どこかの国で戦争がはじまると、世界中の世論が沸騰する。 当事国の国民の声が大きくなるだけではない。戦争を対岸の火事として眺めている国や地域の人々も、同じように興奮している。 テレビの画面では、戦地の現況を伝える動画や、政治家によるエモーショナルな演説が繰り返し再生される。それらを見ている世界中の人々のアタマの中身は、いつしか「戦時モード」に切り替えられている。 沸騰の方向は必ずしも一定していない。 結果としてポピュリズム志向の政治家が支持を集める国もあれば、別の国では、むしろ「強いリーダー」への警戒心が高まっていたりもする。 戦争報道が、強硬派を利することになるのか、逆に、彼らを表舞台から追い落とす結果をもたらすのかは、現時点では不分明だ。短期的な影響と、中長期的な影響が逆方向に作用するのはよくある展開だし、第三国の世論は、戦局の推移や、その時々のエポック次第で、思わぬ方向に流れるものだか