1979年は日本のアニメ史の中でも特別な年でした。長年かけて地中に蓄えられていたアニメファンという水脈に『ヤマト』が穴を穿ち、一気に噴き上がった水流の上に鮮やかな虹がかかったような、そんな奇跡的な年だったのです。 劇場アニメでも歴史的な傑作が次々と誕生しました。3月には東映動画の『龍の子太郎』。これは東映まんがまつりの一篇で75分とやや短めではありましたが、監督を巨匠・浦山桐郎さんが務めた異色作で(アニメーション監督は葛西治さん)、主人公の母の声を浦山監督ゆかりの吉永小百合さんが担当されたことでも記憶されます。そしてアニメファン的にはキャラクターデザインと作画監督を東映動画出身の小田部羊一・奥山玲子ご夫妻が務めていることが一番の喜びです。お2人がそれぞれに東映動画を退社されて幾歳月、かつての古巣に戻られて健筆を揮われたことはアニメの歴史がひと回りしたかのような感慨があります。森康二さん以来