数の発達と暦 Web連載『数の発明』では 数の発明と数学の進歩 について述べてきました。農耕が始まり経済活動が活発になると、数が発明され数学が進歩し始めた、というのが有力な説です。もうひとつ、文明の重要な要素に暦(こよみ)があります。発達した社会生活を営むには暦が必須要素であり、暦の作成には天体の観測が必要です。天文学こそ人類にとっての最初の“科学”でした。暦(こよみ)は数の発達に大きな影響を与えています。たとえば、数を12ずつ束(たば)ねる12束法は、世界各地で見られますが、これは1年が12ヵ月であることが大きな要因の一つと思われます。また、時間や角度が 60進法なのは、バビロニアの天文観測からではないかと考えられています。人類が制定した制度の中で暦ほど文化に密接したものはなく、暦ほど文化を越えて広範に伝播したものはないだろうとも言われています。農耕と文字と同様、暦も古代オリエント世界の