岸田首相の看板政策である新しい資本主義の柱は、株式や投資信託などの保有者が税優遇を受けられる「資産所得倍増プラン」だ。ただ、個人株主の割合は日本人全体の1割程度で、政策の恩恵は富裕層に偏りかねない。首相が昨秋の就任時に強調していた「格差是正と分配」からは大きくかけ離れた内容となった。(原田晋也) 実行計画案で、個人の金融資産2000兆円のうち半分以上が預金や現金で保有されていると指摘。これら資金を投資に向かわせるため、少額投資非課税制度(NISA)の「抜本的な改革」や、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象年齢を現行の64歳以下から65歳以上に引き上げることを検討した上で、今年末に「資産所得倍増プラン」を策定する。 しかし、日本証券業協会によると、2020年度末の個人株主は日本人全体の11.2%にとどまり、高齢者層が多い。現役世代は投資に資金を回す余裕に乏しいとされ、今回の株式投資