このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 X: @shiropen2 慶應義塾大学に所属する國武悠人さんが発表した論文「米国判例の変化と日本への示唆:STEM 分野のアファーマティブ・アクションと DEI」は、米国最高裁判決を契機に人種・性別を考慮する入学選考が廃止される中、日本の大学のSTEM分野を中心に実施されている「女子枠」の問題点を示した研究だ。 大学入試での“人種考慮”は必要か? 23年の米国裁判所の判断 2023年6月、米国最高裁判所は公平な入学選考を求める学生たち対ハーバード事件(SFFA v. Harvard判決)において、大学入学者選抜における人種を考慮するアファーマティブ・アクション(AA)プログラム