4月下旬、1人の元外交官が死んだ。 公表されたのは、2週間後。国の内外から惜しむ声が寄せられた。 いわく「日米同盟の擁護者」「日米関係の巨人で真の愛国者」「知的で品があった」アメリカの要人たちは、こう声をそろえ、功績と人柄をたたえた。 国内でも政界にとどまらず、芸能界、沖縄など各方面から惜別の言葉が寄せられた。 岡本行夫。彼のなにが、これほど人を魅了したのか。 (渡辺信、山本雄太郎、木村有李) 記者たちは知らない 「岡本行夫さんが、新型コロナウイルスで亡くなったようだ」 情報が入ったのは、5月7日だった。外務省を担当する私たちだが、彼が外交評論家としてテレビで活躍する姿は見ているものの、外交官時代に取材したわけではなく、正直、よく知っているとは言えない。彼と関係がありそうな人たちに次々と電話した。 取材を進めると、2週間ほど前に亡くなっていたと確認が取れた。深夜になって速報を流した。 それ