刷物と比較したときの電子書籍デバイスの「PPIの乏しさ」です。 PPIは「Pixel Per Inch」の略で、文字どおり1インチあたりのピクセル数を意味します。この値が高いほうがきめ細かい、つまり高精細な画面となります。一般的にPC用モニタが72ppi、家庭用プリンタが150〜200ppi。しかし、電子書籍ビューアと目されるiPhoneやKindleは、いずれも150ppi前後。商業印刷物は300〜350