「トヨサキくん」 「なに」 「1学期もうすぐ終わるね」 「おう」 「終わるんだけどさ」 「ん?」 「キミ、あんまり成長してないよね?」 「せ……成長、とは」 放課後なのである。 KHK(桐原放送協会)の活動をやろうとしているのである。 【第2放送室】の奥の方でトヨサキくんがパイプ椅子に座っている。 入り口ドア付近のパイプ椅子からわたしは立ち上がり、トヨサキくんに近付いていき、彼の眼の前で立ち止まり、腰の両側に手を当て、彼の顔面を見下ろす。 「なんなんだ。どうしたんだタカムラ」 「いつまでもこのままで良いワケが無い」 「はあ?」 「夏休みはキミを遊ばせないよ」 「ど、どーゆーいみだ」 「『ランチタイムメガミックス』だけどさ」 わたしはひと呼吸置いてから、 「2学期になったら、パーソナリティをキミが単独で担当できるようにしたい。つまり、『1人で喋られるように、キミを磨き上げたい』ってコト」 「