平成とは、どのような時代だったのか――。 その手がかりを、各年を象徴する曲に探る「平成ヒット曲史」。 プロデューサーの時代、タイアップ全盛、「自分らしさ」、史上一番CDが売れた年……ヒット曲は諸行無常の調べ。音楽ジャーナリストが、ポップ・ミュージックを通して“平成”という時代に迫ります。 第3回は、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」です。 「月9」とは何だったのか 小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」 「ねえ、セックスしよ!」 鈴木保奈美演じる赤名リカが歩道橋の上で言い放ち、その瞬間、「♪チャカチャチャーン」というギターフレーズが鳴り響く。その後も何度も語り草になったドラマ『東京ラブストーリー』の名場面だ。 それはいわば、新しい時代の到来を告げるイントロだった。 小田和正が書き下ろした主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」のCDシングルがリリースされたのは、ドラマの放送開始から約1カ月後の