日本三大祭りの一つで、疫病退散の祭りとして知られる八坂神社(京都市東山区)の祇園祭は今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、祭りのハイライトとなる「山鉾(やまほこ)巡行」と「神輿渡御(みこしとぎょ)」などが相次いで中止となった。それでも神事は粛々と行われている。神輿渡御に代わり行われた「御神霊渡御祭」は、1150年以上の歴史を持つ祇園祭で初めての試みとなった。例年になく静かな京都のまちで、災厄除けの本義を示そうとする神職や氏子の使命感が伝統の祭りをつないでいる。 (田中幸美) 突然の行列に沿道も沸く 今月17日、神霊を遷(うつ)した神籬(ひもろぎ)(榊)を神の使いとされる白馬の背に立てて、神職や氏子ら約30人からなる巡行列が小雨が降るなか京都市内中心部を練り歩いた。八坂神社から目的地の御旅所(同市下京区)までの約1キロを進むと、三密を避けるため直前まで詳細を知らされなかった沿道の人たちは