「拝謁記」が投げかけた昭和天皇と田島道治の謎 菊地史彦 ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師 昭和天皇はマッカーサーに戦争責任を認めたのか? 「東条にだまされた。しかし…」という天皇の論理 昭和天皇の戦争責任と「言葉のアヤ」発言の論理 「拝謁記」は何を語るのか 2019年8月17日に放送された「NHKスペシャル 昭和天皇は何を語ったのか~初公開・秘録 拝謁記」は大きな話題を呼んだ。1948年6月から1953年12月まで、宮内庁(当時は宮内府)長官を務めた田島道治が残した記録に、田島と昭和天皇の対話が克明に記録されており、その中には天皇自身が退位に言及する場面や、戦争を止めえなかった悔恨と反省の言葉が記されていたからである。NHKは番組を告知するWebサイトで「昭和天皇の生々しい肉声が記された超一級の資料の全貌」と書いている(「NHK NEWS WEB」