深まる秋や紅葉のニュースを目にすると京都を訪ねたくなるものだ。そこで必携のガイドブックだが、「もうフツーのでは物足りない」「知られざるスポットを訪ねたい」「著名なスポットの、裏に秘められた顔も知りたい」という人も多いのではないか。そんな方にぜひおススメしたいのが、『京都異界紀行(講談社現代新書)』(西川照子/講談社)だ。 著者の西川氏は、京都を拠点に活動する民俗学が専門の作家・編集者。哲学者で考古学や民俗学にも長けていた、故・梅原猛氏の出版補助役を長らく務められたことでも知られる。 つまり、膨大な歴史文献、古文書、民俗学資料による知と、社寺を中心に、京都中をフィールドワークして得た生の情報が、ぎっしりと詰まった方なのである。そんな著者が、地霊に導かれ、怨霊の声を頼りに「恐ろしい、本物の京都の姿」を描写するというのが本書だ。 華やかな清水寺のすぐそばに存在する、まがまがしい京都とは? しかし