○月×日 今日から解体業のアルバイトをはじめる。 現場は郊外の山奥にある大きな一軒家で、ウワサでは幽霊が出るとか言われていたらしい。他の作業員はみな気味悪がっていたが、自分にはどうもピンとこない。 昼休みに弁当を食べたあと、用を足しに空き家の裏の茂みに入っていったら地面に四角い石柱のようなものが埋もれているのを見つけた。長靴で蹴って掘り起こし小便をかけて表面の泥を洗い流すと、名前と日付のようなものが彫られていた。どうも墓石のように見える。こんなところに転がしておくとは罰当たりな話だ。 ○月×日 ゆうべ変な夢を見た。 夜中にふと目をさますと枕元に女が座っている。ぼろぼろの白い着物を着て長い髪を垂らし、うつむきながらなにか小さな声でブツブツつぶやいている。なにやってるんだろうと思って観察していると、不意に自分の寝顔を覗き込むように顔を近づけてきた。髪の毛に隠れてよくわからなかったが、青白い顔に