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樋口直哉の検索結果41 - 80 件 / 111件

  • ほんだしのテクニック|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

    日本で最もポピュラーな即席だしは味の素社が販売している『ほんだし』です。発売は大阪万博が開催された1970年。発売から五年でシェアの40%を獲得し、2018年決算の資料の情報ではシェア58%と圧倒的。ある大学で平成18年に行われた調査(「大学生の味覚感受性(特にうま味)と食習慣について」)によると顆粒だしを使っている家庭は全体の52.2%とのこと。もちろん、ほんだし以外にも顆粒だしの製品はたくさんありますが、顆粒だしが日本の家庭の味を作ったと言っても過言ではありません。 出汁に必要な要素は「香り」「コク」「うま味」の3つ。味の素にはもともとコクとうま味の技術はありましたが、香りの研究では苦労したようです。ちなみにこんぶだしの発売は2008年と結構最近。しかし、スーパーの棚に商品としてラインナップされると強いインパクトがありますね。 ほんだしはうま味調味料とは違い、砂糖や食塩、鰹節などの風味

      ほんだしのテクニック|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
    • 冷奴の基本〜豆腐は食べる20〜30分前に準備する〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

      夏の夕方。すこし風が出てきて、幾分涼しくなってきたかな、という時期に食べる冷奴は格別。冷房のない時代は夏の涼味の一つとして、親しまれたのでしょう。冷奴はわりと難しい料理です。簡素なものほどおいしくつくるのは難しい。最大のポイントは〈温度〉にあります。 冷奴には木綿豆腐でも絹ごし豆腐でもどちらの豆腐もあいます。しかし、今の時期はやっぱり絹ごし豆腐という感じでしょうか。 豆腐はメーカーによっても味が大きく異なります。今回はおとうふ工房いしかわの豆腐を使いました。オリゴ糖が入っているので、いわゆる豆臭さがうすいのが特徴。入手もしやすいですし、オススメです。 4等分するとちょうどいい大きさになるかな、と思います。関西の方は冷奴は正方形でないと感じが出ない、とよく言いますが、味にはたいして違いなし。 問題は温度です。 豆腐のおいしさは大豆に含まれる脂質が関係しています。豆腐は低温の状態で流通していま

        冷奴の基本〜豆腐は食べる20〜30分前に準備する〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
      • うま味が最大限に引き出された白菜鍋の秘密|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

        定番メニューをおいしく作る方法を、その理由とともに解説する本連載。今回は白菜を使った鍋、「扁炉(ピェンロー)」をアレンジしたレシピをご紹介します。干し椎茸のうま味を生かすためのポイント、白菜の正しい使い方とは? 白菜を使った鍋といえば舞台美術家でエッセイストの妹尾河童さんが著書のなかで紹介し、人気メニューとなった『扁炉(ピェンロー)』が有名。今回はそれをアレンジした白菜鍋をご紹介します。そもそもピェンローとは中国では鍋料理の総称。妹尾河童スタイルのピェンローは中国では一般的ではなく、日本生まれのオリジナルと言っていいでしょう。 白菜鍋のポイントは乾物の旨味を上手に活かすこと。味のベースには干し椎茸を使い、そこに豚肉の旨味を重ね、白菜と調和させます。干し椎茸に含まれるグアニル酸、豚肉のイノシン酸、白菜のグルタミン酸という異なる種類の旨味を重ね、たっぷりのごま油でコクを出しましょう。 白菜鍋材

          うま味が最大限に引き出された白菜鍋の秘密|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
        • お肉の存在感が際立つ、お手軽ミートソース|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

          定番パスタのミートソースをひき肉だけを使って簡単につくります。肉を練らず、肉を触らずに焼くことで、肉の香ばしさと存在感が引き立つミートソースが仕上がります。 洋食スタイルのミートソースです。ミートソースの構造はひき肉のイノシン酸と野菜のグルタミン酸で旨味の土台をつくり、そこに糖分で厚みを加えていくイメージ。今回はシンプルに玉ねぎの代わりに砂糖を使い(玉ねぎと砂糖は同じショ糖の甘みを持っています)、短時間で仕上げます。コツは『ひき肉を練らない』ことです。 10分ミートソース材料(2人前) フェデリーニ(またはスパゲッティーニ)…160g 合挽き肉…250g〜300g 塩…小さじ1/2(3g) 砂糖…小さじ1+1/2(5g) 水…大さじ1 にんにく…1片(みじん切り) オリーブオイル…小さじ2 トマトジュース(無塩)…200cc 小麦粉…大さじ1 ウスターソース…小さじ1 粉チーズ…適量 1.

            お肉の存在感が際立つ、お手軽ミートソース|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
          • 樋口 直哉 | 著者ページ | 東洋経済オンライン

            1981年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年『さよなら アメリカ』で第48回群像新人文学賞を受賞しデビュー。著書に小説『スープの国のお姫様』(小学館)、ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)、『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)などがある。

              樋口 直哉 | 著者ページ | 東洋経済オンライン
            • レタスの炒めもの 2種類|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

              オイスターソースは色々なメーカーから販売されています。どの銘柄でもいいのですが、塩味や濃度が異なるので量の調整が必要。今回使用した光食品のオイスターソースは濃度がゆるいので、味が絡みやすいのがメリット。オイスターソースのこってり感というよりも魚醤の風味が強く、わりとシャープな味です。 一般的なのは李錦記でしょうか。何と言っても李錦記のオイスターソースはメーカーが創業するきっかけになった商品です。昔は缶で売られていて、瓶に移し替える手間が必要だったのですが、あらかじめ瓶で売られているので便利になりました。こちらは濃厚でいわゆるオイスターソースらしい味わい。 作り方は極めてかんたん。僕の父が家でよく作っていたレシピで、もともとは丸元淑生さんの本に掲載されていたもの。レタスだけではなく、青菜などあらゆる野菜が同様に調理できます。 元レシピとの違いは塩の有無で、オリジナルは早い段階で塩を加えていま

                レタスの炒めもの 2種類|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
              • 基本の復習〜衛生管理その1〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                お店をやっている人であれば食品衛生責任者の資格をとるときに衛生法規(2時間)、公衆衛生学(1時間)、食品衛生学(3時間)の講習があったと思いますが、それ以外の人も食品と接するもの。この機会に一度、復習しておきましょう。 衛生や安全性を理解したい場合、よく参考にされるのが「大量調理施設衛生管理マニュアル」(生食発0616第1号 平成29年6月16日)です。それまでも調理衛生については営業者に対する指針として「弁当及びそうざいの衛生規範」などの各種の衛生規範や通知がなされていましたが、項目が多岐渡り「どうしたらいいかわからない」という問題もありました。それを解消するために作成されたのが「大量調理施設衛生管理マニュアル」です。 このマニュアルは同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する集団給食施設などにおける食中毒を予防するために作成されたものですが、もととなっているのは食品が

                  基本の復習〜衛生管理その1〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                • パラパラチャーハンの秘密は『ご飯』と『たっぷりの油』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                  食の博識、樋口直哉さん(TravelingFoodLab.)による科学的「おいしい料理」のつくり方。今回のテーマは『チャーハン』です。ご飯をお店風にパラパラに仕上げる秘訣を、理由も含めて解説していただきました。「油→卵→ご飯の順番に鍋に入れる」「加熱するときに鍋は振らないほうがいい」など、今回も新常識が盛りだくさんです。 チャーハンは、前日の夜に余った冷やご飯を利用した手軽な料理。なぜかこだわる方が多く、作り方を紹介すると「いや、こうした方がおいしい」という声が挙がる厄介な料理でもあります。とりあえずここでは僕なりのベターなレシピをご紹介しますので、こんな考え方もあるんだ、くらいに受けとっていただければ幸いです。 チャーハン冷やご飯 300g(約1合弱 ご飯茶碗にたっぷり2杯分) 長ネギ  1本分(濃い緑色の部分以外の部分) 卵    2個 焼豚   50g(簡単焼豚を使用or市販品) 塩

                    パラパラチャーハンの秘密は『ご飯』と『たっぷりの油』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                  • 寿司飯のコツは炊飯器のなかですし酢を混ぜること|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                    酢飯づくりに必要なアイテムは飯台。amazonで安く購入できます。とにかく木製の飯台を使うことが重要で、その意味はこの後、わかります。今回は米2合分のすし飯をつくります。 米  2合 水  360cc米は研いでから炊飯器に移し、通常の炊飯よりも5%少ない量の水を注ぎます。通常の炊飯は米2合に対して380ccですから、361ccの水を注げばOK。炊飯器には酢飯用のラインがあるので、それを目安にしてもいいでしょう。 注意点は新米を使わないこと。新米は表面がやわらかく粘りがあるので、酢飯には向きません。できればササシグレや秋田小町のようなさっぱりとした米のほうが酢飯には向いているとは思いますが、コシヒカリでも新米でなければ大丈夫。お寿司屋さんは特別にブレンドしたお米を使ったりします。 酢飯モードで炊き上げます。酢飯を炊く場合は鍋ではなく炊飯器がおすすめ。その理由は炊飯器はお焦げがでないので、歩留

                      寿司飯のコツは炊飯器のなかですし酢を混ぜること|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                    • 電子レンジでゆで卵づくりは可能か?|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                      ネイサンミアボルトは著書(moderinist cuisine at home)のなかで「電子レンジは最も過小評価されている調理器具」と述べていますが、全くの同感です。問題は使いこなすのが意外と難しい、という点。 その理由は加熱原理がコンロやオーブンといった伝導加熱とは異なるから。また、マイクロ波の波長に起因する加熱ムラも敬遠される原因となっています。もっとも、加熱ムラはラップをして、蒸らし加熱をすることで簡単に解決する問題ですし、水分が蒸発しやすいという特性も逆に活かすとビーフジャーキーやチップスなどに応用できます。 通常の作り方よりもヘルシー、かつ効率的につくることができます。さて、本日の議題はレンジでゆで卵をつくることは可能か? ということ。 卵をレンジにかけると爆発します。水蒸気の逃げ場がないからです。そのため、卵は電子レンジにかけてはいけない、と言われています。 しかし、卵をアル

                        電子レンジでゆで卵づくりは可能か?|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                      • 水で料理は変わるか〜出汁編〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note

                        今日は出汁をとってみます。出汁は軟水がベストというのが定説。そもそも日本の水は基本的に軟水。あえて硬水で抽出することでどのような差が出るかを調べてみましょう。 水はコントレックスを使います。 1%量の昆布だしを60℃で1時間抽出しました。 水道水は透明なままですが、コントレックスを使うと途中でアクが浮いてきます。このアクの主成分はおそらく硬水に含まれるカルシウムと昆布のアルギン酸が結合したものでしょう。 一方の水道水はアクが出ません。この段階で味見をするとどちらもうま味は同じくらい感じますが、コントレックスはそもそもの水が味が強いのか、全体に風味がまとまっていない印象。味については慣れもあるかもしれませんが、昆布だしの状態でもおいしいのは水道水=軟水です。 一度、沸かしてから火を止め、鰹節を投入。その後、1分後に濾しました。奥がコントレックス、手前が水道水です。透明度と色が明らかに違います

                          水で料理は変わるか〜出汁編〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note
                        • おいしいご飯の炊き方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                          はじめにcakesのクローズに伴い、『おいしいをつくる料理の新常識』がnoteに引っ越してきました。これからマガジンにまとめていくので、雑誌のバックナンバーの感覚で読んでください。(ちょっとだけ加筆修正したりしてます) 樋口直哉 「新米と古米では炊くときの水加減を変える」「土鍋で炊くご飯は、炊飯器で炊くご飯よりも美味しい」。これら炊飯にまつわるジョーシキは、現在では科学的には正しくないといいます。 noteで大人気の料理家、樋口直哉さん(TravelingFoodLab.)の新連載。第1回目は「おいしいご飯の炊き方」です。料理の理屈がわかると、料理の技術が格段に上がります。 A「ステーキ肉を焼くときは強火で焼くのがいい」 B「ステーキ肉を焼くときは弱火で焼くのがいい」 今はインターネットを検索すればいくらでも食の情報が見つけられる時代。でも、ちょっと調べるとこんな風な真逆の意見を見つけて「

                            おいしいご飯の炊き方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                          • よく冷えた白ワインとの相性抜群の『ズッキーニのポワレ、ミント風味』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                            夏野菜のズッキーニのシーズンもそろそろ終わり。しかし、本当においしいのは名残の今の時期だと思います。 このズッキーニ、成長が早いので収穫時期が難しい野菜ではありますが、あまり小さいものや味がのっていないのでトマトなどと組み合わせたりする必要があります。あまいにも大きいものはとろけるような食感になるので、長時間加熱すると性質が生きてきます。とはいえ、写真くらいの大きさがベスト。 まずはズッキーニをどう切るか、という部分で判断が問われます。 こちらの本の野菜の章で 茎や根を食べる野菜もあります。茎は主に栄養を伝達する役割を持ち、野菜の地上部を物理的に支えています。そのため、繊維質が強いものが多いので、アスパラガスは皮を剥いたり、セロリは筋をとったりします。根を食べる野菜の代表としてはニンジンや大根、ビーツがあります。根は植物を土壌に固定し、水分と栄養分を吸い込むための器官で、栄養分を糖の形で貯

                              よく冷えた白ワインとの相性抜群の『ズッキーニのポワレ、ミント風味』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                            • うま味が最大限に引き出された白菜鍋の秘密 | 「おいしい」をつくる料理の新常識 | 樋口直哉 | cakes(ケイクス)

                              定番メニューをおいしく作る方法を、その理由とともに解説する本連載。今回は白菜を使った鍋、「扁炉(ピェンロー)」をアレンジしたレシピをご紹介します。干し椎茸のうま味を生かすためのポイント、白菜の正しい使い方とは? 白菜を使った鍋といえば舞台美術家でエッセイストの妹尾河童さんが著書のなかで紹介し、人気メニューとなった『扁炉(ピェンロー)』が有名。今回はそれをアレンジした白菜鍋をご紹介します。ピェンローとは中国では鍋料理の総称。妹尾河童スタイルのピェンローは中国では一般的ではないので、日本生まれのオリジナルと言っていいでしょう。 白菜鍋のポイントは乾物の旨味を上手に活かすこと。味のベースには干し椎茸を使い、そこに豚肉の旨味を重ね、白菜と調和させます。干し椎茸に含まれるグアニル酸、豚肉のイノシン酸、白菜のグルタミン酸という異なる種類の旨味を重ね、たっぷりのごま油でコクを出しましょう。

                                うま味が最大限に引き出された白菜鍋の秘密 | 「おいしい」をつくる料理の新常識 | 樋口直哉 | cakes(ケイクス)
                              • 食のデザイン『丸いプリンと四角いプリン、どっちが甘い?』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                昨日は四角いプリンのレシピをアップしました。 さて、この四角いプリン。ちょっと甘さ控えめに感じませんでしたか? 丸いプリンと四角いプリンは同じ配合でも、感じる味が異なります。こうした現象を研究している人がちゃんといまして、オックスフォード大学の心理学者で研究者のチャールズ・スペンスさんが有名です。(『おいしさの錯覚』KADOKAWAという邦訳の本もあります) 味と形状の研究は小規模な実験室レベルでは行えるものの、大規模な被験者相手を対象とした実験デザインがなかなか難しい分野のひとつ。それでも『形によって味が変わる』のはたしかなようで、よく例に出されるのが2013年、英国のお菓子メーカーのキャドバリーが定番商品のチョコレートバーの形状を変更した際に起きた現象。 Source of photo(写真引用) https://www.dailymail.co.uk/news/article-242

                                  食のデザイン『丸いプリンと四角いプリン、どっちが甘い?』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                • クラフトコーラっぽい飲み物の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                  クラフトコーラという単語はすっかり定着しましたが、今日はコーラっぽい飲み物の基本的な作り方をご紹介。 コーラをどのように定義するか、というのはなかなか難しいところ。コーラという飲み物はコーラの実から抽出したコーラエキスを用いたことに由来するそうですが、コーラの実がなければコーラは作れないのか、というとそんなことはありません。そもそも世界で一番ポピュラーなコーラであるコカコーラにコーラナッツは使われていませんし。 このあたりのコーラナッツについての考察やコーラの歴史についてはTETOTETOの井上豪希君がnoteでまとめているので、参考になります。当該noteには コーラナッツを使わないレシピも、コーラなのです。とありますが、僕も同感。しかし、こう考えると、コーラをどのように定義したらいいのか……というのが、なかなか難しいところです。とはいえ、クラフトコーラっぽい飲み物であればスパイスと糖類

                                    クラフトコーラっぽい飲み物の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                  • 握り鮨を家でつくると楽しい(のでオススメ)|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                    家庭でチラシ寿司はよくつくられていますが、握り寿司はやったことがないという方は多いと思います。しかし、握り寿司は(こだわらなければ)ちょっと練習すればできる料理です。アメリカのスーパーマーケットではアルバイトが握り寿司を作って(急速に冷やした状態で)売っていますが、やり方さえわかれば案外と簡単にできるのです。 まずは動画で流れを把握しましょう。 基本的には酢飯をつくる→柵で買ってきた魚を切る→握るの3ステップ。 柵で売られている魚を観察すると繊維がわかります。それを断ち切るようにして薄切りにするだけです。柵をやや斜めに置いて、包丁は引くだけ。この時、包丁の峰に人差し指を添えるとヘッドが安定するので、包丁を長く使うことができます。万能包丁で切ってますが柳刃包丁のような専用包丁を買うと気分が上がるので課金するのも手。 お刺身よりも薄く切るのがコツです。そのほうが酢飯と一緒に口に運んだ時に口溶け

                                      握り鮨を家でつくると楽しい(のでオススメ)|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                    • ガスバーナーについて考える|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                      料理に凝りはじめた人がまず買う道具といえばバーナー。バーナーは高温で表面に焼き色をつけたり、砂糖をカラメリゼしたりできる調理道具で、炙るだけで変わる味を手軽に楽しめます。 写真はカセットコンロのガスに装着するタイプのガスバーナー。このタイプが一番、普及しているか、と思います。ただ「気にしすぎ」と言われるかもしれませんが、個人的にはこのタイプのガスバーナーで炙ると食材にガスの匂いが付着するのが気になります。なにが原因なのでしょうか? ガスボンベに詰められているLPガスの成分は「ブダン」「イソブタン」「プロパン」の3種類で、カセットコンロのガスはブダンとイソブタンが一般的です。例えばイワタニのwebページで確認したところ、通常のタイプはイソブタン:約30% ノルマルブタン:約70%という比率、ハイパワーのガスはイソブタンが約70%、ノルマルブタン:約30%の混合比率になっているよう。(イソブタ

                                        ガスバーナーについて考える|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                      • そうめんをバラバラにせず茹でる方法|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                        この時期はやっぱりそうめんですよね。ところでもほや古典の領域に入りつつある名作漫画『美味しんぼ』にもそうめんがテーマの回があったはず……と、思い出しながら検索するとどうやら13巻に収録されたエピソードのよう。 kindleで買ってみました。 (美味しんぼ(小学館)13巻 p169より引用) ああ、そうそう。山岡さんは素麺の束の端を木綿糸でしばるんですよね。 (同美味しんぼ(小学館)13巻 p169より引用) バラけないで茹でられる、という技でした。しかし、お店なんかだとこんな風にいちいち縛ってはいられません。そこでどうするか? という裏技を今日はご紹介します。 そうめんを束ねて(写真は100gと量が多いですが、50gぐらいのほうがやりやすいです)端を熱湯にちょっと(2mmほど)つけます。 つけたらそうめんをとりだして、ギューっと指でくっつけます。これだけでOKです。 あとは普通に茹でます。

                                          そうめんをバラバラにせず茹でる方法|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                        • 鶏レバーのムース|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                          鶏レバーのムースです。昔、研修していたお店で余ったフォアグラのテリーヌに生クリームを足してパルフェに仕立てて、それを絞り袋でパートブリックのコーンに盛り付けていたのですが、その作り方を応用しています。 まずはレバーペーストを作り、そこに生クリームを混ぜるイメージです。レバーペーストの配合もちょっと変えていて、バターの量がずっと少ない割合になっています。 鶏レバー 300g程度 牛乳   125cc 水    125cc 塩    10g バター  60g ブランデー 大さじ1+好みで 塩               小さじ1/4 生クリーム 100ccちょっと量が多いので、半量でつくってもいいと思います。その場合も牛乳125cc水125cc、塩10gの分量は変えないでください。 まずはレバーを用意。徹底的に血を抜くのがポイントなので、レバーは斜めに3つか4つに切ります。 牛乳に水を加えて塩

                                            鶏レバーのムース|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                          • 低温加熱で100%の旨味を引き出す「きのこのゆっくりソテー」|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                            食の博識、樋口直哉さん(TravelingFoodLab.)による科学的「おいしい料理」のつくり方。18回目のテーマは『きのこソテー』です。旬のきのこから100%の味を引き出す調理法をご紹介します。アレンジメニューとして、『きのこの和風マリネ』『きのこの味噌汁』も併せてご紹介しています。 秋はきのこの季節。天然物が手に入れば言うことないですが、スーパーで買える栽培種のきのこで秋の味覚を楽しみましょう。 きのこを使った料理は従来の常識では『強い火でさっと炒める』のがコツとされてきました。今日はそんな常識を覆す『きのこのゆっくりソテー』を作ります。15分程度という長い加熱時間が必要ですが、きのこから100%の味を引き出す調理法です。 きのこのゆっくりソテー材料(4人前) きのこ  (各種あわせて)およそ600g オリーブオイル  大さじ3 にんにく  1片 塩   1g〜2g 胡椒  適量 バ

                                              低温加熱で100%の旨味を引き出す「きのこのゆっくりソテー」|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                            • 基本のヴィシソワーズ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                              ヴィシソワーズはポロネギとジャガイモの冷製スープ。ファミリーレストランのメニューにも登場するほどおなじみのスープです。ヴィシソワーズのよくある失敗は重たくなってしまった、というケース。 これは〈じゃがいもの量〉にも問題があるようです。例えばフランス料理の巨匠ジョエル・ロブションのレシピではポロネギ2本に対してジャガイモは300gとなっていますし(参考『ジョエル・ロブションのすべて』ランダムハウス講談社)、フェラン・アドリアのレシピはネギ類はジャガイモの倍量(参考『The Family Meal』Phaidon)、ヘストンブルメンタールのレシピに至ってはじゃがいもの4倍以上のネギ類(参考『Heston Blumentahal at Home』Bloomsbury Publishing)という比率です。 一方のCookpadでレシピを検索したみました。上位にあがってきたレシピ2つを確認したとこ

                                                基本のヴィシソワーズ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                              • カリカリにんにくのペペロンチーノ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                久しぶりのパスタレシピです。イタリア料理のアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノは日本では人気の料理。日本人的にはかけそば的なシンプルさにそそられるのかもしれません。 とはいえアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノはシェフの数だけ作り方やレシピが存在します。 三つ星レストランのレシピになると、バジリコソースが添えられ、アンチョビが入り、グラノパダーノチーズが入り、トマトが入り、カリカリにしたパン粉……という具合にかなり複雑なもの。軽く鍋を煽ってクリーミーな仕上がりにすることが強調されています。 再解釈パターンではこんなものも。こちらの動画の2つ目に紹介されているバージョンはパスタを塩ぬるま湯につけて戻し、にんにくを水に漬けてにんにくの出汁を抽出し、そのにんにく出汁、野菜だし、パセリの茎でさきほどのパスタを煮込んでいくスタイル。にんにく自体を入れない、という方法が興味深いところ。 ところで、

                                                  カリカリにんにくのペペロンチーノ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                • ナスの味噌炒めを油っぽくさせないためのテクニック|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                  今日のテーマは「ナスの油味噌炒め」。ある処理をすることで、油を吸わず、さっぱりジューシーに仕上がります。身が引き締まった旬のナスに甘辛い味噌ダレが絡んで、箸が止まらなくなる一品です。ぜひお試しください。 ナスの油味噌炒めは新潟の郷土料理。本来は青じそが入るところを生姜に変え、甘めの田舎風の味に仕上げました。ポイントはナスをレンジにかけてから油で炒めること。この一手間で油の使用量を1/3に減らすことができます。 ナスの油味噌炒め材料 ナス…300g サラダ油…大さじ1 味噌…30g(今回は越後味噌を使用 普通の米味噌でかまいません) 砂糖…大さじ2〜大さじ3(20g〜30g) 赤唐辛子…1本(半分にちぎって種を捨てる) 生姜…10g(親指の先くらいの大きさを千切りに) 1.ナスはヘタを切り落とし、1.5cm幅の輪切りにする。 2.1のナスをボウルに入れ、ふんわりとラップをして、600wのレン

                                                    ナスの味噌炒めを油っぽくさせないためのテクニック|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                  • 食事の締めの香港風湯麺の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                    香港風と言ってますが『なんちゃって』です。なにせ、鰹節と昆布の出汁がベースですから。中国料理店で食事の締めに出てくる小さな麺料理をイメージしています。 香港スタイルの麺は日本とは違い、キシキシっとした歯ごたえとのどごしの良さが特徴。ぼくの好物です。しかし、日本で食べられる店は少なく、入手が比較的簡単な乾麺を使うことになります。 細いストレート麺は自作の麺料理に最適。 鰹節と昆布の出汁 昆布   10g 鰹節   20g 水    1Lまずは出汁をとります。 昆布を水に入れて、弱火にかけます。本当は2〜3時間程度、水につけておきますが、今回は水からスタート。下に泡が沸いてくるまで10分くらいはかかるはずです。ゆっくりと加熱することで味を充分に引き出します。こんな風に昆布が水を吸って戻っていれば成功です。 昆布は60℃1時間で旨味がよく抽出されることが知られていますが、大事なことはそれなりの時

                                                      食事の締めの香港風湯麺の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                    • 新しい凝固剤「イオタ・カラギーナン」の使い方〜牛乳ゼリーとアーモンドのカスタード〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                      料理の世界ではゼラチン、寒天という昔ながらの凝固剤がツートップとして長らく君臨してきましたが、最近少しずつ新しい素材が使われるようになりました(日本ではまだまだですが……) 新しい凝固剤は食品工業の世界ですでに一般的なものばかり。カラギーナンもその一つです。カラギーナンは海藻から抽出されるゲル化剤で、主成分は寒天と同じ多糖類(ガラクトースに硫酸基がくっついる形)です。カラギーナンでつくったゼリーはやわらかく、ゼラチンのような粘りがないこと。室温でも溶けない、という特徴があります。カラギーナンのメリットは『植物性』という点。ゼラチンは動物由来なので避けたい、という人にも向いています。 カラギーナンは多糖類の構造の配列と硫酸基の結合数によって、大きく3つに分かれます。κ型(カッパ型)、ι型(イオタ型)、λ型(ラムダ型)です。 最近はスーパーでも買えるようになったパールアガーやイナアガーといった

                                                        新しい凝固剤「イオタ・カラギーナン」の使い方〜牛乳ゼリーとアーモンドのカスタード〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                      • ひじきの煮物は短時間で作るとおいしい|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                        ひじきは海藻乾物の王様。栄養豊富で、冷蔵庫に入れておけば2〜3日は楽しめるので、エイヤと作っておくのがオススメ。昔はご飯がススム系の濃い味にすることが多かったですが、今はあっさりめに炊くのが主流です。 ひじきの煮物 長ひじき  16g (芽ひじきなら30g) にんじん  65g(1/2本) 油揚げ   50g(1枚) 出汁または水 100cc 醤油     大さじ2 砂糖     大さじ2  塩 ひとつまみひじきの煮物のレシピは基本的に分量が多めです。ひじき1パックの重さが基準になるから、ですね。ひじきには長ひじきと芽ひじきの2種類があるので買い物するときに迷いがちです。 長ひじきは茎の部分、芽ひじきは名前の通り先端の芽や小枝の柔らかい部分です。煮物には歯応えがある長ひじき、和え物や炊き込みご飯、卵焼きなんかに混ぜるには芽ひじき……と言ったりしますが、結論はどちらでもOKです。 紛らわしい

                                                          ひじきの煮物は短時間で作るとおいしい|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                        • 豚肉とねぎの煮込み丼の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                          昼ごはんは簡単に食べられるものが一番。というわけで、たまに書くまかないシリーズです。今日は豚肉とネギの煮込み丼。 豚バラ肉(薄切り)    200g 生姜みじんぎり  15g(大さじ1) 長ネギ      50g 出汁(または水)  200ml 醤油       大さじ2 酒        大さじ3 砂糖       大さじ2 みりん      大さじ1 山椒の水煮    あれば 片栗粉      小さじ1/2 ネギなどの青み 豚バラ肉を自分で細かく切って使うのがポイント。挽き肉を買ってくれば簡単ですが、この料理に限っていえば切ったほうがおいしくできます。豚バラ肉という安価な材料こそ、手間をかける価値があります。 生姜のみじん切り。しょうがは風味が強い皮ごと使います。薄切りにしてトランプのように重ねたら、、、 まず千切りにします。 次はその千切りを90℃回転させて、さらに切っていきます。み

                                                            豚肉とねぎの煮込み丼の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                          • スキレットの教科書|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                            スキレットは溶かした鉄を型に流し込んでつくる=鋳物のフライパンのこと。ちょっと誤解されがちな道具なので、詳しく説明する必要性を感じています。そこで今回はスキレットの教科書。 スキレットの長所は抜群の蓄熱性。同じ厚さのアルミフライパンと比べると2倍の保温性を誇ります。200gのステーキを薄いアルミ鍋に入れると20℃近くも温度が下がりますが、鋳鉄の鍋は温度がほとんど変わりません。そのため表面がむらなくこんがりと焼けて、カリカリの層ができます。 柄が金属製なので、オーブンに入れられるのもメリット。ピザを焼くときにも活躍します。スキレットを裏返してオーブンで熱くして、その上でピザを焼けば家庭用のオーブンでもお店に負けないピザができます。(Heston Blumenthalが考案した方法です) それから圧倒的な耐久性! 使い込むほどに使い勝手がよくなり、ほぼ半永久的に使えます。何世代に渡って、引き継

                                                              スキレットの教科書|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                            • イタリア料理の人気新定番、バターチキン(鶏むね肉のバターソテー)。 ―樋口直哉さんの『料理のツボ』― | ISETAN FOOD INDEX | 伊勢丹 新宿店 | 伊勢丹 店舗情報

                                                              12月の鶏肉料理といえばローストチキン(以前のインデックスリンク)が定番ですが、今年ご紹介するのは、イタリアの食堂から人気がじわじわ広がり、日本のイタリアンでもファンの多いバターチキン(鶏むね肉のバターソテー)です。ご家庭でもご馳走鶏肉料理の定番に! 今日はバターチキンを作りましょう。バターチキンといってもインド料理のバターチキンカレーではなく、今回ご紹介するのは「鶏むね肉のバターソテー」というイタリア料理。フィレンツェの老舗食堂の名物料理でしたが、今では様々なイタリア料理店で提供される新定番です。たっぷりのバターをまとわせながら鶏むね肉を低温で茹でるようにしっとりと焼き上げます。 ▪️鶏むね肉のバターソテー (2人分) <材料> 鶏むね肉   1枚(280g〜300g) 塩      小さじ1/4 バター(有塩)   50g レモン     適量 <作り方> おいしくするための秘密はたっ

                                                                イタリア料理の人気新定番、バターチキン(鶏むね肉のバターソテー)。 ―樋口直哉さんの『料理のツボ』― | ISETAN FOOD INDEX | 伊勢丹 新宿店 | 伊勢丹 店舗情報
                                                              • 氷でおいしくなる〈かいわれ大根の煮浸し〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                煮浸しは〈煮て〉から地(味のついた出汁)に〈浸す〉複合調理で、ナスや小松菜などをやわらかく食べるときに用います。今回、紹介する〈かいわれ大根の煮浸し〉はそれとは違い、サラダ感覚で楽しむ料理です。秘密は氷水で出汁を急冷すること。加熱を止めることで、シャキシャキとした食感を残します。 かいわれ大根の煮浸し かいわれ大根 1パック 出汁     200cc 醤油     大さじ1/2〜 この料理、かいわれ大根以外にもセリや大根などいろんな食材でつくれるのですが、ぼくはかいわれ大根のピリッとした味が好きなので。マッチ棒の太さに切った大根を一緒に入れると、相乗効果でよりおいしくなります。 出汁に醤油を入れて沸かします。塩梅としては淡め(吸い地が飲めるくらいにしたいので)ですが、醤油を大さじ1まで増やすと家庭料理っぽい味になります。しかし、家庭料理らしさを出すと塩分摂取量が増えるのは考えもの。料理屋さ

                                                                  氷でおいしくなる〈かいわれ大根の煮浸し〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                • 二日酔いの朝に〈八丁味噌湯〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                  昨年、愛知県の醸造元を数軒めぐったのですが、そこで教えてもらったのがこの『八丁味噌湯』です。八丁味噌とは岡崎城より西へ八町(約800m)離れた八丁村でつくられていた味噌。現在、その製法を守っているのは東海道を挟んだ二軒──カクキューとまるや八丁味噌の二軒です。もちろん、八丁味噌以外でも豆味噌であれば同様につくることができます。「二日酔いの朝に飲むと最高なんですよ」とのこと。 水 200cc 八丁味噌(濾し味噌でも粒味噌でも) 15g 材料は至ってシンプル。水と味噌だけです。作り方にコツがあります。 まずは味噌を湯で溶きます。うちには味噌漉しがないので、そのまま溶いていますが、八丁味噌は溶けづらいので味噌漉しを使うのが普通です。粒味噌の場合は包丁で削り、それを煮出してから濾す、というような手間を踏みます。しかし、そのままでも粒感があって、それもまたいいものです。 八丁味噌を溶かすコツはゴムベ

                                                                    二日酔いの朝に〈八丁味噌湯〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                  • ホットアップルサイダーの作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                    今日は寒いですね。こんな日は冷たいジュースなどは飲まずに体を温めるものをとりましょう。ホットアップルサイダーはアメリカの冬の定番ドリンク。屋台でも売られているような飲み物です。サイダーという単語は国によって意味が異なりますが、アメリカではりんご果汁を指します。つまり、ホットアップルサイダーは温かいりんごジュースのこと。 ホットアップルサイダー(たっぷり1人前) りんごジュース 200cc 砂糖      大さじ1 シナモンスティック 半本〜1本 クローブ      2本 スターアニス(八角) 1/6個 レモンスライス   2枚 生姜        あればこのnoteを読んでいる方なら大丈夫だとは思いますが、スパイスは全部揃えずともあるものを使いましょう。入れてほしいのはシナモン。りんごとシナモンはベストカップルですが、クローブを入れてもなんとなくホットアップルサイダーっぽい香りになります。

                                                                      ホットアップルサイダーの作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                    • noteにアップするための〈レシピの書き方〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                      noteには毎日、たくさんの記事がアップされますが「もっとレシピ記事がアップされてもいいのでは」と思っています。ということで、今回のテーマは「レシピ記事の書き方」です。 レシピの書き方レシピは「おいしさ」を伝える手段の一つ。良いレシピは ものです。反対にわかりにくく、ターゲットや目的が明確ではないため自己満足に終わっているレシピは好ましくないでしょう。レシピを書く前に必要なのは「誰のためのレシピか」を明確にすることです。対象はできるだけ具体的であることが望ましく「都内在住、IT企業勤務、週末に料理をするのが好きな三十代男性」くらいまで決めるとレシピの目的が明確になります。(ちなみに樋口のnoteは料理ギーク向けの記事が多いですが、それは主に自分のために書いているからです) 書店に行くと様々な料理雑誌が出版されていますが、読者層はそれぞれ。誰のためのレシピか、を想定すると自然と「食材」や「調

                                                                        noteにアップするための〈レシピの書き方〉|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                      • ふかしなす(蒸し茄子)の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                        そろそろなすがおいしい季節。茄子の消費量、日本一の県である新潟県には「ふかしなす」という郷土料理があります。消費量二位の京都ではまるごと炊いて食べたりしますが、この料理は「蒸す」という調理法を採用している点に特徴があります。 新潟はなす王国で(枝豆王国でもあるんですが)種類がやたらと豊富で、しかもどれもアクの強い品種。(在来の品種も多いので)そのため皮を剥いて調理する習慣が生まれ、炊くよりも蒸す調理法が定着したのではないでしょうか。 もう一つ、考えられる理由は水なす系のなすの存在です。水なすといえば大阪泉州の泉州水なすが有名ですが、新潟の十全なすももともとは泉州水なすの系統。(ややこしいのはこちらはもともと、しろ十全という品種で、黒十全(梨なす)や新潟黒十全なすとは別の品種とのこと)大阪では一時、水なすの栽培がすたれましたが、さすがは茄子好きの新潟県人。様々な品種を生み出しながらもアクの少

                                                                          ふかしなす(蒸し茄子)の作り方|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                        • お店風サラダのポイントは「Clean」「Crisp」「Cold」|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                          食の博識、樋口直哉さん(TravelingFoodLab.)による科学的「おいしい料理」のつくり方。16回目のテーマは『サラダ』。「サラダって簡単そうなのに、なぜお店のようにつくれないんだろう」と思ったことはないでしょうか。ポイントはタイトルにもあげた3Cと水。ドレッシングのつくり方と併せてご紹介します。 ここ数年、専門店が登場するなどサラダが注目を集めています。栄養学的には火を通した野菜を食べた方が効率的かもしれませんが、我々は生きるためだけにサラダを食べるわけではありません。サラダには生野菜にしかないおいしさがあるからです。 シンプルなサラダほど、おいしさに繋がるコツがいくつもあります。今日はグリーンサラダを作りながら、サラダの原則を確認していきましょう。 グリーンサラダ(4人前) サラダ菜   1個 ベビーリーフ 1袋 ★ドレッシング ビネガー    大さじ1 塩       1.5

                                                                            お店風サラダのポイントは「Clean」「Crisp」「Cold」|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                          • 塩と鍋が決め手の本格湯豆腐|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                            食の博識、樋口直哉さんによる科学的「おいしい料理」のつくり方。29回目のテーマは『湯豆腐』です。なめらかで、やわらかい湯豆腐をつくるコツをご紹介します。ポイントは『塩』と『温度』。火加減に注意すればおいしくつくれます。アレンジメニューとして「野菜湯豆腐」もご紹介します。 湯豆腐は冬の定番ですが、江戸時代の料理書『豆腐百珍』には掲載されていません。あまりにも簡単な料理なので、載せるまでもないと作者は考えたのかもしれません。(ちなみに冷奴も掲載されていませんが、同じ理由かも) しかし、この湯豆腐。ちょっとしたところに気を配るだけで、味は格段によくなります。今日は湯豆腐の作り方を学びましょう。ポイントは『塩』と『土鍋』です。 本格湯豆腐材料(2人前) 絹ごし豆腐……1丁 水……1L 昆布……10g 塩……小さじ1 かけ醤油(そばだし) 醤油……50cc みりん……50cc 水……250cc 鰹節

                                                                              塩と鍋が決め手の本格湯豆腐|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                            • 水で料理は変わるか〜ストック編〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note

                                                                              日本料理の出汁は軟水が基本ですが、動物性の素材を煮出して抽出するストック=フォンはどうでしょうか。ここは一つ、コントレックスと水道水で比較検討してみましょう。 ストックのとり方はモダニストキュイジーヌの圧力鍋を使ったアプローチを基本としました。 チキンストック 鶏手羽  280g 玉ねぎ  150g にんじん 100g セロリ  50g ローリエ 2枚 水    600ml 鶏手羽は小さく切ります。この一手間が重要。小さく切ればそれだけ味の抽出効率がよくなるからです。 ぜいたくに手羽肉を使いましたが鶏ガラでもいいでしょう。 材料を準備しました。 ストックにセロリを入れるとコクが増すのはこちらのnoteでも解説しています。フタライドが肉の脂肪の臭みを抑え、味わいとして「持続感」や「広がり」を増す、という仕組みです。 すべての材料を鍋に入れて、加熱します。はじめの実験はコントレックス100%で

                                                                                水で料理は変わるか〜ストック編〜|樋口直哉(TravelingFoodLab.)|note
                                                                              • ベーコンとブロッコリーのスパゲッティーニ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                                シンプルなスパゲッティです。元ネタはheston blumenthalの『青豆のパスタ』。カルボナーラに似ていますが、赤唐辛子のフレッシュな辛味を加えることで、食べ飽きない構成になっています。卵黄とチーズベースのソースに加える秘密兵器は『水』です。 カルボナーラに『生クリームを加えるか否か』というのはよく議論に上がりますが(樋口もそんな記事を書きました。『生クリーム入り日本風カルボナーラの作り方』)このレシピでは生クリームではなく『水』を加えることでソースが滑らかに、より軽く仕上がります。 ベーコンとブロッコリーのスパゲッティーニ 2人前 スパゲッティーニ 160g ベーコン       1枚(ハーフベーコンなら2枚 それ以上でも可) ブロッコリー   半房 オリーブオイ大さじ2 にんにく     1片(8g) 赤唐辛子     1本(半分に折って種をとる) 卵黄       2個 パルメ

                                                                                  ベーコンとブロッコリーのスパゲッティーニ|樋口直哉(TravelingFoodLab.)
                                                                                • 肉汁たっぷりハンバーグの秘訣は『低温』『肉の鮮度』『塩』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)

                                                                                  食の博識、樋口直哉さん(TravelingFoodLab.)による科学的「おいしい料理」のつくり方。15回目のテーマは『ハンバーグ』。ご紹介するのは樋口直哉流の新レシピ。卵を使わず玉ねぎも炒めない新しい調理法です。思わず唸るようなハンバーグ調理のポイントの数々をぜひご覧ください。 洋食の定番ハンバーグは、みんな大好きなメニュー。しかし、料理をする側からすると、なかなか悩ましい料理です。 まず、ハンバーグ自体がむずかしい料理の部類に入ること。一番の問題は焼き加減の見極めです。ハンバーグには空気が入っているので、火の通りが悪いのです。そのため「焼けた!」と思っても、まだ中は生の状態という失敗も多く、かといって火を通し過ぎると肉汁が失われてしまいます。 また、おいしいハンバーグの定義も様々。一般的なのはふんわり感を強調し、ソースとの一体感を目指した仕上がりで、いわゆる正統派、日本のハンバーグです

                                                                                    肉汁たっぷりハンバーグの秘訣は『低温』『肉の鮮度』『塩』|樋口直哉(TravelingFoodLab.)