北海道・知床半島沖で乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故で、乗客14人の遺族ら29人は3日、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に計約15億円の損害賠償を求める集団訴訟を札幌地裁に起こした。原告側は、同社で法令・規定違反が常態化しており、安全管理体制の欠如が事故を発生させたと訴えている。 事故を巡り、乗客の遺族らが会社側を提訴するのは初めてとみられる。 訴状などによると、カズワンは2022年4月23日午前10時ごろ、北海道斜里町のウトロ港を出航。同社が海上運送法に基づき作成した運航基準では、風速8メートル以上、波高1メートル以上の場合に出航中止と定めていたが、当日の気象庁予報は風速15メートル、波高2~2・5メートルだった。さらに船首付近のハッチに不具合があり、ふたが固定されない状態だったのに悪天候で航行したため、海水がハッチから入り