前回は現在の通貨制度が抱えているさまざまな問題についてご紹介しましたが、今回はそんな現在の通貨制度を根本から変える「減価する貨幣」という理論を編み出したシルビオ・ゲゼル(1862~1930)についてご紹介したいと思います ◀シルビオ・ゲゼル(1862~1930) シルビオ・ゲゼルは、現在ではベルギー領になっているものの当時はドイツ領だったザンクト・フィット(Sankt Vith)という街で、ドイツの徴税官だった父親とワロン人(ベルギー南部のフランス語圏出身者)の母親の間に生まれました。24歳のときに当時経済的に潤っていた南米アルゼンチンはブエノスアイレスに移住して事業を興し成功しますが、当時のアルゼンチン政府の通貨政策の失敗によってデフレ(物価下落)やインフレ(物価上昇)が起き、そのたびに同国経済が大混乱に陥りました。シルビオ・ゲゼル自身は経済の知識があったのでこの危機を切り抜けることがで