日本古典文学研究家 ルネ・シフェール(Rene Sieffert) 氏 追悼記事 Le Monde 2004年2月26日版 掲載 Francois Mace 著 恭子意訳 日本文学研究者ルネ・シフェール氏は、かねてから患っていた糖尿病の悪化により、二月十三日に フランス南部のオーリアックで亡くなった。 1923 年8月4日、モーゼル州の Achen で生まれた彼は、享年八十一歳であった。 初めはアルザス州のストラスブール大学で数学を学んだが、第二次大戦前夜の世情により大学が退避したクレルモンフェランの地で、反ユダヤ法ゆえにパリを追われていた 師のシャルル アグノー (Charles Haguenauer) 氏に出会った。 この師こそがフランスにおける、近代日本学の創始者だったのである。 ルネ・シフェールは、こうした非常体制下で日本語の勉強を初め、1946 年にパリの東洋言語学校