そのほとんどが1ページで終わる藤岡拓太郎の漫画は、いきなり始まって、いきなり終わる。ここには“途中”という感覚がある。高級レストランにて指輪を忍ばせた寿司ネタでプロポーズする大将、家電売り場にInstagramを買い求めにやって来る夫婦、息子の運動会に参加するも借り物競争のモノが見つからず町中を走り回るおっさん、擬音だけで『桃太郎』を読み聞かせる父親、コンビニの店員にとつぜん誕生日を迎えたことを告げられる男・・・など描かれているのは1ページの中で巻き起こる少し特異な出来事なのだけど、ここにはたしかに”これまで“と”これから“があって、読み手は、このキャラクターたちの人生を想像してしまう。それを端的に表現しているのが「キャベツを買った人」という一編だろう。 1ページ漫画「キャベツだけ買った人」 pic.twitter.com/gtB9ni96QY— 藤岡拓太郎 (@f_takutaro) 2