私が指導で関わりを持っている研修医Y君は、彼女募集中である。仕事も勉強も熱心に取り組む好青年なのだが、まじめでひっこみ思案な性格が徒になって、なかなか良い女性と出会えないようだ。 本人も気にしているようで、「どうしたら彼女できるでしょうね、紹介してくださいよ」などと冗談めかして言うこともある。しかし、そんなときでもY君の目は決して笑っていない。事態は深刻である。 彼はこのブログを愛読してくれているとのことだが、こんな拙文のために時間を割いていてくれるから、女性に出会えないのではないだろうか。そう思うと、私も自責の念に駆られてしまう。 そこでY君に役立つ本はないかと、オウィディウスの『恋愛指南―アルス・アマトリア 』を読んでみた。2008年の岩波文庫。沓掛良彦氏の訳。 ローマ時代の恋愛ハウツー本である。内容は単純だ。男は、いかにして女をくどくべきか。どうすれば女は歓ぶか。一方、女はどう愛され