■始めに。 吉村昭さんの「白い航跡」という本を読んだ。 主人公は、高木兼寛(たかぎかねひろ)という幕末から明治に掛けて活躍した軍医である。 明治の初期、日本人に多発した脚気という病気について、その治療法について、森林太郎(鴎外)と争いつつ、治療法を発見した人である。 森鴎外という人のもっていた頑迷さで、多くの軍人が亡くなったわけであるが、原因となる物質が見つかっていない時点で、一概に非難もできまい。 筆者が感じたのは、こういう未知の病気とか物質に対する日本人の対応の仕方というものに特徴があると思う。 いいのか、悪いのか…。 それは敷衍して、例えば、現代の ufo とか心霊現象に対する対応にも通じていると思える。 文中で紹介してある、脚気という当時原因不明の病気に対して、森と高木という医者がそれぞれどう対応したか…を比較してみたい。 それは日本人のもつ弱点を顕在化することになろう。 ■まず、