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ブックマーク / president.jp (43)

  • 「ウクライナは早く降伏するべき」そうした主張は日本の国益を損ねるトンデモ言説である 「国際法」を守ることは、日本の国益を守ることになる

    多くの人々が、大変なことが起こっている、とは感じている。だがそれがどんな大変さなのか、理解するのは、必ずしも簡単ではないのだろう。そこで稿では、国際法、地政学、政治体制論の3つの視座から、ウクライナ危機が国際秩序に放っている脅威の性格を描いてみる。そしてそれぞれにおける日の立場を確認することによって、日にとってそれらの脅威が何を意味しているのかを見ていくことにする。 明白な国際法違反と言い切れる理由 まず強調しなければならないのは、ロシアウクライナ侵略が、明白な国際法違反だということだ。現代国際社会の秩序は、「国連憲章体制」とも呼ばれる。国連憲章は、世界憲法とは違うが、しかし193の加盟国が国際社会の根秩序について合意した内容を持っているという点で、国際法の体系的な基盤となっている。国連憲章とは、組織としての国連も凌駕りょうがした規範のことである。 今回のロシアの侵略行為は、この

    「ウクライナは早く降伏するべき」そうした主張は日本の国益を損ねるトンデモ言説である 「国際法」を守ることは、日本の国益を守ることになる
  • 「ここだけの話、君だけが頼りだ」負け組から将軍になった源頼朝が使った"殺し文句" 「昔世話してやっただろう」ではダメ

    負け組の「元プリンス」から「反乱勢力の中核」へ 鎌倉幕府の創立者、源頼朝。彼は、武士という専門家集団の一大派閥「源氏」の「プリンス」(当時の源氏のトップ、義朝の子)として久安3(1147)年に生まれた。しかし、彼が13歳だった平治元(1159)年、彼自身も参加した平治の乱によって、源氏は負け組に転落する。勝ち組はもちろん、もう一方の大派閥、清盛の平氏だ。 ここで、清盛は頼朝を殺すこともできた。そうしなかったのは、清盛の温情である。これが、後から見れば頼朝にとっての最大の幸運であり、平氏から見れば、禍根となる。 死を免れたとはいえ、頼朝にはまったく「人事」的な希望はなかった。彼は伊豆に流され、そこで負け組の派閥の「元プリンス」として、生涯おとなしく生きることを定められていた。彼自身、その運命をいったんは受け入れていたはずである。 しかし、頼朝が30代に入った頃、転機が訪れる。都で反平氏の気運

    「ここだけの話、君だけが頼りだ」負け組から将軍になった源頼朝が使った"殺し文句" 「昔世話してやっただろう」ではダメ
  • 「日本式の漫画は韓国・中国に惨敗」大ヒット『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』のカリスマ編集者が挑む"ある試み" 黒船「ウェブトゥーン」から世界へ

    現在TBS系列で放送されヒット中のドラマ「ドラゴン桜」。原作漫画『ドラゴン桜』『ドラゴン桜2』を、作者・三田紀房氏との二人三脚で成功に導いてきたのが、編集者で株式会社コルク代表の佐渡島庸平氏だ。三田作品のほかにも『宇宙兄弟』などの人気作を生みだしたあと講談社を退社し、日のコンテンツビジネスを世界に通用するものとすべく、クリエイターのエージェンシー「コルク」を起業。最前線を走る佐渡島氏が、日のコンテンツビジネスの現状と、その先に見据えるビジョンについて語った──。 「日漫画」は韓国中国に惨敗した 漫画アプリ「ピッコマ」などを展開する韓国企業カカオエンターテインメントが、ニューヨーク市場での上場を計画しています。その際の企業評価額として、同社は約2兆円を見込んでいるとのこと。 日漫画を手がけている大手出版社と比べると、事業規模が文字通りひとケタ違う。この一事を見るだけでも、日

    「日本式の漫画は韓国・中国に惨敗」大ヒット『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』のカリスマ編集者が挑む"ある試み" 黒船「ウェブトゥーン」から世界へ
  • 日本政府が「ミャンマー軍の市民虐殺」に沈黙を続ける根本的理由 外交を歪めてきた「ODA金脈」の罠

    ミャンマー情勢が緊迫している。欧米諸国が経済制裁などに動く一方、日政府の動きは鈍い。東京外国語大学の篠田英朗教授は「ミャンマー問題は、さまざまな日の外交問題を照らし出している。日の外交スタイルは世界標準からかけ離れている」と指摘する――。 強調される「独自のパイプ」とは何なのか 緊迫するミャンマー情勢に直面し、歯切れの悪い日外交の姿が露呈している。「日はミャンマーに独自のパイプがある」といった、言語明瞭・意味不明の言説が頻繁に語られている。しかし2月1日のクーデター勃発から3カ月がたち、これらの言説に実行が伴っていないことは明らかになってきている。そもそもこれらの言説は、具体的にはいったい何を意味しているのか。 4月9日に、駐ミャンマーの15大使が共同声明の形で公表したミャンマー軍を非難する共同声明に、日は加わらなかった。アメリカの同盟国で加わらなかったのは、日と、エルドアン

    日本政府が「ミャンマー軍の市民虐殺」に沈黙を続ける根本的理由 外交を歪めてきた「ODA金脈」の罠
  • 話すときにマスクを外すバカは、なぜ非常識な行動を取ってしまうのか マスクなしに早く戻りたいのに…

    マスクをする目的は、自分の身を守るためではなく、他人に感染を広げないためだ。しかし普段はマスクをしているのに、肝心な会話のときにマスクを外してしまう人がいる。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリン氏は「マスクをするのは相手に失礼という感覚が抜けきらないのだろう」という――。 日も欧州も常識になったマスク、しかし… 11月26日、兵庫県市川町の中学校で生徒20人に新型コロナ感染が確認されたというニュースがありました。この学校では全校生徒参加の合唱コンクールが体育館で開かれ、集団感染が起きたクラスの生徒はほとんどがマスクをせずに歌っていたということです。 現在、日でも海外でも「マスクを着用すること」は常識です。それなのに「普段は当たり前のようにマスクをする習慣のある人」がなぜよりによって飛沫が飛ぶ「合唱」や「会話」、「くしゃみ」などの際にマスクを外してしまうのでしょうか。今回はそん

    話すときにマスクを外すバカは、なぜ非常識な行動を取ってしまうのか マスクなしに早く戻りたいのに…
  • 「PC誌元編集長もため息」お客をたらい回しにするパソコン業界の不親切 新品を買ってきてもすぐに使えない

    パソコンにはトラブルがつきものだ。仕事で使うPCなら社内で聞けるが、私用であれば販売元のサポートセンターに問い合わせるしかない。パソコン雑誌『YOMIURI PC』の初代編集長を務めたジャーナリストの知野恵子さんは「新聞社を辞めて、私用PCを買ったが、すぐにはまともに使えない。メーカーとソフト会社をたらい回しにされて、午前中だけで計6回も電話で問い合わせるハメになった」という——。 パソコンを買おうと家電量販店に行ったら… 新聞社を退社した。まずパソコンを買わねばならない。考えた末、会社で使っていたパソコンと同じノート型のウィンドウズパソコンとソフトを買おうと決めた。長年、パソコンやインターネットを使っているが、機械操作は苦手だ。できるだけ慣れ親しんだ環境を再現し、操作のストレスを減らそうと考えた。 家電量販店の店頭でまず戸惑った。価格やスペックが書かれたボードに、ハードディスクの文字がな

    「PC誌元編集長もため息」お客をたらい回しにするパソコン業界の不親切 新品を買ってきてもすぐに使えない
  • 「#スガやめろ」と大合唱する人たちをこれから待ち受ける皮肉な現実 その行動は長期政権を支えるだけ

    9月16日、自民党の菅義偉総裁が第99代首相に選出され、新内閣が発足した。一方、菅氏をめぐっては、SNS上で「スガやめろ」というハッシュタグを投稿する動きもある。文筆家の御田寺圭氏は「左派やリベラル派が政権に対して侮蔑と嘲笑のまなざしを注いでも、賛同者が増えることはないだろう」と指摘する――。

    「#スガやめろ」と大合唱する人たちをこれから待ち受ける皮肉な現実 その行動は長期政権を支えるだけ
  • 「日本の財政は10年後に破綻する」が10年前から外れ続けている理由 むしろ政府は借金を抱えるのが普通

    現代貨幣理論とはなにか? MMT(現代貨幣理論)とはどのようなものなのか。MMTでは貨幣を借用書として捉えている。この借用書はIOUとも言うが、これは英語で「あなたに貸しがある」というI owe youからもじったものである。 分かりやすく説明するために、太郎と花子に登場してもらおう。 太郎の庭では夏にスイカが、花子の庭では冬にミカンが穫れる。そこで花子は冬にミカンをあげるという借用書と引き換えに太郎からスイカをもらった。 次に次郎の庭では秋に柿が穫れる。そこで、太郎は花子からもらった借用書と引き換えに、次郎から柿をもらった。この時点で、次郎は冬になったら借用書と引き換えに、花子からミカンがもらえる状態になった。 このように、最初花子が出した借用書(負債)は貨幣のようなはたらきをして、3人の世界でやり取りされ、交換媒体として使われている。 仮に太郎が花子とスイカとミカンを物々交換していたら

    「日本の財政は10年後に破綻する」が10年前から外れ続けている理由 むしろ政府は借金を抱えるのが普通
  • 最も人命を奪うのは、「感染症」ではなく「間違った経済政策」である 公衆衛生学者が出した最終結論

    リーマン・ショック後の不況で心と体に傷を負った少女 オリヴィアは黒煙に包まれた恐怖をいまだに忘れられない。 8歳のときのことだった。両親がいつものように口論を始め、台所で皿が割れる音がしたので怖くなって二階に上がった。そして枕の下に顔を突っ込み、泣きながら耳をふさいで騒ぎが収まるのを待っていたら、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。 どれくらい眠っただろうか。ふいに右の頬に裂けるような痛みを感じて目を覚ました。すると部屋に黒い煙が充満し、シーツから炎が上がっていた。オリヴィアは悲鳴を上げ、部屋から飛び出した。そこへちょうど消防士が駆け上がってきて、オリヴィアを抱きとめ、毛布を巻きつけてくれた。 その火事は父親の放火によるものだった。酒をあおった挙句に腹を立て、家に火をつけたのだ。アメリカが大不況〔いわゆるリーマン・ショック後の不況のこと。以下同様〕のただなかにあった2009年春のことで、建設

    最も人命を奪うのは、「感染症」ではなく「間違った経済政策」である 公衆衛生学者が出した最終結論
  • なぜトラック運転手はハンドルに足を上げて休憩するのか 不規則な休憩時間の「合理的な姿勢」

    路上駐車で休憩せざるを得ないトラック運転手の事情 2006年、集荷や集配のための一時的な路上駐車であっても、即刻駐車違反となる「改正道路交通法」が施行され、各宅配業者は対応に追われた。 それでも朝の通勤ラッシュ時には、道路を塞ぐようにして停まっているトラックや、時には長い列を成し、ハンドルに足を上げて寝そべるドライバーたちの姿を目撃することがある。 こうしたトラックは、一般車からすれば邪魔でしかなく、「よりによってなんでこんなところでサボってるんだ」とイライラしたことがある人も少なくないはずだ。 しかし、彼らは決してサボっているわけではない。結論から言うと、彼らがしているのは「時間調整」。トラックドライバーにとって、現状「待つ」という作業も一つの大きな仕事となっているのだ。その事情を説明していこう。 「延着」は事故の次に犯してはならない失態 トラックドライバーの仕事は「トラックの運転」だけ

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  • 「自称声優」が量産される声優業界の混迷 人数は"15年で3倍"に増えている

    成功する声優/しない声優の差が広がっている 現在、声優の役割の拡大やそれに伴う人気増を背景に、肩書きとして「声優」を語る人が急増しています。 テレビアニメや据え置きのテレビゲーム以外に、特に近年では急速なスマートフォンの普及と、それに伴う音声の吹き込まれたゲームの登場で、一昔前とは比較にならないほど声優の需要は増えています。 そうして裾野が広がった分、デビューをしやすくなりましたし、その受け皿としての専門学校も次々に開校しました。また「紅白歌合戦」への声優出演などを通じて、社会的認知度が格段に上がったこともあり、「声優を目指す」ことも公言しやすくなったのではないでしょうか。 一方で失礼ながら“安直”に志願する人も、同時に増えたように感じています。さらに厳しく言えば、成功する声優とうまくいかない声優、その差も以前とは比べ物にならないくらいまで広がったように感じているのです。 声優を目指す若い

    「自称声優」が量産される声優業界の混迷 人数は"15年で3倍"に増えている
  • 「シャブ山シャブ子」を信じてはいけない | プレジデントオンライン

    テレビドラマ『相棒』に登場した薬物依存症の女性キャラクター「シャブ山シャブ子」が話題を集めている。迫真の演技という評価も多いが、国立精神・神経医療研究センターの松俊彦医師は「啓発運動が繰り返してきた間違ったイメージを再現しており、物の薬物依存症者とは異なる。差別を助長する恐れがある」と指摘する――。 複数の医療関係者から「あのシーン、ヤバいよ」と連絡 この数日間、ネット上で「シャブ山シャブ子」なる奇妙な名前が話題となっています。これは、11月7日放送のテレビ朝日系ドラマ『相棒 Season17』の第4話に登場した中年女性の名前です。 その女性は、番組終盤、忽然と白昼の公園にあらわれ、手にしたハンマーでいきなり刑事を撲殺したのです。殺害後に奇声をあげて高笑いをする姿はあまりにも異様で、多くの視聴者に強烈なインパクトを与えました。 その後、警察の取調室で、その中年女性は場違いかつ年齢不相応

    「シャブ山シャブ子」を信じてはいけない | プレジデントオンライン
  • 稼ぐエリートほど「肉と運動」を好むワケ カギを握るのは「テストステロン」

    金融機関のトレーダーなど「判断力」を求められるエリートには、「肉」を好み、定期的に「運動」する人が多い。その理由は「テストステロン」というホルモンの影響かもしれない。順天堂大学大学院の堀江重郎教授は「筋肉をつけるためにスポーツクラブに通い、肉をべれば、テストステロン値が上がり、判断力が向上します。ビジネスエリートの行動は理にかなっています」という。自身の「脳力」を高める事のポイントとは――。 ※稿は、堀江重郎監修『元氣堂 肉とマカとテストステロン』(プレジデント社)の巻頭記事「テストステロンを高める、おいしい処方箋」の一部を再編集したものです。 テストステロンは「筋肉」と「判断力」に不可欠 男性の健康医学を研究する研究者、医療関係者により構成される「日Men’s Health医学会」において、注目テーマの一つとして取り上げられる機会が多いのが「テストステロン」です。日では「男性

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  • 教養がある人ほど「陰謀論」に引っかかる | プレジデントオンライン

    「陰謀論」に騙されるのはどんな人か。累計47万部のベストセラー『応仁の乱』(中公新書)の著者・呉座勇一氏は「高学歴で自分に教養があると思っている人ほどよく引っかかる。たとえば歴史学の専門家が陰謀論者になることも多い」という。呉座氏はそうした陰謀論を新著『陰謀の日中世史』(角川新書)で徹底論破している。陰謀論に共通する「パターン」とは――。(後編、全2回)/聞き手・構成=稲泉 連 数々の陰謀論の特徴を抽出しパターン化 ――書を執筆する過程で、呉座さんは多くの陰謀論のを読み込んでいます。そのなかで、どのような特徴が見えてきたのでしょうか。 今回、の中で約20の陰謀論を検証しました。保元の乱を手始めに、源義経をめぐるもの、足利尊氏や関ヶ原の戦いについての陰謀論などを取り上げましたが、陰謀論を語る人たちのをひたすら読んでいて抱いたのは、よくこれほど想像を膨らますことができるな、という感想

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  • 江戸しぐさが好きな人ほど陰謀論にハマる 複雑なものを単純化すると間違える

    「傘かしげ」や「こぶし腰浮かせ」などの「江戸しぐさ」。「江戸時代の商人たちのマナーだった」などと喧伝されているが、歴史的証拠はなく、偽史である。だがそうした行為には価値があるとして、信じ続ける人もいる。累計47万部のベストセラー『応仁の乱』(中公新書)の著者・呉座勇一氏は、新著『陰謀の日中世史』(角川新書)で、そんな陰謀論を徹底的に論破している。なぜ偽史はしぶとく生き残るのか。その理由を聞いた――。(前編、全2回)/聞き手・構成=稲泉 連 累計47万部のベストセラーの次は「陰謀論」 ――一昨年10月に出版された『応仁の乱』(中公新書)は累計47万部のベストセラーになりました。今回、次の作品である『陰謀の日中世史』(角川新書)では、日中世史における「陰謀論」がテーマです。どうしてこのテーマを選んだのでしょうか。 実はこの『陰謀の日中世史』は、『応仁の乱』と並行する形で進めていたテーマ

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  • 加計学園「半世紀ぶり獣医学部」は不要か 獣医師は「犬・猫の医者」ではない

    加計学園問題で獣医学部のあり方に注目が集まっている。加計学園の獣医学部新設について、申請当時の文部科学省事務次官だった前川喜平氏は、5月25日の記者会見で「極めて薄弱な根拠の下で規制緩和が行われた」と述べ、認可は不適切だったとの考えを示した。この問題では、安倍晋三首相が認可の便宜を図ったのではないかという疑惑も浮上し、「こんな獣医学部はダメだ」との声もある。しかし、なぜ半世紀も新設がなかったのか。東京大学名誉教授の唐木英明氏は「獣医師の需給や獣医学教育について誤解がある」と嘆く。 唐木氏は、東大助教授となった1972年から獣医学教育改善運動に取り組み、近年は規制緩和の必要性を訴えてきた。東京大学を退官後、2011年から13年まで加計学園関連大学の学長を務めたため、一部から「獣医界の裏切り者」とのレッテルを貼られたという。はたして獣医学部の規制は、国民のためなのか、獣医界のためなのか。後者で

    加計学園「半世紀ぶり獣医学部」は不要か 獣医師は「犬・猫の医者」ではない
  • 株は上がっても景気がよくならないのはなぜか

    消費増税はお手通りの失敗 「長期的に、アベノミクスは日の財政破綻を招く」という批判が一部にあるが、話が全く逆だ。経済成長を実現し、全体のパイを大きくして税収を増やさないと財政再建はできない。歴史を振り返ってみても、デフレ不況から脱却しようとする政府は、世の中に出回るお金の量を増やす「金融緩和」と、公共事業などで政府の支出を増やす「財政出動」の両方を行うポリシーミックスという経済政策をとってきた。 たとえば戦前の世界大恐慌時、日は高橋是清蔵相が金利の引き下げや日銀による国債の直接引き受けに加え、積極的な財政出動を行う「高橋財政」により、いち早く景気回復を遂げた。 アベノミクス第一の矢は金融緩和、第二の矢は財政出動であり、デフレ対策としては定番の政策。まさにアベノミクスは歴史から積極的に学び、その知恵を政策に活かそうとしている。 ちなみに第三の矢である成長戦略だが、これは過去の歴史におい

    株は上がっても景気がよくならないのはなぜか
  • なぜ「バター不足」が繰り返されるのか

    牛乳の「計画経済」が輸入を制限している バター不足が続いている。不足しているなら、輸入すればいいと思うかもしれない。しかし日は酪農家を保護するという名目で、バターの輸入を制限している。解決のためには、日の農業のあり方を根から問い直す必要がある。 バターの国内消費はこの数年7万~8万トンで安定している。一方、国内生産は減少傾向で14年度には6.1万トンに落ち込んだ。不足分は輸入に頼るしかないが、関税が高く、政府の国家貿易品になっている。 乳製品の関税率(二次税率)は、従量税と従価税の組み合わせになっている。従価税換算ではバターが360%、脱脂粉乳が218%で、フレッシュチーズの29.8%、プロセスチーズの40%に比べても非常に高い。店頭で輸入のバターをみかけないのはこのためだ。 なぜバターが保護されているのか。それは輸入品の価格が国産バターの約3分の1と安く、品質での差別化は困難だから

    なぜ「バター不足」が繰り返されるのか
  • なぜ東大合格者数上位校は「男子校」「女子校」が多いのか

    海外でも上位校には男女別学校が多い 2015年の高校別東大合格者数ランキングを見ると、トップ10のうち実に8校が男女別学校である。20位までを見ても7割が男女別学校だ。 しかし実は全国の高校に占める男女別学校の割合は非常に少ない。平成26年度文部科学省学校基調査によれば、全国に高校は約5000ある。そのうち女子校は320校で全体に占める割合としては6.4%、男子校は125校で2.5%。男女別学校出身者は絶滅危惧種といってもいいくらいなのだ。 それなのになぜ、東大合格者数ランキング上位校には、圧倒的に男女別学校が多いのか。考えられる理由は大きく分けて2つ。 1つは名門進学校には、戦前から続く伝統校が多く、それらが戦前から続く男女別学校の文化を継承しているから。もう1つは、男女別学という教育スタイルに一定の効果があるから。 戦前から続く伝統校といえば、たとえば開成、麻布、武蔵、灘、桜蔭などが

    なぜ東大合格者数上位校は「男子校」「女子校」が多いのか
  • 「開成」「灘」が名門校になった理由

    戦前の中学受験はもっと熾烈だった 日中学受験熱が高まったのがいつくらいかわかるだろうか。「1970年代から」と答えられる人は事情通だ。1967年東京都が都立校入試に「学校群制度」を導入し、志望校を選択できなくしたため、都立校回避の動きが生まれ、多くの優秀な生徒が私立中高一貫校へと流れた。しかし、日中学受験熱が高まったのはそれが初めてではない。戦前の中学受験はもっと熾烈だった。 中学が義務教育になったのは戦後のこと。戦前には、中学に行くためには中学受験をしなければならなかった。ただし戦前の中学は現在の中学とはだいぶ違う。それがいわゆる5年制旧制中学である。12歳からの5年間。今の中高一貫校とほぼ重なる。現在の高校のようなものはなかった。当時の旧制高校はむしろ大学に近い存在で、現実的には「大学予科」つまり現在の大学の教養学部に当たる教育を行っていた。旧制高校に入れれば、原則無試験で大学

    「開成」「灘」が名門校になった理由