“戦後昭和”の解体 その日(2019年11月29日)の夕方、私(筆者)は東京・新宿の寿司店で開かれた一足早い忘年会に出席していた。国鉄分割・民営化を旧国鉄内部から推し進めた「改革三人組」の一人、井手正敬氏(元JR西日本社長)ら旧国鉄関係者とその過程を取材したジャーナリストとの会である。 その席に飛び込んできたのが、元首相・中曽根康弘氏死去の知らせだった。101歳での大往生である。時の総理として「国鉄分割・民営化」の先頭に立った中曽根氏の「狙い」は何だったのか――酒の勢いもあって忘年会の席は俄然、盛り上がった。 中曽根氏の思いは、国鉄を分割することによって、闘争至上主義の国労(国鉄労働組合)、動労(国鉄動力車労働組合)など組合勢力を分断し、最大勢力の国労を解体、国労という大組織が支えてきた戦後政治の一方の旗頭、総評・社会党も崩壊に追い込むことにあった。 それが彼の言う「戦後政治の総決算」だっ
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