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ブックマーク / book.asahi.com (31)

  • 塩田武士さん「デルタの羊」インタビュー 「40歳目前でアニメにハマった」作家が描く「日本アニメ」のリアル|好書好日

    文・写真:吉村智樹 塩田武士(しおた・たけし)小説家。 1979年 兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、神戸新聞社に入社し、2012年まで10年に亘り新聞記者を続ける。10年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。19年『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞。代表作は昭和最大の未解決事件を扱い映画化もされた『罪の声』。著作に『騙し絵の牙』『女神のタクト』『ともにがんばりましょう』『拳に聞け!』などがある。 Facebook アニメに開眼、新しい扉が開いた ――新刊『デルタの羊』はアニメーション制作現場の様子が生々しく描写されていますね。「当の話なのかな?」と思うほど、アニメを愛するクリエイターたちの想いが現実味を帯びて伝わってきました。 『デルタの羊』を書くために「鬼滅の刃」のプロデューサーであるアニプレックスの高橋祐馬さんや、「ポプテピピッ

    塩田武士さん「デルタの羊」インタビュー 「40歳目前でアニメにハマった」作家が描く「日本アニメ」のリアル|好書好日
  • 『「中国」の形成』書評 地域と民族「一体」 夢の行方は|好書好日

    中国」の形成 現代への展望 (岩波新書 新赤版 シリーズ中国歴史) 著者:岡隆司 出版社:岩波書店 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「中国」の形成 現代への展望 シリーズ 中国歴史⑤ [著]岡隆司 漢民族中心の「王朝交代史観」ではとらえきれない中国の多元性を明らかにしてきた岩波新書の「シリーズ 中国歴史」の最終巻である。清朝建国から現代までの400年を描く。 明朝は国内統治・対外関係の両面において理念先行で画一的な施策に固執した。その後を承(う)けて外来の異民族王朝として成立した清朝は、地域の特性、各国の事情などを考慮した柔軟かつ現実的な対応によって多元的な東アジア世界を統合した。 清朝は18世紀半ばには最大の敵だったジュンガル帝国を滅ぼして東トルキスタン全域(現在の新疆)を制圧した。18世紀後半には西洋での中国茶の需要が急伸して大量の銀が中国に流入した結果、中国経済は空前

    『「中国」の形成』書評 地域と民族「一体」 夢の行方は|好書好日
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2020/10/24
    "現在の習近平政権は「中華民族の偉大な復興」を唱えるが、「一体」の「中華民族」は歴史上存在したことがない。それは現時点ではまだ「夢」なのである。"
  • ガンダムにハマる夜 湊かなえ|好書好日

    年明けに新作が出せるかどうかという瀬戸際にもかかわらず、アニメにハマってしまいました。「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」です。 現在45歳。子どもの頃にガンダムシリーズを楽しむことができず、自分とは無縁の世界だと決め付けていたのですが、きっかけになったのは、MISIAの楽曲「オルフェンズの涙」です。 2015年に発売されたこの曲を、ある歌番組で聴き、感銘を受けました。オルフェンズとは孤児たちという意味で、アニメのエンディングテーマとして作られたと知り、この世界観を持つ物語にぜひ触れてみたいと思ったのです。 とはいえ、ガンダムか。そんな気持ちで、1期分・全9巻のDVDのうち、1巻だけ借りたのですが、1話目から、不遇な環境に生まれ育った少年たちの物語に引き込まれ、その日のうちに、残りをすべて借りに行きました。 DVDを入れ替えるごとに、罪悪感が込み上げてきます。こんなことをしている暇はな

    ガンダムにハマる夜 湊かなえ|好書好日
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2018/11/01
    "終盤の展開を自分ならこうしたのに、という脳内補正を含めて、物語の世界観を十分に堪能することができました。"
  • コラム別に読む : 集団的自衛権と国際法 篠田英朗さんが選ぶ本 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告を受け、集団的自衛権行使容認の検討を表明する安倍首相=5月15日 ■「自国民を守る」ものなのか 集団安全保障のみならず集団的自衛権の理解は、平和構築において必須だ。ただ、その目的が国際の平和と安全の維持にあることは忘れてはならない。 安倍晋三首相は、「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」の集団的自衛権の行使が、「国民の命と暮らしを守るため」に必要だ、と力説した。結果、集団的自衛権の必要性が、日の防衛という個別的自衛権の論理で説明されている印象はぬぐえなくなった。 ■「国益」は副次的 現代国際法は、攻撃された国だけで自衛が十分に果たせないとき、第三国による支援を認めている。ただしこの集団的自衛権の論理では、来自衛するのはあくまでも攻撃された当事国であり、第三国はその国を助けるだけだ。もちろん複数の諸国の個別的自衛権と集団的自

    コラム別に読む : 集団的自衛権と国際法 篠田英朗さんが選ぶ本 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • 本の記事 : 原泰久×永井豪 泣きながら描いた「キングダム」を語る 手塚賞 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    第17回手塚治虫文化賞の贈呈式が5月31日、東京の朝日新聞社であり、記念イベントのトークショーでマンガ大賞を受賞した「キングダム」(集英社刊)の原泰久さんが、選考委員でマンガ家の永井豪さん、編集者の中野晴行さんとともに受賞作を振り返った。 中国の春秋戦国時代を舞台に少年の成長を描く「キングダム」は、永井さんと中野さんが強く推した作品。贈呈式の選考経過報告で選考委員のブルボン小林さんが、両氏の「キングダム」に対する偏愛をユーモアをこめて紹介した。 ◇ 中野晴行:あんな風にブルボンさんに前振りされると居心地が悪いんですが……。手塚先生も永井先生も原さんも「ヤンジャン」(週刊ヤングジャンプ)で書いていらっしゃる「ヤンジャントリオ」ということになりますね。 「キングダム」はとにかく画像から勢いがこちら側まで伝わって来るんですよね。もともとは教えている学校の学生から「面白いマンガがあるよ」と聞きまし

    本の記事 : 原泰久×永井豪 泣きながら描いた「キングダム」を語る 手塚賞 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • コラム別に読む : 冥王星を殺したのは私です [著]マイク・ブラウン - 谷本束 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    2005年、太陽系第十惑星・エリス発見に世界が驚愕したが、その1年半後、今度は冥王星もろとも「惑星ではない」と宣言される。エリス発見者にして、冥王星を“殺した”張人である著者が、太陽系の姿を一変させた歴史事件をつづったノンフィクション。 “十番目の惑星”が見つかったのは、海王星の外側に広がるカイパーベルトという小惑星帯。エリスも冥王星も、そのたくさんの天体の一つにすぎないという。探索のドラマもさることながら、書が明らかにする太陽系は学校で覚えたものとはずい分違う。今も刻々と謎が明かされ続けていることに胸が躍る。 一方で、発見者の栄誉を横取りしようとする科学者が現れ、国際天文学連合は科学的事実を無視して冥王星を惑星のままにしておこうと画策する。科学界の醜い現実に唖然とさせられる。 著者は並行して、研究中に誕生した愛娘のこともユーモアあふれる筆で描く。掛け値なしの愛情と未知のものへの探求

    コラム別に読む : 冥王星を殺したのは私です [著]マイク・ブラウン - 谷本束 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2012/07/09
    ある恒星系にとっての惑星をどう定義するか。
  • 「政治的に考える―マイケル・ウォルツァー論集」書評 理念と現実交差、議論展開に魅了|好書好日

    政治的に考える マイケル・ウォルツァー論集 著者:マイケル・ウォルツァー 出版社:風行社 ジャンル:社会・時事・政治・行政 マイケル・ウォルツァーの政治理論分野での論集。政治と哲学の分離についての考察から、政治と道徳とが対立する諸事例を凝視したものまで、17の論文とインタビューを収録。【「TR… 政治的に考える―マイケル・ウォルツァー論集 [著]マイケル・ウォルツァー いま、現実の政治に希望を抱くのはむずかしい。政治家たちを見れば、目先の出来事におたつき、世間の顔色をうかがうばかりの人々が、己の地位と利権にしがみつき、場当たり的な対応に終始。一方でそれを批判する識者たちも、時に形骸化したスローガンの連呼や現実から乖離(かいり)した抽象論に堕す。だがそもそもこの現実世界の政治とは何をするものなのか? それを考え続けてきた政治哲学者マイケル・ウォルツァーの論文をまとめたのが書だ。邦訳は多いが

    「政治的に考える―マイケル・ウォルツァー論集」書評 理念と現実交差、議論展開に魅了|好書好日
  • 「収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学」書評 後代に責任とる 合意形成の道|好書好日

    「資源の呪い」のメカニズムとは? ガバナンスと資源の関係とは? 資源の探査、政府によるその価値の確保から、資源収入の消費、貯蓄、投資まで、アフリカなどの現状を分析し、その… 収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学 [著]ポール・コリアー 資源は途上国にとって両刃の剣だ。収入は増えるが、利権と汚職の温床になったり、資源収入への過度の依存で国民の勤労意欲まで消えたり。この「天然資源の呪い」を指摘した一人が、書の著者コリアーだ。 でも、あらゆる国は何らかの天然資源を持つ。それをきちんと活用して、天然資源の呪いから脱するには? それが書のテーマだ。 その指摘は単純ながら重い。まず、天然資源の呪いは行政能力の問題だということだ。政治家の汚職を監視し、国富を国民に還元する仕組みが弱いので、資源の利益が外国や汚職政治家に吸い上げられ、無駄な投資が起きる。 さらに著者は、その背後にある思想の問題も指摘す

    「収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学」書評 後代に責任とる 合意形成の道|好書好日
  • 「群像としての丹下研究室」書評 「構想力」支えた最強チーム活写|好書好日

    群像としての丹下研究室 戦後日建築・都市史のメインストリーム 著者:豊川 斎赫 出版社:オーム社 ジャンル:技術・工学・農学 群像としての丹下研究室 戦後日建築・都市史のメインストリーム [著]豊川斎赫 建築家を語るは通常、造形デザイン話に社会文明観や哲学談議を接ぎ木する程度だ。書はそれを遥(はる)かに超える。書のテーマたる丹下健三が、通常を遥かに超える建築家だったせいもある。彼は個別建築にとどまらず、都市、地域、国土設計にまで大きな足跡を残した。だがなぜそれが可能だったのか? 通常はこれを「壮大な構想力」という一言ですませてしまう。書の手柄は、その「構想力」の中身を詳細に示したことだ。丹下の構想力の背後には、地域経済の数理統計分析や産業予測があり、それを造形に変換する方法論の開発があったのだ。 それを支えたのは、東大の丹下研究室に集った人々だった。書はこのチームに着目するこ

    「群像としての丹下研究室」書評 「構想力」支えた最強チーム活写|好書好日
  • わかりたいあなたのためのライトノベル入門 - 特集の本棚 - 本に出あう - BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ライトノベルが人気です。  出版科学研究所の調査によると、2011年の文庫市場で、ライトノベルの販売シェアは23.5%。出版された文庫の約4冊に1冊はライトノベルだったということになります(「2011年文庫マーケットリポート」出版月報2012年3月号)。  何がライトノベルか、そうでないかは、議論が分かれるところです。最大公約数的な要素としては、以下のような条件がうかびあがります。 ・主に10代を主人公とし、10代を対象とした小説 ・アニメやマンガ風の表紙、イラストがついている ・会話を主体とした独白調の文体 ・かわいい女の子や男の子が登場する  とはいえ、こうしたポイントに当てはまらないライトノベルもあれば、逆に一般小説でも「ライトノベル的」と評される作品もあり、境目はあいまいです。  ライトノベルとは何なのか、なぜ、若者たちをこれほどまでに引きつけるのか--。  人気シリーズを中心に

  • 獏さんのまんが噺 5 - 特集の本棚 - 本に出あう - BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    「獏さんのまんが噺」5は『ガラスの仮面』(白泉社)を紹介します。1975年から続く美内すずえさんの伝説的少女マンガで、演劇の世界に魅入られた北島マヤの成長を描いています。マンガの枠を超えて日の演劇界にも影響を与えた名作を、70年代から愛読者だった獏さんがひもときます。     ◇ 4月11日に吉川英治文学賞の贈賞式があり、その後の「祝う会」では「さっきのあいさつでは死ぬまで書くと言ったけど、釣りもずっとするぞ」と宣言した獏さん(右)に萩尾望都さん(中)も瀬名秀明さんも苦笑い。     ◇  ゆめまくら・ばく 1951年、神奈川県小田原市生まれ。キマイラやサイコダイバーなど多くの人気シリーズを持ち、『陰陽師』『餓狼伝』など自作が元になったマンガや映画も数多い。『上弦の月を喰べる獅子』で日SF大賞、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。昨夏刊行の『大江戸釣客伝』は泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞

  • 獏さんのまんが噺 4 - 特集の本棚 - 本に出あう - BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    「獏さんのまんが噺 4」は格闘技マンガ『餓狼伝』(秋田書店)を紹介します。獏さんの小説が原作で、「刃牙(バキ)」シリーズで人気の漫画家・板垣恵介さんがその魅力をふくらませています。少女マンガの対極にある男の子文化の結晶のような作品で、誰よりも強いことを目指して男たちが戦い続けます。「板垣恵介が描く拳(こぶし)は芸術品である」と獏さんがほれこむ理由を熱く語ります。  『餓狼伝』2(秋田書店)より(C)夢枕獏 板垣恵介/秋田書店     ◇  ゆめまくら・ばく 1951年、神奈川県小田原市生まれ。キマイラやサイコダイバーなど多くの人気シリーズを持ち、『陰陽師』『餓狼伝』など自作が元になったマンガや映画も数多い。『上弦の月を喰べる獅子』で日SF大賞、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。昨夏刊行の『大江戸釣客伝』は泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞、吉川英治文学賞を受賞した。     ◇  過去の連載

  • 書評・最新書評 : バイオパンク DIY科学者たちのDNAハック! [著]マーカス・ウォールセン - 山形浩生(評論家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■遺伝子組み換えで世界を変える 遺伝子組み換え、と聞いただけでおじけづく人は多いが、その恐ろしい遺伝子組み換えを、いまやそこらのホビイストが平気で始めている。書はその動きや遺伝子組み換えホビイストたちの実像を描き出すとともに、それに伴う懸念や規制の動きを述べつつも、最後には希望を描く、先駆的なだ。 そもそも生命の核心たる遺伝子にマッドサイエンティストじみた科学心を刺激される人は多い。そして高価だった遺伝子組み換え用機器は、安くなって中古品も増えた。各種の遺伝子配列情報も容易に入手できる。すでに技術的、価格的には個人でも十分に手が届くのだ。 それがバイオ技術の突破口になるのでは? 金と時間に縛られる商用バイオ技術(期待ほどの成果はない)に対し、制約のないホビイストは、意外な性質や用途を見つけるかもしれない。かつての無線や車やパソコンのように! 誰かが殺人ウイルスを作成するのでは、という懸

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  • 「資本主義が嫌いな人のための経済学」書評 左派こそ勉強を|好書好日

    主義が嫌いな人のための経済学 [著]ジョセフ・ヒース 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻(はたん)したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこむ保守派の乱暴な議論に反論できず、万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが書だ。 というわけで書は、筋金入り左派哲学者による、むずかしい綱渡りだ。経済学を乱用して既成体制の走狗(そうく)と化した一部論者には鉄槌(てっつい)を。 しかし優しさとか友愛とか、左派の無内容な情緒的議論にも手加減無用。書の邦題は実

    「資本主義が嫌いな人のための経済学」書評 左派こそ勉強を|好書好日
  • 「イスラームと科学」書評 理性への野放図な侵犯に警鐘|好書好日

    イスラームと科学 [著]パルヴェーズ・フッドボーイ イスラム圏の科学はひどい状況にある。 中世には、停滞するヨーロッパを尻目に世界最先端だった。でも宗教がそこに介入し、物理法則なども神の意志にすぎないとされ、科学を研究するより、神の意志をコーラン解釈から読み取ることが優先された。そしていまや、一部イスラム圏の「科学」と教育の相当部分は、西洋科学をイスラム経典解釈にこじつけて「イスラム的科学」なるものをでっちあげる行為に堕している——。 こうした状況を、世界的な物理学者でイスラム教徒である著者は、深く憂慮し、イスラム社会の大きな停滞要因だと指摘する。だが書は、イスラム教という宗教を批判するのではない。宗教と科学や理性の領域とを区別しない宗教や規範の野放図な侵入すべてに伴う、普遍的な問題の指摘が狙いだ。 イスラム圏の課題理解と同時に、他のどこでも起きかねない事態への戒めとして多くの人に読んで

    「イスラームと科学」書評 理性への野放図な侵犯に警鐘|好書好日
  • 「平等と効率の福祉革命」書評 豊富な裏付けから子育て支援を提言|好書好日

    平等と効率の福祉革命 新しい女性の役割 著者:イエスタ・エスピン=アンデルセン 出版社:岩波書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 平等と効率の福祉革命―新しい女性の役割 [著]イエスタ・エスピン=アンデルセン 福祉の議論は公共頼みになりがちだ。医療も高齢者も育児も失業も国がもっと金を出せ——。でも、家庭や企業も福祉をかなり提供している。そのバランスを見ないとだめだ、と看破したのが書の著者エスピン=アンデルセンだった。きたる高福祉社会に向けて、彼は女性をもっと働かせろと主張した。福祉サービス職を増やし(企業の事業機会)、女性を働かせ(家計収入増大)、税収を増やせ(公共の負担力増大)! この分析と提言は大きな影響を与えた。そして女性の労働進出は進んだ。でもまだ中途半端な水準だ。一方であらゆる社会では格差の固定化と拡大が進んでいる。なぜだろう? 書はこの問題に取り組む。そしてまたもや明快な

    「平等と効率の福祉革命」書評 豊富な裏付けから子育て支援を提言|好書好日
  • 書評・最新書評 : アーティストのためのハンドブック [著]デイヴィッド・ベイルズ、テッド・オーランド [訳]野崎武夫 - 山形浩生 (評論家、翻訳家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■勇気を与える古典的なガイド 自分に才能はあるのか、商業主義に迎合していいのか、このまま芽が出なかったらどうしよう、空気を読むべきか、スランプからどう脱出すべきか、自分のやっていることに意味はあるのか——書が正面から取り組むアーティストの悩みは、他の人々も日々直面するものだ。そして書が与える回答やヒントも、ごくストレートなものだ。才能より努力、でもその努力が報われる保証はない。正解はないので苦闘するしかない、でも同じ苦闘するなら、やりたいことをしよう——その答えも、他の仕事や活動すべてにあてはまり、アーティスト以外でも勇気づけられる。 むろん、アート業界特有の問題などにも触れる。同じくアーティストの古典ガイドとして読み継がれ最近翻訳された、ヘンライ『アート・スピリット』よりは実務的ながら、いずれも長年読み継がれてきただけあって、シンプルで穏やかで普遍性を持つ。仕事、学業その他すべてに悩

    書評・最新書評 : アーティストのためのハンドブック [著]デイヴィッド・ベイルズ、テッド・オーランド [訳]野崎武夫 - 山形浩生 (評論家、翻訳家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • 『幸せな未来は「ゲーム」が創る』書評 「現実を直す」世界観の大転換|好書好日

    幸せな未来は「ゲーム」が創る [著]ジェイン・マクゴニガル ゲームは、現実逃避だとしてよく非難される。でも、善行や努力の報いが明確でない現実にくらべ、ゲーム界での善行はすぐに結果が見える。つまらない作業や勉強や共同作業もゲーム仕立てなら楽しくなる。だからゲームを敵視せず、現実改善に役立てよう、と書は主張する。 事例は豊富だが、有益なゲームもあるというだけなら旧聞。書の妙味は、目的性や努力の結果が不明確だから「現実は壊れている」(原題)として、それが明確なゲームこそ正しい姿とした、ゲーム中心主義とも言うべき世界観にある。従来の、「ゲームだって役にたつからいじめないで」的な卑屈さから一転、ダメな現実をゲームで直してやるという剛毅(ごうき)さは天晴(あっぱ)れ。 むろんまだすべてゲームですむほど現実は甘くない。が、予想外の現実がゲーム化できているのも事実。すると書は単なる開き直りの大風呂敷

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  • 「Cooking for Geeks」「味わいの認知科学」書評 科学実験のように料理する|好書好日

    Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ (Make:Japan Books) 著者:Jeff Potter 出版社:オライリー・ジャパン ジャンル:暮らし・実用 Cooking for Geeks [著]ジェフ・ポッター/味わいの認知科学 [編]日下部裕子・和田有史 料理マンガでありがちなのが、才能と情熱の天才料理人(主人公)が、理論とコンピューターを駆使した科学者料理人と対決する話だ。もちろん「冷たい科学じゃ人の心は動かせないぜ!」と主人公が勝つのがお約束。 が、料理の相当部分は物理化学反応だし、科学的な知見は当然役にたつ。直感と試行錯誤は重要だが、科学知識はそれに方向性を与え、失敗を大幅に減らしてくれるから、解説書も多い。 その中でポッター『Cooking for Geeks』は、ボリュームも詳しさも、群をぬいている。ギーク(おたく)向けだけあって、各種調理器具の改

    「Cooking for Geeks」「味わいの認知科学」書評 科学実験のように料理する|好書好日
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/12/07
    "直感で行動→理論的に分解→再構築"
  • 「スティーブ・ジョブズ」書評 「天才」の生と死、いちはやく活写|好書好日

    スティーブ・ジョブズ ペーパーバック版 1 著者:ウォルター・アイザックソン 出版社:講談社 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション 未来を創った、今世紀を代表する経営者スティーブ・ジョブズが、積極的かつ全面的に取材に協力した評伝。1は子ども時代、リード・カレッジ進学、インド放浪、アップル誕生、マックの… スティーブ・ジョブズ(1・2) [著]ウォルター・アイザックソン 書を手に取る人で、スティーブ・ジョブズを知らない人はいないはず。過去十年以上、彼の各種製品はコンピューターや音楽流通、携帯電話のあり方を一変させ、社会現象にまでなったのは周知のこと。 それが書のつらいところだ。基線では目新しさの余地がないのだから。 評者のような古参パソコンマニアは、アップル草創期からジョブズの活動はリアルタイムで知っている。また近年のアップル製品のファンも、書の記述に違和感はないはず。絞り込ん

    「スティーブ・ジョブズ」書評 「天才」の生と死、いちはやく活写|好書好日