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労働法の検索結果361 - 400 件 / 637件

  • 就職難でもマルクス専攻ならウハウハ@中国 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    フィナンシャルタイムズ紙の皮肉たっぷりな記事 https://www.ft.com/content/36d34b2f-7f69-4224-8322-87d99a820f64(China’s Marxism majors prosper amid labour market woes) Xi’s ideology drive is ensuring keen demand from companies and schools for graduates in communist theory 習近平のイデオロギー攻勢が企業と学校に共産主義理論専攻の卒業生への需要を強めている Chinese university graduates are struggling to find work in the country’s worst labour market in years — unles

      就職難でもマルクス専攻ならウハウハ@中国 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    • EUのデューディリジェンス指令案への動き@『労基旬報』2021年5月25日号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

      というわけで、例のユニクロのウイグル製シャツがアメリカで輸入禁止になったというニュースの醒めやらぬ中ですが、「EUのデューディリジェンス指令案への動き」というのを寄稿していた『労基旬報』5月25日号が届いたので、どういう話になっているのかごく簡単に紹介しておきましょう。 近年、「デューディリジェンス」という言葉がよく聞かれます。文字通りの意味では「企業に要求される当然に実施すべき注意義務および努力」を指しますが、とりわけ今日問題となっているのは、そのグローバルなサプライチェーンにおいて労働者,人権,環境といった側面で有害な影響を与えていないかをきちんと監視すべきという点です。ごく最近も、中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿を使った繊維製品が強制労働によるものとして人権団体から批判され、強硬な中国との間で板挟みになった企業がありました。 この問題を公的な立法政策として進めようとしているのが

        EUのデューディリジェンス指令案への動き@『労基旬報』2021年5月25日号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
      • オワハラは日本型雇用の産物? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

        京都大学のホームページに研究成果として「就職活動終われハラスメントが日本的雇用に起因することを解明 -内資・年功序列・古い設立年の企業がオワハラをしやすい-」というのが載っています。 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/200316_1.html 太郎丸博 文学研究科教授、水野幸輝 文学部生は、就職活動終われハラスメント(以下、オワハラ)の一因が、日本的雇用にあることを明らかにしました。 オワハラとは、企業が就職活動中の学生等に対して他社の選考を受けないよう要求することですが、職業選択の自由を脅かす行為として、政府、経団連、大学から批判されています。また、オワハラをしても学生は嘘をついて就職活動を続けることができるため、学生を自社に就職させる効果があるかも疑わしいものです。 本研究グループが、2019年に就職

          オワハラは日本型雇用の産物? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
        • 神津・井手対談 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

          朝日の論座に、連合会長からようやく降りたばかり(対談時にはまだ会長職だった?)の神津さんと、旧民主党から裏切られてばかりの井手英策さんの対談が載っています。 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021100400004.html こういう台詞は、なかなかの思いで語られているのでしょう。 ――確かに、岸田さんが総裁選で掲げた主張は、民主党や民進党が掲げていた施策と親和性があるように見えますね。 井手 岸田さんが自民党政調会長だった頃(2017~20年)、岸田派の人たちが派閥の要望をつくりました。旗印は「オール・フォー・オール」ならぬ「オール・サポート・オール」。おそらくそれが基になっているであろう総裁選の施策をみても、僕の主張とほとんど同じです。 ――「オール・フォー・オール」の核心はどこにあるのでしょうか。 井手 成長が前提でない社会

            神津・井手対談 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
          • 地方公務員は労働基準法第39条第7項が適用除外となっている理由 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

            焦げすーもさんが、トリビアのように見えてなかなかディープな問題提起をしています。 おっちゃん「地方公務員の1/4くらいが年休5日/年取れてないという調査知っとるかい?」 ワイ「知らんけど、実感とズレるなあ。」 おっちゃん「地方公務員の大部分が労基署の調査対象外やけど、そもそも、年休取得が義務化されてない。」 ワイ「嘘やん、地方公務員法第58条第3項・・・ほんまや。」 地方公務員法第58条第3項(他の法律の適用除外等) “労働基準法第二条、(中略)第三十九条第六項から第八項まで、(中略) の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、職員に関して適用しない。” 改正労基法の年次有休休暇の取得義務の箇所がすっぽりと適用除外に。 どうしてこうなった。。 おっちゃんのこの問いは、なぜ地方公務員の労働基準が守られないかという根源的なものであった。 回答としては、 1.民間と比較して、監督機関が機能し

              地方公務員は労働基準法第39条第7項が適用除外となっている理由 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
            • 大野たかし on Twitter: "73歳の方がガソリンスタンドの深夜バイトで過労死しました。 マニュアルにはバイトに椅子を使わせないようになっていました。 さらに、出勤直後に1時間休憩という労働法違反もありました。 非常識かつ違法な労務管理で過労死を発生させた会社… https://t.co/BsMDcIzA2f"

              73歳の方がガソリンスタンドの深夜バイトで過労死しました。 マニュアルにはバイトに椅子を使わせないようになっていました。 さらに、出勤直後に1時間休憩という労働法違反もありました。 非常識かつ違法な労務管理で過労死を発生させた会社… https://t.co/BsMDcIzA2f

                大野たかし on Twitter: "73歳の方がガソリンスタンドの深夜バイトで過労死しました。 マニュアルにはバイトに椅子を使わせないようになっていました。 さらに、出勤直後に1時間休憩という労働法違反もありました。 非常識かつ違法な労務管理で過労死を発生させた会社… https://t.co/BsMDcIzA2f"
              • 専業主婦前提の「幸せな家庭像」 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                海老原嗣生さんは最近、プレジデント・オンラインで女性の生き方、働き方をテーマに連載記事を書いているようですが、昨日アップされた「専業主婦を量産した昭和の残滓が令和の女性を苦しめる…経済力を持った女性が結婚を選ばなくなった根本理由」では、戦前までの男女差別的な法制度では「なく」、戦後広がったある理想的なモデルが男女役割分業を増幅していったことを述べています。 https://president.jp/articles/-/70790 ・・・日本の場合、1945年の敗戦で明治の法体系は捨て去られ、1946年公布の新憲法により、男女同権が謳われました。本当はそこで、女性の地位は回復するはずだったのですが、昭和の社会では、差別が巧妙に進化し、精密機械のような枷となって、より深く私たちの「常識」に染み込んでいきます。 見合いではなく恋愛で結婚相手を選び、老親から離れて核家族として世帯を持つ。そして、

                  専業主婦前提の「幸せな家庭像」 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                • 【本棚を探索】第1回:ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                  『労働新聞』に代わる代わる月1回連載してきた書評コラムですが、新年からは「本棚を探索」というタイトルで、引き続きやっていきますのでよろしく。 その第1回目が本日ネット上にアップされています。ブランコ・ミラノヴィッチの『資本主義だけ残った』です。 https://www.rodo.co.jp/column/119798/ 昔のキャラメルのCMではないが、1冊で2度おいしい本だ。1つ目はアメリカをはじめとする今日の西側の資本主義を「リベラル能力資本主義」と規定し、それがもたらすシステム的な不平等と、それがなまじ能力による高い労働所得に基づくがゆえに旧来の福祉国家的な手法では解決しがたいパラドックスを描き出す第2章である。 19世紀の古典的資本主義では、資本家が裕福で労働者は貧しかった。20世紀の社会民主主義的資本主義では、社会保障や教育を通じてかなりの再分配が行われた。これに対して、21世紀の

                    【本棚を探索】第1回:ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                  • ジョブ型の基礎の基礎復習(産経新聞と朝日新聞のインタビュー) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                    コロナ禍で緊急事態宣言が延長される今日この頃ですが、変なジョブ型論がまかり通っているという点では昨年と相変わらずの状況で、本人もいい加減にしたいのですが、やはり昨年産経新聞と朝日新聞というある面では対極的なメディアで、全く同じような趣旨のインタビュー記事に登場したのを、再三お蔵出ししないといけないようですね。 https://www.sankei.com/premium/news/201014/prm2010140001-n1.html(間違いだらけの「ジョブ型」議論、成果主義ではない…第一人者・濱口桂一郎氏が喝!) 新型コロナウイルス禍でのテレワーク拡大で社員の評価が難しくなっていることを受け、日本企業の雇用システムを欧米流の「ジョブ型」に切り替えるべきだとする議論が新聞や雑誌で盛んになっている。だが、ジョブ型の名付け親で、労働問題の第一人者として知られる濱口桂一郎労働政策研究・研修機構

                      ジョブ型の基礎の基礎復習(産経新聞と朝日新聞のインタビュー) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                    • 職務限定・成果給の両立難題@神林龍@日経経済教室 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                      本日の日経新聞の経済教室に、神林龍さんが「ジョブ型雇用と日本社会」の「中」として「職務限定・成果給の両立難題」を書かれています。 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO66953900T01C20A2KE8000 日経新聞がひたすら宣伝している「ジョブ型とは職務を定めた成果主義なり」という奇妙な議論を、(私と違って紳士的なので、頭から叩きつぶすのではなく)やんわりとしかししっかりと否定しています。 ・・・結局、ジョブ型雇用を職務記述書と成果給の混合と解釈しても、その道のりは険しい。いわゆる日本的雇用から抜け出そうという意図は察せられるが、その組合せは論理的な矛盾をはらんでいる。・・・ そして、日経式ジョブ型論がなぜか都合よく忘れたがるこの点もしっかりと指摘しています。 ・・・さらに職務記述書を重視するのであれば、使用者は日本的雇用慣行の下で享受してきた広

                        職務限定・成果給の両立難題@神林龍@日経経済教室 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                      • 今井順『雇用関係と社会的不平等』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                        これは著者からお送りいただいた本ではなく、面白そうだったので読んでみたものです。 http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641174580?top_bookshelfspine 1980年代半ば以降30年にわたる「雇用改革」は,雇用関係をどのように変え,社会的不平等と排除のパターンにどのような影響を与えたのか。「産業的シティズンシップ」に着目し,日本の正規雇用と非正規雇用の格差拡大について一貫した論理で整理する意欲作。 読んでみると、今井さんの問題意識はほぼわたくしのそれと重なっています。副題には「産業的シチズンシップ」が出てきますが、本書で取り上げられるのはその特殊戦後日本的な形態たる「企業別シチズンシップ」であって、この概念はほぼわたくしのいう「メンバーシップ」と重なります。 第1部でその形成史を簡単に概観した後、第2部と第3部で、ここ3

                          今井順『雇用関係と社会的不平等』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                        • 経済産業省の自業自得 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                          いや、ちんけな犯罪をやらかしたどこぞのちんぴら役人のはなしではありません。経済産業省という自称一級官庁がそのイデオロギーとして振りかざした株主主権至上主義が、ブーメランのごとく自らに攻撃をかけてきているという皮肉な構図を言っています。 それを真正面から指摘しているのは、東洋経済オンラインにおける岩村充氏です。 https://toyokeizai.net/articles/-/436207(東芝問題、新聞が報じない経済産業省の本当の罪 自ら推進した「株主主権主義」の罠にはまった) ・・・・このたびの経済産業省の滑稽さは、彼らを「不公正」と非難する報告書に記載されている個々の行状にあるのではない。彼らの滑稽さは、報告書が同省の関与を「不公正」であると断じた基準が東京証券取引所による「コーポレートガバナンス・コード」であり、そのコードなるものの作成に深く関与したのが他ならぬ経済産業省自身である

                            経済産業省の自業自得 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                          • 社会も葬式のたびに進歩する - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                            成田悠輔氏が高齢者に集団自決を勧めたというのが話題になっていますが、たまたま別件で経済同友会の機関誌『経済同友』をぱらぱらめくっていたら、その成田悠輔氏が経済同友会代表幹事でSOMPOホールディングスCEOの櫻田謙悟氏と「生活者共創社会」について対談しているんですが、 https://www.doyukai.or.jp/publish/uploads/docs/2022_11_P03-07_toku_1.pdf そこで櫻田さんが一生懸命、 一番は、戦後に作られた価値観やルールの改革です。例えば新卒・メンバーシップ型の就職スタイル、硬直化した大学間の序列、それを是とする教育方針は、戦後のレジームそのままだと思います。これが挑戦心や好奇心をどんどん失わせています とか、 この漫然とした安心感が圧倒的に生産性を下げていたと思いました。そこでわが社はジョブ型の雇用へとシフトし始めました。 と論じて

                              社会も葬式のたびに進歩する - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                            • 職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折@『季刊労働法』2020年春号(268号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                              というわけで、『季刊労働法』2020年春号(268号) が刊行されました。中身のラインナップは既に9日に紹介していますのでそちらを御覧頂くとして、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-3c7f27.html ここでは、私が書いた「職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折」の冒頭の部分と小見出しをチラ見せしておきます。 日本の公務員制度についての労働法からのアプローチは、長らく集団的労使関係制度の特殊性(労働基本権の制約)とその是正に集中してきました。それが国政の重要課題から消え去った後は、非常勤職員という非正規形態の公務員が議論の焦点となってきています。しかし、正規の公務員については、終身雇用で年功序列という日本型雇用システムのもっとも典型的な在り方を体現しているというのが一般的な認識でしょう。最近話題となった小熊英二

                                職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折@『季刊労働法』2020年春号(268号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                              • バカとアホが喧嘩するとワルが得する(再掲) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                なんだか最近、新型コロナウイルスにことよせて、またぞろ消費税減税とか言い出す輩が湧いてきているようなので、毎度の繰り返しで恐縮ですが、昨年1月のエントリを再掲しておきます。昨年1月のエントリなので、冒頭で「昨年末」と言っているのは一昨年末のことです。 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-02b2.html (バカとアホが喧嘩するとワルが得する) ============================================= 昨年末、松尾匡さんからメールで、反緊縮マニフェストに名を連ねてほしいというご依頼があったのですが、そのマニフェストの冒頭に「1 消費税を上げて不況が戻ってもいいのですか? 消費税を5%に戻して、景気を確かなものに。」という項目があり、それがこのマニフェストの主張の筆頭代表的存在である限

                                  バカとアホが喧嘩するとワルが得する(再掲) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                • N780BA on Twitter: "一度バイトやろうとしてたところで契約書に「雇用契約」じゃなくて「業務委託契約」って書いてあったから「サインしません」って言って帰ってきたことあるなあ 法学部で労働法学んでおいて良かったと心の底から思った https://t.co/rjdjAZAegg"

                                  一度バイトやろうとしてたところで契約書に「雇用契約」じゃなくて「業務委託契約」って書いてあったから「サインしません」って言って帰ってきたことあるなあ 法学部で労働法学んでおいて良かったと心の底から思った https://t.co/rjdjAZAegg

                                    N780BA on Twitter: "一度バイトやろうとしてたところで契約書に「雇用契約」じゃなくて「業務委託契約」って書いてあったから「サインしません」って言って帰ってきたことあるなあ 法学部で労働法学んでおいて良かったと心の底から思った https://t.co/rjdjAZAegg"
                                  • 海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                    海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』(プレジデント社)をお送りいただきました。 2022年に出生数が70万人台となり、さらにペースが加速している日本の少子化。 なぜ日本は“底なしの少子化”に陥ったのか? 「日本における最大の雇用問題は女性」と指摘する著者が、少子化問題を日本社会における女性のあり方の変遷から解説。これまで妊娠、出産、育児の負担を押し付けられ、時代の常識に翻弄されてきた女性たちの心の視点から“少子化の原因”をひも解く。 平塚らいてうvs与謝野晶子の「女権×母権」論争から、「働け、産め、育てろ」という三重苦を負わせた女性支援、婚活・妊活ブームの圧力、不妊治療の最前線まで、女性を結婚や出産から遠ざけてきた“正体”に迫る1冊。 いつもの海老原節が全開の女性論ですが、内容は11年前の『女子のキャリア』の延長線上です。ですので、大きな枠組みについては全く同感するところが多い

                                      海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                    • 日本的インターンシップとジョブ型ヨーロッパのトレーニーシップ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                      一昨日届いた『労務事情』6月1日号は、私の「自己都合離職による給付制限割合52.8%」という1ページのコラムの次に、倉重公太朗さんの「インターンシップに関する法的留意点」という20ページ近い力の入った論考が載っています。 倉重さんもツイッターで紹介していますね。 https://twitter.com/kurage4444/status/1661588773971566592 労務事情でインターンシップについて書かせてもらいました。箸の上げ下げまで国に指導されるのはなんか違うと思うので少し強めのトーンで。 でもわたしは、ちょうどEUで欧州議会がトレーニーシップについての決議を見たところだったので、日本ってなんてのんきな国なんだろう、という感想を持ってしまいました。 というのも、昨日午後、都内某所で例によってジョブ型についての講演をしたところだったこともあり、ジョブ型社会の若者というのはとて

                                        日本的インターンシップとジョブ型ヨーロッパのトレーニーシップ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                      • 規制改革推進会議で自爆営業に対する規制が議論 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                        昨日(11月15日)の規制改革推進会議の働き方・人への投資ワーキンググループで、いわゆる自爆営業の問題が取り上げられたようです。 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human01_agenda.html 事務局の提出した資料には、全部で21の自爆営業の事例が載っています。 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human02_05.pdf 近年(2020 年以降)発生及び報道された自爆営業の事案について、報道や有識者からヒアリン グした情報を元に、事務局が、自爆営業の態様や業態をもとに類型化し、整理した。 また、事務局が有識者(弁護士、社会保険労務士、労働法研究者等)か

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                                        • 権丈善一・権丈英子『もっと気になる社会保障』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                          権丈善一・権丈英子『もっと気になる社会保障』(勁草書房)をお送りいただきました。 https://www.keisoshobo.co.jp/book/b611474.html 社会保障政策は最大規模の公共政策であり、国民経済と国民生活の現在と未来を左右するものである。社会保障政策の舵取りはどうあるべきか。改革の青写真を論じ続けている著者が来るべき制度改革への指針を示す良質のガイド。既刊『ちょっと気になる~』シリーズ姉妹編として、「社会保障」をめぐるより深い知識と視点に導く一書。 「ちょっと気になる」シリーズの最新刊かと思いきや、よく見ると「もっと気になる」でした。 しかも、表紙にある「へのへのもへじ」と「へめへめしこじ」がずらりと7人も並んでいて壮観です。 この本はたぶん、権丈夫妻のはじめての共著じゃないでしょうか。タイトルは「社会保障」ですが、中身は年金、医療介護、労働、税などなど盛りだ

                                            権丈善一・権丈英子『もっと気になる社会保障』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                          • 両方の旗を取られて・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                            > 統一することなくねじれて併存 > 都合良く出したり引っ込めたり でも、どうやら、政党に限らず、そうしているうちに奇妙なものが出来上がるのは、必然なんですかね。特に(仮想?)敵に対抗することで動員を図っている、とですね。 >もともと旧民主党には、小泉よりももっと構造改革!という(ネオ)リベラルな方向性と、格差是正だネオリベ反対だというソーシャルな方向性が、統一することなくねじれて併存していて >自民党の中の総裁候補が新自由主義からの転換を掲げたり、規制改革を掲げたりすると、 新自由主義からの転換を掲げている総裁候補と規制改革を掲げている総裁候補は別の方なので、自民党にも旧民主党と同様に(ネオ)リベラルな方向性と、格差是正だネオリベ反対だというソーシャルな方向性が併存しているという事ではないでしょうか? 私の感覚では、現在の(維新の会以外の)野党は格差是正を目指すソーシャルな方向性が強いと

                                              両方の旗を取られて・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                            • 低学歴を詐称することは懲戒解雇に値するが、高学歴を詐称することは雇止めにも値しない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                              この記事にこの上ない既視感が拭えなかったのですが、 https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20200814/2020009440.html(神戸市職員が学歴詐称で懲戒免職) 神戸市で24年にわたって勤務を続けてきた男性職員が、大学卒業の経歴を隠し、受験資格が高校卒業までとされる職員に採用されていたことがわかり、市は、この職員を懲戒免職の処分にしました。 処分を受けたのは、神戸市水道局に所属する48歳の男性職員です。 神戸市によりますと、この職員は、受験資格が高校卒業までとされる技術職員の試験を受けて平成8年に採用され、これまで24年にわたって勤務してきました。 しかし、この職員は実際は大学を卒業していて、ことしの3月に匿名の通報で経歴を偽っていたことがわかったということです。 このため、神戸市はこの職員を14日付けで懲戒免職の処分にしました。 同じ神戸市で、同

                                                低学歴を詐称することは懲戒解雇に値するが、高学歴を詐称することは雇止めにも値しない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                              • 休業手当が給与の半額以下になる理由(再掲+α) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                東京新聞に「「休業手当6割以上」なのに実際は4割 70年前の政府通達が影響も」という記事が載っていて、 https://www.tokyo-np.co.jp/article/57079 新型コロナウイルスの感染で飲食店の休業が長期化する中、休業手当の金額が少ないとの声が相次いでいる。一般に給料の「6割以上」として知られるが実際は4割程度にとどまり、生活保障の役割を果たせていないからだ。70年以上前の政府通達に基づいた計算方法が原因で、不合理だとの批判が強い。(渥美龍太) 記事を読んでいくと、指宿昭一弁護士やPOSSEの今野晴貴さんや日本総研の山田久さんまで出てきて論評していますが、肝心のなぜそうなっているのかについては、 1949年に出た政府通達で「休日は休業手当を支給する義務はない」とされた。70年余りたった今、長期の休業が続出する前例ない事態が起き、制度の盲点が浮かび上がった。厚生労働

                                                  休業手当が給与の半額以下になる理由(再掲+α) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                • 北欧の労働組合はEU最低賃金指令を断固拒否するぞ! - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                  昨年来、EUではフォンデアライエン委員長が言い出しっぺのEU最低賃金という構想が着々と進んでいて、既に2次にわたるEUレベル労使団体への協議を終え、欧州委員会が指令案を出すんじゃないかという状況になりつつありますが、それに断固としてNO!を突きつけているのが、EUで一番組織率が高く、団体交渉が盛んな北欧諸国の労働組合です。 https://www.socialeurope.eu/eu-legislation-on-minimum-wages-is-not-the-solution 例によって「ソーシャル・ヨーロッパ」から、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン3か国の労働組合の代表の連名による「EU legislation on minimum wages is not the solution」(EU最低賃金立法は解決じゃない)という文章を紹介しておきます。 We are deeply w

                                                    北欧の労働組合はEU最低賃金指令を断固拒否するぞ! - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                  • はんこ改正という歴史秘話トリビア - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                    なんだかコロナでテレワークの阻害要因がはんこだという話ですったもんだしているようですが、労働組合法における労働協約の効力発生要件に、わざわざそれまでなかったはんこを入れた改正があったという歴史秘話トリビアを。 終戦の年に作られた旧労働組合法は、その第19条で労働協約について規定していましたが、その時は書面で作ればよく、むしろ行政官庁への届出制となっていましたが、 第十九条 勞働組合ト使用者又ハ其ノ團體トノ勞働条件其ノ他ニ關スル勞働協約ハ書面ニ依リ之ヲ為スニ因リテ其ノ効力ヲ生ズ 勞働協約ノ當事者ハ労働協約ヲ其ノ締結ノ日ヨリ一週間以内ニ行政官廰ニ届出ヅベシ 1949年にGHQの命令で改正されたときには、第14条はこうなっていました。

                                                      はんこ改正という歴史秘話トリビア - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                    • 35-44歳層は何と呼ぶのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                      先日の「高齢者の定義は・・・55歳だった!?」という記事に対して、 高齢者の定義は・・・55歳だった!? なんと日本国の実定法上、「高年齢者」というのは55歳以上の人のことをいうんですね。 これは、55歳定年が一般的であった1970年代に作られた規定が、そのまま半世紀にわたってそのまま維持され続けているために、こうなっているんですが、おそらく現代的な感覚からすれば違和感ありまくりでしょう。 ちなみに、同省令には続いて、 45歳になったら中高年という規定もあって、こちらはそうかなという気もしますが(若者だと思っている人もいるようですが)、でも45歳からたった10年で55歳になったら高齢者というのは可哀想すぎますね。 こういうブコメがつきましたが 44歳まではなんというのだろう。中高年でないなら青年? 実は、高年齢者雇用安定法と対になる法律として青少年雇用促進法というのがあるんですが、 青少年

                                                        35-44歳層は何と呼ぶのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                      • 中小企業の雇用システムについて@愛知県経営者協会『日本企業に「ジョブ型」は馴染むのか?』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                        愛知県経営者協会の研究委員会報告書『日本企業に「ジョブ型」は馴染むのか?』が届きました。この「第5章 有識者からの寄稿」というコーナーに、「中小企業の雇用システムについて、報告書第1章・第2章を読んでの所感」という小文を寄稿しました。 私が2021年9月に『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)を刊行したとき、その主たる対象読者は、大企業部門の典型的な日本型雇用システムの中にあって、なにやら柔軟で生産性が高いと評判の目新しい「ジョブ型」とやらに興味が惹かれている人々であった。あちこちから「目から鱗」との評をいただけたのは、その狙いが当たったことを示しているのであろう。そう、欧米で実際に動いている本当のジョブ型は古くさくて硬直的であり、それゆえにこそ過度に柔軟化してしまった日本の組織の有り様の歪みを見直す清涼剤たり得るのだが、そこのところの認識が世のジョブ型論者は全くひっくり返っているのであ

                                                          中小企業の雇用システムについて@愛知県経営者協会『日本企業に「ジョブ型」は馴染むのか?』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                        • メディアがばらまく「ジョブ型雇用」のウソ@産経iRONNA - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                          産経新聞のオピニオンサイト「iRONNA」に「メディアがばらまく「ジョブ型雇用」のウソ 成果主義?解雇されやすい?思い込みが煽る「ジョブ型雇用」不安」を寄稿しました。まあ、このタイトルは産経側がつけたものですが、中身は先日産経の磨井記者によるインタビューで述べたことをさらに膨らませたものです。 https://ironna.jp/article/16209 経団連は今年1月に公表した『2020年版経営労働政策特別委員会報告』で、職務(ジョブ)を明確にした雇用制度「ジョブ型雇用」を打ち出した。新型コロナウイルス禍でテレワークが急増し、テレワークがうまくいかないのは日本的な「メンバーシップ型」のせいだ、今こそジョブ型に転換すべきだという声がマスコミやネットでわき上がっている。 日本型雇用システムの特徴を、欧米やアジア諸国のジョブ型と対比させて「メンバーシップ型」と名付けたのは私自身であるが、昨

                                                            メディアがばらまく「ジョブ型雇用」のウソ@産経iRONNA - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                          • 労働基準監督官も命がけ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                            全労働省労働組合の『季刊労働行政研究』45号が送られてきました。全文がPDFファイルでここにアップされています。 http://www.zenrodo.com/katsudo_event/images/no.45kantoku.pdf 特集は「過重労働の解消に向けた効果的な行政手法と法整備」で、政策的なことも書かれているんですが、やはり興味をそそられたのは、実際に臨検監督している監督官たちがこんな目に遭っているんだよというところです。「過重労働の解消に向けた効果的な行政手法と法整備」という項に出てくるんですが、まあ、事業主にとってあまり歓迎されざるお客様であるためでしょうか、かなり手荒なおもてなしを受けている実態もあるようです。 ・ガラスの灰皿(推定2kg以上)を机上に投げつけられ、椅子を 頭上まで振り上げられた。 ・胸や首などを平手打ちされた。 ・水をかけられ、体当たりされた。 ・「家を

                                                              労働基準監督官も命がけ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                            • 米中イデオロギー闘争・・・しかし何のイデオロギーの? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                              おそらく物事を商売の取引でしか考えていないトランプ大統領自身はこういう展開に居心地の悪さすら感じているのではないかと思われますが、コロナウイルスをめぐるここまでの展開が共和党の基調低音たる反共イデオロギーを表面に噴出させており、支持率の低下する一方の大統領としてもそれに乗っかって威勢よくイデオロギー闘争の旗を振って見せなければ後がない状況の中で、米ソ冷戦期かと見まがうような強烈なイデオロギー闘争の台詞が次々に繰り出されてきていますね。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61895920U0A720C2000000/ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61896140U0A720C2000000/?n_cid=DSREA001 (中国共産党の)習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ。中国の共

                                                                米中イデオロギー闘争・・・しかし何のイデオロギーの? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                              • 日本型年功制の源流はアメリカ型先任権だった!? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                吉田誠さんが『立命館産業社会論集』に書かれた「戦後初期における先任権移植政策の展開と労使の対応」という論文は、とても面白い論点を提起しています。 https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/60-1_3-15.pdf 本稿ではまずGHQや労働省が戦後占領期における先任権の日本への移植の奨励をどのように進めてきたのかを時系列的に明らかにする。当初,GHQは黒子役に徹し,米国に通じた学者や労働省を通して先任権を含む米国的な労働協約の奨励を進めてきた。しかし,1948年末に経済九原則が本国より命令として出されたことを受けて,人員整理による労使紛争を避けるためにGHQが直接的に先任権の導入を奨励・指導する立場に転じた。また経営者団体は,二つの枠組みで先任権を受けいれる姿勢を示した。一つは,消極的な解雇基準としてであり,ドッジ・ライン

                                                                  日本型年功制の源流はアメリカ型先任権だった!? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                • EUがAI規則を採択 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                  もう既に日本でも報道されていますが、昨日EUの閣僚理事会がAI規則案を正式に採択しました。 Artificial intelligence (AI) act: Council gives final green light to the first worldwide rules on AI これについては、規則案提案の際に労働関係に重点を置いてごく簡単に紹介したことがあります。 JILPTリサーチアイ 第60回 EUの新AI規則案と雇用労働問題 去る4月21日、EUの行政府たる欧州委員会は新たな立法提案として「人工知能に関する規則案」(COM(2021)206) [注1] を提案した。同提案は早速世界中で大反響を巻き起こしているが、本稿では必ずしも日本のマスコミ報道で焦点が当てられていない雇用労働関係の問題について紹介し、政労使の関係者に注意を促したい。・・・・ ヨーロッパで検討進むAI

                                                                    EUがAI規則を採択 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                  • 数合わせがやりやすいメンバーシップ型社会 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                    『労働新聞』にこんな記事が出ていて、思わず昔書いたエントリを思い出さざるを得ませんでした。 https://www.rodo.co.jp/news/109115/(女性限定で副部長職新設 兼務含め23人を任命 三井住友海上) 三井住友海上火災保険㈱(東京都千代田区、舩曵真一郎取締役社長)は今年7月、女性副支店長・副部長のポストを新設し、計23人を任命した。兼務のかたちも含めて既存の部長職をサポートする役割を任せ、業務経験を積むことでライン部長への登用を促す。2025年度までの時限的な措置とし、26年度以降は性別を問わず運用する予定。課長以上の女性管理職比率が16.5%まで高まってきているなか、課題となっていたライン長比率、役員比率の向上につなげる。・・・ 女性活躍ということで管理職比率を上げるために、ジョブ型社会では考えられないようなやり方が、メンバーシップ型社会では可能になるという話です

                                                                      数合わせがやりやすいメンバーシップ型社会 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                    • サイエンスは科学か学術か - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                      青木栄一『文部科学省』(中公新書)はいろいろ知りたいこともあって買って読んだのですが、いや確かに政策研究の観点からするとあれこれと大変面白い本だったんですが、ややトリビアながら「あぁそうだったんだ!」という発見があったので。 それは、文部科学省の英語名「Ministry of Education、Culture、Sports、Science and Technology」(略してMEXT)という、総務省といい勝負のやたらごちゃごちゃと長たらしい名前のうち、前半の「Education、Culture、Sports」が旧文部省からで、後半の「Science and Technology」が旧科学技術庁からだと思い込んでいたのですが、実はそうではなかったのですね。 旧文部省の英語名は「Ministry of Education, Science and Culture」。なんと文部省にもサイエン

                                                                        サイエンスは科学か学術か - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                      • 「復職可能」の「職」とはザ・ジョブか、ア・ジョブか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                        先日、某所の判例研究会でシャープNECディスプレイソリューションズ事件(横浜地判令和3・12・23)の議論に参加したのですが、改めて読み返してみて、出てくる医者がことごとくこの原告さんを「復職可能」と言っているのは何なんだろうか、と感じました。もちろん、判決文から間接的に事態を推測することしかできないとは言いながら、とてもまともに仕事ができそうにないこの人を「復職可能」とするのは、結局日本型雇用システムの故としか言いようがないなあ、と感じたところです。 日本以外のジョブ型社会であれば、傷病によって職務遂行不能に陥っていた人が「復職可能」かどうかを判断する基準は、その人の雇用契約に明記されている当該職務、ザ・ジョブ以外にはありえず、その当該職務を十全に遂行することができないのであれば、ほかの容易な単純労働がいかにできようがそんなことは何ら関係なく「復職不能」としか言いようがないはずです。 と

                                                                          「復職可能」の「職」とはザ・ジョブか、ア・ジョブか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                        • コロナ危機はMMTの出番? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                          今や中国以上にコロナウイルスがはびこり始めたヨーロッパですが、そのソーシャル・ヨーロッパから、ビュルツブルク大学のボフィンガー教授の「Coronavirus crisis: now is the hour of Modern Monetary Theory」(コロナウイルス危機:今こそMMTの出番)というエッセイを。 https://www.socialeurope.eu/coronavirus-crisis-now-is-the-hour-of-modern-monetary-theory コロナ危機でとにかく衛生政策が最重要なんだが、その結果経済に大きな影響を与える。 ・・・Yet the effects of the safety measures are comparable to an artificial coma of the entire economic system.

                                                                            コロナ危機はMMTの出番? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                          • メンバーシップ型外国人労働政策を求める経済団体 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                            これは、昨年5月に書いたこのエントリの延長線上の話ですが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-03bb33.html (ジョブ型入管政策の敗北) これ、逆に今まではなぜ文科系大学卒業生には「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を求めていたのかというと、そりゃ世界共通のジョブ型社会の常識から言って、大学まで行ってわざわざ何かを勉強するというのは、そこで学んだ知識や技能を活かして仕事をしたいからだろう、という日本型メンバーシップとは異なる世界の常識に合わせていたからなんですね。 ところが、残念ながら日本の企業の行動様式はそういうジョブ型社会の常識とは全く違っているので、なんとかしろと詰め寄られたら、まあこうするしかないわけです。現に日本の文科系大学の卒業生は、学んだジョブのスキルと違うなどというくだらないことは一切

                                                                              メンバーシップ型外国人労働政策を求める経済団体 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                            • 雇用保険の積立金で最低賃金を引き上げ?? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                              今朝の日経新聞に、「最低賃金1000円へ中小支援 省庁横断で検討会」という記事が出ていますが、 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49638740Q9A910C1EE8000/ 政府は最低賃金を全国平均で時給1000円に引き上げる目標を実現するため、省庁横断の検討会を今秋に立ち上げる方針だ。最低賃金アップが重荷になる中小企業への支援策を立案しつつ年3%以上の引き上げを続けて早期達成を目指す。パート労働者らの厚生年金加入を増やす制度改革の議論とも連動させ、短時間労働など多様な働き方をする人たちの年金の増額にもつなげる。・・・ その先を読んでいくと、簡単に読み飛ばせない一節がありました。 ・・・検討会では約5兆円ある雇用保険の積立金を使った中小企業支援策などが議論されそうだ。雇用保険には非正規労働者の処遇改善を促す助成金などがある。・・・ さらりと読むと

                                                                                雇用保険の積立金で最低賃金を引き上げ?? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                              • リバタリアンはジョブ型が大嫌い - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                                前にも市場原理主義者が薬学部は無駄だとか、薬剤師免許なんか要らないと言っているのをとらえて、からかうエントリ(下記)を書いたことがありますが、今度は教員免許をつかまえて無駄だと叫ぶリバタリアンです。 https://twitter.com/kurakenya/status/1615088835653959680 バカバカしい。小学校の先生なんて、大卒である必要もないのに教育学部卒の免許がいるが、女性の多くは実は十分に小学校の教員になれるし、普通のサラリーパーソンは十分に中学教員になれる。免許がムイミなだけ。 世にはびこる山のようないんちきジョブ型論者とそれに騙されている善男善女たちの思い込みとは全く逆に、ジョブ型社会というのは硬直的な職業資格社会であり、その職業のための教育訓練機関をきちんと修了してしかるべき職業資格を取得した人だけがその仕事を遂行できるのだという社会的共同意識をみんなが共

                                                                                  リバタリアンはジョブ型が大嫌い - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                                • スウェーデンの学校はミルトン・フリードマンの夢精 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                                  スウェーデンというと、どうしても社会民主主義モデルの右代表みたいな感覚が強いのですが、学校教育に関してはミルトン・フリードマン直伝の民営化+教育バウチャー制度というシン・自由主義の傾向が強いらしく、それを激しく批判するエッセイが、ソーシャル・ヨーロッパに載っています。 https://socialeurope.eu/swedens-schools-milton-friedmans-wet-dream 著者はリサ・ペリングという方ですが、タイトルがすごくて、「Sweden’s schools: Milton Friedman’s wet dream」(スウェーデンの学校:ミルトン・フリードマンの夢精)というほとんど罵倒に近い表現。 ・・・This creates a vicious circle. While private for-profit schools operate classr

                                                                                    スウェーデンの学校はミルトン・フリードマンの夢精 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)