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反社会学の検索結果1 - 40 件 / 58件

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反社会学に関するエントリは58件あります。 社会政治考え方 などが関連タグです。 人気エントリには 『松本人志さんの罪についての考察と提案反社会学講座ブログ』などがあります。
  • 松本人志さんの罪についての考察と提案反社会学講座ブログ

    ●まつもtoジャニー こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 ジャニー喜多川さんは、いい人でした。多くの芸能人を育て、テレビ界に貢献した功労者であり、育てられた芸能人にとっては恩人です。 でも、ジャニーさんは犯罪者だったのです。 24時間、つねに犯罪者でいる人などいません。犯罪者としての顔は、個人が持つ多くの顔のうちのひとつにすぎないのです。犯罪をしてるとき以外は、何食わぬ顔で暮らしてます。それはマジメな職業人の顔であったり、優しい父親・母親の顔だったり、情にあつい先輩の顔だったりします。 でも、そういう「いい人」が、犯罪者の顔も持ってたりするんです。 ジャニーズ問題から我々が学ばねばならないもっとも重要な教訓、それは、予断をもって犯罪告発の声を封じてはならない、ということです。 いい人は犯罪をするわけがない。社会的地位の高い人が犯罪者であるはずがない。無名の人間が犯罪を告発するのは売名

    • 陰謀がバレたひとたちのドキュメンタリー反社会学講座ブログ

      こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。呉座勇一さんは『陰謀の日本中世史』で、陰謀はほとんど成立しないといってます。陰謀に関わる人間の数が増えるにしたがって情報が流出する可能性も高まるので、陰謀は企んだとしてもたいていバレて失敗するものだと。 その実例が、なんとつい最近起きました。愛知県知事のリコール運動で署名が大量に偽造されたことがバレて、事務局長や関係者が逮捕されたのです。 みなさんすでにご存じとは思いますが、なんでみんなもっと喜ばないのですか? 興奮しないのですか? われわれは、違法な手段で政治を変えようと画策した陰謀がバレて失敗した実例をこの目で見られる幸運に恵まれたのですよ。貴重な歴史の瞬間に立ち会えたことを、もっと喜びましょうよ。 地上波のテレビドキュメンタリーは早朝・深夜に追いやられてしまったので、私は番組表でタイトルだけチェックして興味があるものは録画しておきます。 先日、

      • 続・エスカレーター片側空けの件反社会学講座ブログ

        こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。前回のブログ(エスカレーター片側空けの歴史を踏まえた提案)では、エスカレーターの片側空けをやめるべきであるとする意見を書きました。その後わかった追加情報などを補足しておきます。 片側空けの習慣がなかなかやめられないいちばんの理由は、それが合理的で効率がいいと思ってる人が多いからです。でも、片側空けが定着するまでの歴史とさまざまな人たちによる実証研究、メーカーの主張などを総合して検討すると、じつは片側空けは利用者全体の効率を下げている可能性が高いのです。みんなで両側に立って乗ったほうが、結果的に全員が早く移動できて社会全体の効率がよくなるし、事故も減って安全になります。 それと前回指摘したのは、急ぐ人のために片側を空けろというけど、真剣に急いでる人が実際どれだけいるんですか、って疑問。本気で急ぐのなら、階段を駆けるはずで、エスカレーターを歩いてる人は、

        • 池袋暴走事件と法の正義反社会学講座ブログ

          こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。池袋暴走事件の裁判がはじまり、被告が無罪を主張したことで、感情的に批判してるひとが多いようです。聞くところによると、テレビのワイドショーではコメンテーターがこぞってタコ殴り状態だそうです。 でも、ちょっと待ってほしい。みなさんの正義も暴走してます。 ホンネをいえば、私もあの被告に情状酌量の余地はないと思ってます。実刑判決でも全然かまわない。高齢だから事実上の終身刑になったとしても、同情はしません。 ただ、被告が裁判で無罪を主張することは、それとはまったく別問題です。法の正義、法手続き上の正義というものがあるのです。 日本人は、裁判で無罪を主張すると「ふてぇ野郎だ!」「反省の色がない!」と感情的に批判しがちですが、被告が無罪を主張するところからはじめるのは、裁判の形式として妥当なやりかたです。まず、無罪であるという被告の主張から出発し、検察側が被告の主

          • トロッコ問題のバカらしさを、頭の悪いひとにもわかるように解説します反社会学講座ブログ

            こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『教職研修』1月号掲載の連載記事で、トロッコ問題の問題点を指摘しました。ことの経緯は、ある小中学校で、授業を担当したスクールカウンセラーがいわゆるトロッコ問題を取りあげたところ、親から苦情が来て、学校側が謝罪したというもの。 ネットを見ますと、トロッコ問題そのもののバカバカしさに気づかない論理思考力欠乏症のひとたちが、苦情をいった親をモンペと決めつけたり、謝罪した学校の態度を批判したりと、お粗末な感情論ばかり。そんなひとたちのために、トロッコ問題のどこがヘンなのか、解説します。 まずは、トロッコ問題をご存じないかたのために説明を。手書きのきたない絵ですいません。ブレーキが壊れたトロッコが暴走し、こちらに向かってきます。線路の先には5人の作業員がいて、このままだと轢かれて死にます。あなたが手動でポイントを切り替えればトロッコの進路を変えられますが、そち

            • 『セクシー田中さん』の原作改変問題の検討と改善案反社会学講座ブログ

              こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。遅ればせながら、日テレと小学館から公表された『セクシー田中さん』ドラマ化の経緯についての報告書を読みました。 全体的な印象をいいますと、日テレのほうが詳細ですし(総文字数だと小学館版は日テレ版の3分の2くらい)、自分たちにとって有利なことも不利なことも併記しようとする姿勢が見られます。日テレ版を読んだあとに小学館版を読むと、小学館のほうは原作者と担当社員に不利なことをなるべく書かないよう配慮してるような印象を受けます。 ネット上では日テレのほうを強く批判する声が多いようですが、批判されることを覚悟の上で自分たちに不利になる証言も載せたのだから、当然の反応でしょう。報告書とは本来、事実関係をあきらかにするために作られるものだから、それでいいんです。保身のために、何も批判できないようなあいまいな文言の報告書でお茶を濁すようなマネをしなかっただけでも評価す

              • それは説教ではない。きみは論破されたのだ反社会学講座ブログ

                こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。かれこれ20年近く前から在宅ワークです。いまは書き下ろし単行本の原稿がようやく終盤に差し掛かったところです。書き上がってから全体を見直して手を入れるので、発売はまだしばらく先になると思います。 年末から録りためたテレビ番組をほぼ消化できました。『逃げ恥』の新春スペシャルドラマは、連ドラのときと変わらず、社会問題をぶっこんでくる姿勢が頼もしい。家庭と仕事の両立をはばむ日本社会のゆがみという従来からの問題に加えて、今回はコロナ禍ですよ。多くのドラマがコロナ禍という状況を無視してるなか、正面切って取り組んでたのは勇気があります。 勇気ある行動には、必ずケチをつけるひとが現れるもの。ツイッターを検索してみると、圧倒的に支持する意見が多いなか、批判的な意見もちらほらあるといった感じでした。 おもしろい反応だなあと思ったのは、少数の批判派に「説教臭くてムリ」「フ

                • 無宗教な私から見た政治と宗教の問題反社会学講座ブログ

                  こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。私は無宗教・無信心な人間です。などといいますと、自分もだとおっしゃるかたがいるのですが、たぶん違うと思います。私がこれまで見てきたかぎりでは、無宗教だと自称する日本人の大半は、宗教に無知で鈍感なだけなことが多かったので。 これから私は一連の旧統一教会や政治と宗教をめぐる問題について、ひとりの無宗教者・無信心者としての見かたをお話しします。 私はべつに共感を求めているのではありません。たとえ共感できないことでも、よのなかには自分とは異なる価値観や考えかたが存在するのだと認識していただければけっこうです。 信仰の多様性といってもいいかもしれません。あなたが信仰(信教)の自由と多様性を尊重する人間ならば、たとえ私のものの見かたや考えかたに納得できないとしても、尊重しようとするはずです。 もし、あなたが私に対して強い敵意や嫌悪感を抱き、私のような考えの者を排

                  • 小山田さんの件反社会学講座ブログ

                    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ネット上の迷探偵たちの華麗なる推理によると、私の正体はイジメに詳しい社会学者なのだそうです。だとしたら、やっぱり小山田圭吾さんのイジメ引責辞任の件について、私見を述べることを期待されてるんでしょうか。わかりました、述べましょう。でも、私の意見が気に食わなかったとしても、その社会学者に文句つけるのはやめてくださいね。 すでに議論百出なので、いまさら後出しで私が何をいっても、さほど目新しい意見にはならないと思います。ネットでさまざまな人の意見を読んでみたところ、私の考えに一番近いのはカズレーザーさんでした。 カズレーザーさんの発言を簡単にまとめると、小山田さんは自分が関与したイジメについて過去に謝罪や反省をした様子がまったくない。だから蒸し返されて批判されても自業自得ではないか。 私は小山田さんとほぼ同年代です。彼の若き日の音楽活動もリアルタイムで知って

                    • 修復できそうにない分断反社会学講座ブログ

                      こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。社会の分断が叫ばれるようになって久しいのですが、一番やっかいなのは、根拠のない陰謀論や都市伝説を信じる者と、信じない者との分断であるように思えます。 先日のアメリカ大統領選挙でもそれが如実に現れてました。トランプやその熱狂的支持者たちは、票が盗まれたなどと、たわごとをがなり立ててますが、具体的な根拠や証拠はまったく示されません。それこそが、都市伝説や陰謀論に共通する特徴です。 ツイッター上で流れた主張なんて、ヒドかった。検索すると、トランプ票がバイデンの票に変換されるシステムが見つかった! なんて情報が拡散していて、最初はジョークのネタなのだろうと思いましたけど、違いますね。あいつら本気で信じてます。 そんな便利なシステムがホントにあるのなら、トランプがまっ先に飛びついて、自分の票に変換しまくってたはずです。なにしろトランプは、自分が不利になる郵便投

                      • 3位決定戦不要論をもう少し詳しく説明します反社会学講座ブログ

                        こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。わはは。古谷さん、いってくれますね。 「「感動の押し付けはたくさんだ」運動嫌いの私が東京五輪に感じる"排除の空気"」 スポーツが嫌いなマイノリティのみなさん、スポーツ性善説にうんざりしてるみなさんは、記事を読んで溜飲を下げてみてはいかがでしょうか。 この際だから私もいわせてもらいましょう。私がなにより不快に思うのは、スポーツ選手やスポーツファンに顕著な現状肯定主義です。彼らはスポーツのシステムやルールがどんなに不条理・不合理であっても、批判しないんです。いまのシステムは偉大な先人や先輩が作ってくださったものだから間違ってない、自分が努力してそれに適応すればいいのだ、システムを批判するのはワガママで無礼な行為である、と考えます。 なので当然、ルールやシステムの不条理や不合理について深く考えるはずもなく、議論からも逃げます。「いろんな意見があるけれど、私

                        • レジ袋有料化の本当の理由反社会学講座ブログ

                          こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。私はこれまで一貫して、「それは根拠のある事実なのか」を追求してきました。その姿勢は『反社会学講座』以来ずっと変わってません。社会現象や文化と呼ばれるものが事実であるかどうかは、統計と歴史でしか確認できません。だから私はしつこく統計や歴史にこだわるのです。 信じる信じない、などという愚か者のたわごとは、どうでもいい。重要なのは事実かどうか、それだけです。フェイクを信じてもそれが事実に変わることはないし、事実を信じなければ事実でなくなるわけでもない。 フェイクを信じるのは個人の勝手ですが、フェイクで他人を批判・攻撃する行為は許されません。 『反社会学講座』で最初に取りあげたのは少年犯罪のウソでした。「少年犯罪は増えている」というフェイクで少年法の罰則強化や道徳教育の強制に世論を誘導しようとする連中を許せなかったんです。 私が最近レジ袋のことを話題にしてる

                          • スポーツに幻想を抱くのをやめませんか反社会学講座ブログ

                            こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。7日夕方にNHKの首都圏ニュースを観てたら、小学生の柔道全国大会が廃止になったという話題を詳しく取りあげてました。 私はこのニュースではじめてその件を知りました。検索してみると、先月発表されて一部で賛否の議論が起きてたみたいですね。スポーツへの興味ゼロの私は、スポーツ関連のニュースをほぼスルーしてるので初耳だったんです。 コーチや親が過剰な勝利至上主義に走る傾向が強すぎて、こどもたちのためにならないというのが理由とのこと。常識的な判断です。でもそれ、何十年も前からいわれてたことですよ。スポーツ性善説の幻想を広めたい人たちが批判論を押さえ込んでたんです。ようやくフタを開けましたか。 番組ではこの件について視聴者から寄せられた賛否の声をいくつか紹介してました。批判的な意見の例が、こちら。 「勝利を目指さないで何が競技なの?」 「戦い抜くことから得られる大

                            • 「させていただく」のルーツ反社会学講座ブログ

                              こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。図書館に行けないので、溜まったコピー資料を整理しています。おもしろいのがいくつか出てきましたので、そのなかのひとつを紹介させていただきます。 国文学者・池田弥三郎の「敬語の生態」というコラム。正確な執筆年を調べ忘れたのですが、60年代のコラム集に収録されてるので、おそらく50年代くらいに書かれたものかと。池田の著作集にも収録されてるのか、ネットでは確認できませんでした。もしかしたら入手困難な作品かもしれません。埋もれさせるにはもったいないので、引用しておくことにします。 池田の実家は銀座にある商家(天ぷら屋)だったそうです。店が休みの日には「本日休業仕り候(つかまつりそうろう)」と書かれたのれんを下げていたのだとか。いかにも老舗、って雰囲気ですね。 休業仕り候には、余計な卑下がなくていい。客に対して、必要以上にこびていないところがいい。ところが、昭和

                              • 反社会学講座 第1回 なぜ社会学はだめなのか

                                お知らせ この回の内容は、『反社会学講座』(ちくま文庫版)で加筆修正されています。引用などをする際は、できるだけ文庫版を参照してください。 ●社会学者の一般的な研究方法 日常生活の中や、新聞・雑誌・テレビの報道などから、気にくわない人間、こてんぱんにやっつけてやりたい憎たらしい相手を見つけ出します。これは、個人的な感情に基づいたものでかまいません。 (例・最近の若い奴らは講義の間、やたら私語が多い。私の素晴らしい講義を真面目に聞かないなんて、けしからん) その批判対象となる人たちが、なぜ気にくわないのか。落ち着いた雰囲気の喫茶店で(ドトールや、とりわけスタバは、アホ女子大生の巣窟なので適しません)コーヒーでも飲みながら、結論を出します。これももちろん、個人的な感情論で結構です。理系の学問ではこの段階の意見を仮説と呼びますが、社会学にかぎっては、仮説と結論は同義です。 (例・あいつらは親のス

                                • 「安全安心」はいかにして広まったのか反社会学講座ブログ

                                  こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ここ数か月というもの、自民党の政治家とオリンピック関係者が口を開けばふたこと目には「安全安心」。具体的にどんな対策でどれくらい安全になるのかは示されず、連日連夜、「安全安心」というおまじないの言葉だけを何千回も聞かされてきたことにうんざり、イライラしてるかたも少なくないのでは。 そんなみなさんに残念なお知らせです。彼らは安全安心の連呼をやめないでしょう。なにしろ、「安全安心」というおまじないを日本中に広めたのは、他ならぬ自民党だったのです。 「安全安心」「安心安全」は、1980年代中頃に食品業界の一部でぼちぼち使われはじめた言葉です。それ以前の日本人には、「安全」と「安心」を同時に組み合わせて使う発想がほぼありませんでした。 数少ない例外が、1969年4月号の『月刊社会党』に掲載された論文「安全の論理と安心の論理」。 ん、社会党? 自民党じゃないの?

                                  • 社会派ドラマの傑作の予感反社会学講座ブログ

                                    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。サッカーに1ミリも興味がない私はいつもどおり映画やドラマを観ています。先日、アマゾンプライムビデオに再加入しました。 今回のお目当てのひとつは『シン・ウルトラマン』。ちゃんとSFマインドみたいなものを感じさせてくれるのがよかったです。ただ、SF的な要素の説明は必要最低限で済ませてしまってるので、SFを囓ってきた人たちは、だいたいああいうことだなと察することができますが、わからない人たちはちょっと置いてけぼりをくらうかもしれません。 『シン・ゴジラ』ほどのレベルには至らなかったけど、ありきたりなヒーローものとはひと味違う、オトナの鑑賞にも耐える作品にはなってます。 『シン・ウルトラマン』では捕まって変身できないウルトラマンの救出に単身で乗り込んだり、巨大化させられたり(笑)と大活躍だった長澤まさみさんは、今期のテレビドラマでも活躍中。 それが『エルピス

                                    • 参議院は選挙でなく抽選にしちゃえばいいんじゃない?反社会学講座ブログ

                                      ナポリ3区の有権者のみなさま、ごきげんいかがでしょうか。新党アルデンテ代表のパオロ・マッツァリーノが地元に帰って参りました。10年前から新党です。今後もずっと新党です。 きっといまごろ日本では、参議院選挙で大盛り上がりだと思いますが……え、全然盛り上がってないの? ほら、だからずっと前から私はご提案してるのですよ。『日本列島プチ改造論』に書いたように、どうせみんな選挙に関心がないのなら、参議院はいっそのこと裁判員制度と同様に国民から抽選で議員を選んでしまえというアイデアです。 県ごとの人口に応じて定数を決めて、県民から抽選で選べばいいので簡単です。 裁判員制度だって導入前には、日本では絶対うまくいくはずがないと悲観的な予言が多かったことをおぼえてますか? けど、やってみたら、なんだかんだ続いてるじゃないですか。参議院もやればできますよ。 以前著書でご提案した際には、報酬は日本国民の平均年収

                                      • 時事通信の連載は終了しました反社会学講座ブログ

                                        こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。もし楽しみにしてるかたがいたら申し訳ないのですが、時事通信のサイトでの連載は、私のほうから降板を申し出て終了しました。 理由は、自分の意見を書いてはいけないという不思議な編集方針にまったく納得がいかなかったからです。私はコラムというものは筆者の意見を書くものだと思っていたのですが、どうやら時事通信では自分の意見を書いてはいけないようなのです。 その理由というのが、時事通信は新聞などに記事を配信しているので、批判と受け取られかねないことは些細なことでも一切書かぬよう、配慮をお願いしますというものでした。 批判を一切しない報道メディアって、それじゃあ中国やロシアの国営放送と一緒じゃないですか。報道メディアとして自殺行為にも等しい方針です。 しかも私のコラムは時事ドットコムだけの掲載で、他のメディアにまったく配信されてなかったんです。だから問題ないのではと

                                        • 戦争の理不尽にあらがってみる反社会学講座ブログ

                                          こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。今月頭に、確定申告書を提出しに自転車で税務署に行ったついでに調子のって久々に少し遠出したら、翌日から足腰すべてが筋肉痛。歩くたびに「痛たた……」とうめく情けない状態で、日頃の運動不足を反省。そればかりか筋肉痛が治るのにも1週間近くかかったことで、老化が進んでいることも思い知らされ、へこみました。 とまあ、そんなちっぽけな苦労話がふっとぶくらいに大変な事態が、世界ではいまも進行中です。 戦争ほど理不尽なものはありません。戦争は、やりたいヤツが始めるのに、やりたくない者まで巻き込まれます。そして往々にして、やりたくない者が先に死んでいき、戦争を始めたヤツはヘリクツでおのれを正当化しつつ、のうのうと生き続けるのです。 戦争をやりたいヤツだけでやるのなら、どうぞご勝手にといえるけど、そうじゃないから、理不尽に対しては異議申立てをしなければいけません。黙ってガ

                                          • 被害者の存在を消すな反社会学講座ブログ

                                            こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先日、パソコンのマウスが壊れたので買いに出たら、平日の昼間なのにやけに街なかに人が多い……そうか、世間はいま春休みなのでした。 ●最大多数の最大幸福 1月末にアップして反響を呼んだ記事「松本人志さんの罪についての考察と提案」のなかで私は、大衆なんてのは薄情なものだから、1年も経たずに松本さん不在のテレビにみんな慣れてしまうだろうと予告しました。 1年どころか、騒動勃発から2か月も経たぬうちに、早くもそれが現実になってしまいました。テレビ界もお笑い界も何事もなかったかのように通常営業を続けてます。私はもともと松本さんの出演番組をほとんど見てなかったので、テレビが急につまらなくなったとは全然思いません。実際、松本さんが出なくなって視聴率が下がった番組はほとんどないそうです。 松本さんがいなくても何も変わらないことが証明されてしまったし、多くの視聴者はそれ

                                            • 誠実さゆえにむなしさが残る『進撃の巨人』反社会学講座ブログ

                                              こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先月から始まった秋ドラマは、目玉となるような大作はないけど、地味ながらキャスティングがうまくハマってる良作が多いので楽しみです。 ですが今日は、アニメにあまり関心のない私が珍しく長年観続けた『進撃の巨人』がついに完結したので、最後の感想を書きとめておきたいと思います。 私はアニメに偏見も思い入れもないので特別扱いはしません。一般的な劇映画やドラマと同じようにストーリーや人物像を中心に評価します。アニメの作画技術の良し悪しのような点は評価していないとおことわりした上で、アニメ『進撃の巨人』の最終的な総合評価をするならば、星5つ。満点です。 評価を上げるポイントは多々あれど、ここだけは納得できないといった、大きなマイナス要素はありません。減点する理由がない以上は、満点の評価をつけてもべつに甘くはないでしょう。 以下、詳しく説明したいのですが、どうしても終

                                              • 『松本人志さんの罪についての考察と提案反社会学講座ブログ』へのコメント

                                                ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

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                                                • エスカレーター片側空けの歴史を踏まえた提案反社会学講座ブログ

                                                  こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。新刊の『読むワイドショー』はお読みいただけたでしょうか。ネットで検索しても出てこない貴重な情報が山盛り、てんこ盛りで収録されたお得な一冊となってますので、ひとつよろしくお願いします。 さて、今日は全然べつのお話を。じつはしばらく前から、エスカレーターの片側空けの是非がかなり気になっていたので、調べてみました。 近年、自治体や鉄道会社はエスカレーターを歩かず、立ち止まったまま乗ってほしいというキャンペーンを張るようになりました。すると思ったとおり、急ぐ人のために空けておくべきだ、立ち止まるのを強制するな、と反発する声がほうぼうから上がってます。 でも改めて考えてみると、急ぐ人ってなんでそんなにエラそうにしてるんだろう。急ぐ人の権利を守るために多くの人が犠牲になってるいまの状況は、理不尽かつ不合理です。 東京だと左側に立って右側を空けるルールが定着してま

                                                  • 松本さんについての記事への反響など反社会学講座ブログ

                                                    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。松本さんの件に関するブログ記事へのご意見、ざっとですがひととおり目を通しました。ダイヤモンドオンラインに記事が転載されたこともあり、反響が膨大な量になってしまったので読みこぼしてしまったご意見も多いと思います。私はツイッターを熱心にチェックしてないので。 松本さんには「信者」といわれるくらいに熱狂的なファンがいることは以前から知ってました。批判的なことを書けば叩かれるのは承知の上で、ブログに記事を公開したんです。 でもフタを開けたら、私に賛意を表してくれるかたが圧倒的に多かったので、安心したというか、意外だったというか。私と同じようなモヤモヤを抱えつつも、言葉にできず口をつぐんでいた人が大勢いたのでしょう。 なお、私はツイッター上で何かに答えることはしてません。これまでも寄せられたご意見にはときどきブログで回答してきました。今回も反響に対する私の考え

                                                    • 倍速視聴と良いレビュアーの条件と2022年のベスト反社会学講座ブログ

                                                      こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ここ2年ほどでしょうか、映画などを倍速で観る人が増えたそうで、その是非が議論されるようになりました。 私には、倍速で観る意味がよくわかりません。話題の作品を観てないといったらバカにされるから、ムリしてでも観たという実績だけは作っておきたい、みたいな心理なのかな? でもおもしろい作品なら当然普通の速度で観ますよね。つまり、あまりおもしろくない作品を時短、タイパを優先して観るための手段なのでしょうけど、だとしたら理にかなってないんです。 たとえば2時間の映画は倍速で観ても1時間かかります。あまりおもしろくない作品を観る1時間は、やっぱりムダな時間でしかありません。 私の場合、映画やドラマは冒頭の15~20分を観て、おもしろくなりそうな気配がないな、自分好みのジャンルではないな、などと感じたら、見切りをつけてそこでやめてしまい、他の作品を観ます。よのなかに

                                                      • 『進撃の巨人』は熱狂を拒否する傑作反社会学講座ブログ

                                                        こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『鬼滅の刃』のアニメを初回だけ観てやめた私ですが、『進撃の巨人』には、ハマってます。シーズン3の後半が怒濤の展開だったので、続きがずっと気になってたのですが、ファイナルシーズンは期待を遙かに超えてました。原作コミックは読んでないので、これほどまでに戦争のおぞましさと哀しさを描く展開になるとは。 なぜ『進撃の巨人』をもっと話題にしないのか、と世間に問いたいくらいです。 その理由は、わかる気がします。『進撃の巨人』は熱狂を拒否する作品だからです。熱狂に不可欠なのは感情移入。正義と悪の戦いを描くエンタメ作品はほとんどの場合、主人公側が正義なので、観る側は安心して主人公に感情移入できるのです。 『進撃』もシーズン3まではそういう要素がありましたけど、ファイナルでは、もうファンに媚びるのをやめたのかな、と思うくらい吹っ切れた感じです。キャラクターたちも少しオト

                                                        • 旧統一教会問題を風化させないために反社会学講座ブログ

                                                          こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先週、7月3日から9日の週には、旧統一教会問題をあらためて検証する報道番組が地上波・BSで放送されました。旧統一教会に関しては、まだまだ現在進行中の問題がたくさんあります。終わったこととして風化させるわけにはいかないので、遅ればせながら、書き留めておきます。 ちなみに私はおよそ1年前、当ブログで政治と宗教に関する問題を論じました。(無宗教な私から見た政治と宗教の問題) かなり長い記事ですが、未読のかたはぜひ読んでください。本当に重要なことは140字では説明できません。140字の文章しか書けない人は、140字分の思考しかしてないんです。 宗教と政治が癒着するのは非常に危険であるという私の懸念はいまでも変わりませんし、強まるばかりです。宗教的な価値観なら「私は信じない」と拒否できますが、議会で多数派を占める与党と宗教団体が組んで宗教的価値観を法律化したら

                                                          • 『政治・社会 ことばの歳時記』外伝 政治風刺が普通にテレビで見られた頃反社会学講座ブログ

                                                            こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。時事ドットコムの連載が更新されました。 「表現の自由」、知られざる戦いの歴史 【政治・社会 ことばの歳時記】 今回のテーマは表現の自由。これまで日本で表現の自由が問題にされてきたのは、ほぼエロか政治風刺です。でも、エロ表現に関しては自由を守れ、と威勢よく味方してるのに、政治絡みの話となると、途端に腰がひけて無口になる人が多いんですよね。 表現の自由を掲げるなら、それなりの覚悟を持ってください。たとえ自分の価値観と合わない意見であっても、それが権力や暴力で潰されそうになってたら異議を唱えること。それができない者には、自由を語る資格はありません。 こんなことをいうと、じゃあヘイトスピーチにも表現の自由を認めるのか、と突っかかってくる人がいますけど、ヘイトスピーチはダメですよ。なぜならあれは内容が事実無根のウソばかりだから。反論を一切無視して、気に食わない

                                                            • パオロの部屋反社会学講座ブログ

                                                              こんにちは、パオロの部屋です。本日のお客様は、日本人客のマナーの悪さに耐えかねて日本人お断りにした石垣島のラーメン屋に批判の電話をかけたひとです。ようこそ。さっそくですが、批判した理由をお聞かせいただけます? 「日本人客がすべてマナーが悪いわけじゃないでしょ。だから日本人を一律で締め出すのはよくない」 まあ、それでわざわざ電話をおかけになって……。ずいぶんヒマなんですのね。あなた、お仕事はなにされてるの? 「オレのことは関係ないでしょ。それより、中途半端に徹子の口ぶりをマネするのやめて」 やめます。日本では賃貸物件を外国人と老人には貸さないことにしてる大家がたくさんいますけど、それもやっぱり一律で締め出してます。部屋を壊したり近所迷惑をかけたりする外国人と老人は一部にすぎないのに、全員に部屋を貸さないってのはよくないですね。そういう大家にも批判の電話をかけましたか? 「かけてませんけど」

                                                              • オリンピックを廃止してもいいんじゃないの?反社会学講座ブログ

                                                                こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。オリンピック開催の是非をめぐる意見がわかれてますけども、オリンピックやスポーツが好きか嫌いかによって、意見がかなりわかれるのは当然のことです。 スポーツ嫌いなヤツが勝手なことぬかすな、って意見は、普通のプロスポーツに関してなら通りますが、オリンピックの場合は莫大な国家予算を費やすのだから、日本で生活し税金を納めてる者全員に賛否を述べる権利があります。スポーツやオリンピックに興味のない者の意見を無視してはいけません。 そんなわけで、スポーツにもオリンピックにもまったく興味のない私から、今回だけでなく、もうオリンピックそのものをやめる時期に来てるのではないかという大胆な提言をします。 ちなみにですが、私はここ2年ほど、スポーツをまったく観てません。以前は少し観てました。アメフトのNFLとツールドフランスのテレビ中継です。 ツールドフランスはチーム間の駆け

                                                                • 『エルピス』と「消されたテレビ番組の全記録」反社会学講座ブログ

                                                                  こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。最終回がちょっと駆け足だったけど、『エルピス』は見応えがありました。結局政治家という巨悪は野放しのまんまかい、とモヤモヤした人もいるかもしれませんが、土壇場の駆け引きで浅川は当初の目的だった冤罪事件の解決というカードを引き出したのだから、落としどころとしては最善の選択といえるでしょう。釈放された元死刑囚と冤罪を信じていた女性がしあわせそうにカレーとケーキをほおばるシーンで、浅川と岸本の苦闘が報われたんだなあと思いました。すべての悪が断罪されるなんて結末だったら、逆にリアリティのないおとぎ話になってしまいます。 作品中の重要なテーマのひとつがマスコミ報道のありかただったわけで、このドラマに不満な人たちには逆に、じゃああなたは現実の報道に満足してるの? と問いかけたいですね。旧統一教会と政治の癒着も五輪汚職も、このままだとうやむやにされそうな気配が濃厚で

                                                                  • おすすめ本『ポピュリズムとは何か』反社会学講座ブログ

                                                                    こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。テレビもパソコンもゲーム機も、けっこう熱を出すから室温が上がります。なので熱を出さない紙の本を読もうってわけで、近ごろは家に積んであった本や、図書館で借りた本を読んでます。最近読んだなかからおすすめを1冊ご紹介しましょう。 『ポピュリズムとは何か』ヤン=ヴェルナー・ミュラー 板橋拓己訳 岩波書店 近年、社会の分断と呼ばれる現象は、ポピュリズムを支持する者と批判する者とのあいだに起きているといっても過言ではありません。この分断がなかなか埋まらないのは、ポピュリズムが持つ強烈な排他性にあることはあきらかです。論理的に考えようとせず、すべての正誤や善悪を最初から決めつけてしまってる人たちとは、まともな議論なんてできません。 ですから現代の世界情勢を読み解くのにポピュリズムの理解が不可欠なはずですが、こいつがなかなかやっかいです。ポピュリズムが持つ独善性(自

                                                                    • エア思考と「真実」反社会学講座ブログ

                                                                      こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。私の書き下ろし最新刊『思考の憑きもの』は、クリティカルシンキングの実践を軸とした思考をテーマとしています。『教職研修』2月号の連載記事でも、思考を取りあげました。 『教職研修』に書いたのは、「自分のアタマで考えよう」なんて無責任なメソッドを広めるのはやめてほしい、という記事です。 当ブログでも思考について、お話ししておきます。 で、先におことわりしておきます。長年いろいろ考えてきた私にとってはあたりまえのことでも、キビシい指摘ととらえる人もいるかもしれません。 ホントは、あまりキビシいことはいいたくないんです。こちらとしては、思考力がないのに自信過剰なバカを牽制したいだけなのですが、キビシい指摘をされると、バカはますますいきり立ちます。その一方で、まともでマジメな人ほど、キビシい指摘に萎縮しやすい。ヘタな感想を書いたらパオロに怒られそうだからやめとこ

                                                                      • テレビ番組評:ストライキのドキュメンタリーと旧統一教会の手口解説反社会学講座ブログ

                                                                        こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。去年まではわりと池袋に近いところに10年近く住んでたので、池袋にはちょいちょい行ってました。東京の他の大きな街にはない穴場的な雰囲気が気にいってたんです。でも西武・東武デパートで買い物をしたことはほぼなかったです。 その池袋西武で先月――いや、もう先々月になりますか、デパートとしては61年ぶりのストライキが行われました。 西武の池袋店は黒字経営だそうですが、グループ全体ではかなり苦しいようで、経営側がデパートという業態に見切りをつけて売却したのです。買収した会社がデパートの3フロアをヨドバシカメラにする計画に反対する西武の従業員がストに踏み切ったのでした。 西武グループがこじゃれた広告やCMを流しまくって消費文化を牽引していた絶頂期を知ってる世代の私としては、感慨深いものがあります。 デパートに限らず、いまや日本ではストライキ自体が非常に珍しいものに

                                                                        • あらためて、ベーシックインカムをおすすめします(メンタリストにも)反社会学講座ブログ

                                                                          こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。社会が豊かになると、なぜか排除の空気が強まるのだよなあ。と嘆息してしまった、例のメンタリスト炎上発言問題。 まあ、あの人にかぎらず、自分の払った税金が生活保護やホームレス支援に使われるのは不公平だと吐き捨てる人は少なからずいます。 だから、ベーシックインカムをやろうよ、と前からいってるんですよ。ベーシックインカムならみんなが払ってみんながもらえる、これほど公平で合理的なシステムはありません。 なのに、生活保護制度になんだかんだと難癖つける人たちは、なぜか合理的なベーシックインカムにも反対するんですよ。でもその反対理由というのは、 「竹中平蔵がベーシックインカムを支持してるから」 「維新がベーシックインカムを支持してるから」 みたいなのばっかりなんです。それはベーシックインカムでなく竹中さんや維新が嫌いなだけでしょ。 私だってベーシックインカム以外の維

                                                                          • 松本人志さんの罪についての考察と提案反社会学講座ブログ

                                                                            ●まつもtoジャニー こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 ジャニー喜多川さんは、いい人でした。多くの芸能人を育て、テレビ界に貢献した功労者であり、育てられた芸能人にとっては恩人です。 でも、ジャニーさんは犯罪者だったのです。 24時間、つねに犯罪者でいる人などいません。犯罪者としての顔は、個人が持つ多くの顔のうちのひとつにすぎないのです。犯罪をしてるとき以外は、何食わぬ顔で暮らしてます。それはマジメな職業人の顔であったり、優しい父親・母親の顔だったり、情にあつい先輩の顔だったりします。 でも、そういう「いい人」が、犯罪者の顔も持ってたりするんです。 ジャニーズ問題から我々が学ばねばならないもっとも重要な教訓、それは、予断をもって犯罪告発の声を封じてはならない、ということです。 いい人は犯罪をするわけがない。社会的地位の高い人が犯罪者であるはずがない。無名の人間が犯罪を告発するのは売名

                                                                            • 災害時でも理性を失わぬために反社会学講座ブログ

                                                                              こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。今年の日本は年明け早々から大地震やら飛行機事故やらと、エラいことになってます。 災害が発生するとすぐさまツイッターに悪意のあるデマが流れだすのが、もはや恒例になってしまいました。ニセの救助要請を書きこむなんて悪質なことがよくできるもんです。芯から性根が腐ってるヤツなのでしょうか。救助をする側の人員は限られているのだから、もしもデマに振り回されたら、本当に救助を求めてる人が救われる確率が下がるかもしれないのに。 あと、被災地での犯罪に関するデマ情報にも注意が必要です。以前に当ブログでは『災害ユートピア』という本をおすすめしました。(災害関連で必読のおすすめ本) 著者のレベッカ・ソルニットさんは災害後の被災者たちの実態について、世界中の事例を検証しています。それによると、災害発生後に被災地で起きた犯罪は、多くの人たちが思っているよりもかなり少ないのだそう

                                                                              • 見応えがあった、この夏の戦争関連テレビ番組反社会学講座ブログ

                                                                                こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ひとむかし前までは、毎年8月に放送される戦争関連のテレビ番組といえば、戦争の悲惨さというお題目を感傷的に訴えるものばかりという印象でした。 でも最近は作り手の意識が変わってきたようです。忘れられた事実を掘り起こして伝えようとする、文化史的に価値のある番組が増えてきたのは好ましい。とくに今年は見応えのあるものが多かったです。 NHKの『あちこちのすずさん』は、『この世界の片隅に』で描かれたような戦時下の庶民生活体験談を一般から募集して紹介する企画。 私は『この世界の片隅に』の原作マンガに感銘を受けて、アニメ化される前から推してました。それまでの戦時下の生活を伝える物語は、抑圧された窮乏状態をみんなで必死に耐えました、欲しがりません勝つまでは! みたいな暗い世情を描くものがほとんどでした。ところが『この世界の……』では、戦時下でも庶民が笑ってます。日常に

                                                                                • 再読で気づいた『有閑階級の理論』のおもしろさ反社会学講座ブログ

                                                                                  こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 略奪行為が集団で行われる場合には、この傾向は軍国主義とか、最近では愛国心などと呼ばれている。 なかなかエッジの効いた皮肉です。「最近では」となってますが、この「最近」とは1899年、日本でいえば明治32年のこと。 これは2022年に読んだ本のなかでもっともおもしろかった本からの引用です。 『有閑階級の理論[新版]』ソースタイン・ヴェブレン 村井章子訳 ちくま学芸文庫 いわずと知れた、社会学の古典的名著です。私は20年以上前に読んだきりでしたけど、近年(といっても7年前だけど)新訳が出ていたことを知り、図書館でぱらぱらとページをめくっていたら、古臭さがまったく感じられないことに驚きました。 愛国心などという美辞麗句を免罪符にして略奪行為を正当化する無法者どものやり口を、ヴェブレンは100年以上前に見抜いてました。その指摘がいまでも通用してしまうのはヴ

                                                                                  新着記事