大学卒業後、中堅の証券会社へ入社。8年後に準大手証券へ歩合制の外務員として転職。一時期は正規の仕事の他に自己売買に手を出し、数億円の利益を出すなど、収入面で華々しいキャリアを築いていた男性が、いまは新大久保の個室ビデオ店員として日々を過ごしているという。当人は現状をどのように捉えているのだろうか。 ここでは、ルポライターの増田明利氏の著書『今日、ホームレスになった 大不況転落編』(彩図社)の一部を抜粋し、男性の半生を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 生活が足元から崩れていったバブル崩壊 向こうが西新宿になるんだな、でかい建物が見えるだろう。いちばん右側がセンチュリーハイアット(現・ハイアットリージェンシー東京)、都庁の前は京王プラザ、左側の奥がパークハイアット。昔はよく泊まったんだよ。1泊3万円ぐらいの部屋でもカプセルホテルみたいに使っていた。 上の階から下を見ると人間なん