ずいぶん前のことですが、仕事中に突然、印旛沼(いんばぬま)干拓の工事中止を指示した命令書には何と書かれていたか、知る必要が生じました。当時私は、新宿のさるホテルで仕事をしていました。自宅の隣の建物が解体されることになり、その工事の騒音で仕事が進まず、一時避難していたのだったと思います。窓の外は夜の気配が濃厚で、私は焦りました。探している文書を参照できれば夜のうちに仕事を仕上げられる一方、見つか
たがいに助け合い、完全な小市民を目指そう。 かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くんは、清く慎ましい小市民を目指そうと決意していた。 同じ志を立てた同級生の小佐内さんとたがいに助け合う“互恵(ごけい)関係”を密かに結び、小市民としての高校デビューを飾り平穏な日々を送るつもりでいたのだ。 ところがふたりの学園生活に、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる。 はたして小鳩くんと小佐内さんは、小市民としての穏やかな日々を手に入れることができるのだろうか。 原作は、『氷菓』をはじめとする〈古典部〉シリーズの作者にして直木賞作家・米澤穂信が生み出した、シリーズ累計75万部を突破する大人気ミステリ。 〈小市民〉シリーズ初のアニメ化に向け、『さらざんまい』『アンデッドガール・マーダーファルス』の制作スタジオ・ラパントラックのもとに神戸守監督をはじめとする実力派スタッフが集ま
第166回直木賞に選ばれた岐阜県出身の作家、米澤穂信さん。かつてアルバイトをしていた書店でも、喜びの声が上がりました。当時の店長が、作家デビューしたころの思い出を語りました。 直木賞を受賞した岐阜県出身の米澤穂信さん、43歳です。 受賞作「黒牢城」は、戦国時代の史実を基にしたミステリー作品で、織田信長に反旗を翻した荒木村重が籠城中に、黒田官兵衛の知恵を借りながら事件に挑んでいきます。 記者会見では、生まれ育った飛騨地方の学校で学んだ記憶に触れ、小説家としての原点を語りました。 「自分の生まれ育った場所のことをもっと知りたい、これはいったいどういうことなのだろうと自発的に調べた経験は、もしかしたら小説を書く最も基礎的な姿勢になっているかもしれないと思う」(米澤穂信さん) 19日午後6時過ぎ、米澤さんがかつてアルバイトをしていた高山市内の書店では、直木賞発表の瞬間を待ちわびていました。 米澤さ
京都アニメーションが襲われたという凶報に接し、いまでも、信じたくない気持ちが去りません。 当日は風邪で伏せっていましたが、携帯電話のニュースで第一報を見て、重体者がいると知りました。どうか助かってほしいと息を詰めて続報を待つにつれ、犠牲者は時を追って増え続け、祈るよりほかに出来ることもなく、言葉が出ませんでした。 京都アニメーションとは、アニメ「氷菓」でお仕事をご一緒しました。 私は、アニメにはまったく詳しくありません。それだけに、拙作を見込んでお話を頂けたことを嬉しく思いつつも、制作に関してはすべてお任せするつもりでいました。しかし京都アニメーション社制作陣の皆様の、一緒に作ろうという強い熱意に打たれ、及ばずながら私も準備段階に加わることになりました。 物語というのは得体の知れないもので、きらめきがあるお話でも、ちょっとしたことですべてが色褪せてしまいます。制作陣の皆様は、忍び寄る色褪せ
まあ、どのくらいの数のよねぽオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、 「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないミステリの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」 ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、よねぽのことを紹介するために読ませるべき10作を選んでみたいのだけれど。 (要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にミステリを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として) あくまで「入口」なので、情緒に過大な負担を伴う短編集は避けたい。 できれば長編、シリーズものでも最初の方にとどめたい。 あと、いくらよねぽ的に基礎といっても雑誌でしか読めないものは避けたい。 よねぽの歴史小説好きが「安寿と厨子王ファーストツアー」は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。 そういう
米澤 言い訳をすると、携帯の画面を表に向けていたので着信が入ったら光って分かると思っていたんですよ。そうしたら、静かに不在着信が入っていました。そもそもノミネートのご連絡の時もたまたま徹夜明けで眠っていて、何度も着信が入っているのに気づかなくて、6回目ぐらいでようやく出たんです。いつもご迷惑をおかけしております。……しょうもない話ですね(笑)。 ミステリランキング4冠、山田風太郎賞も受賞 ――ふふふ。それにしても『黒牢城』は昨年山田風太郎賞を受賞し、年末の4大ミステリランキングで1位を獲得、そして今回直木賞を受賞し、さらに4月に発表の本屋大賞にもノミネートされました。ものすごいことになっています。 米澤 ちょっと思わぬことで、本当に驚いています。実は、どういうかたちで喜んでもらっているのかというのが、いまだによく分かっていないんです。面白い時代小説だと思って読んでもらっているのか、面白いミ
『氷菓』をはじめとする〈古典部〉シリーズの作者にして直木賞作家・米澤穂信が生み出した、 シリーズ累計75万部を突破する大人気ミステリ、〈小市民〉シリーズより 『春期限定いちごタルト事件』『夏期限定トロピカルパフェ事件』TVアニメ化決定! 2024年7月よりテレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠・BS朝日にて放送開始! ◆イントロダクション “たがいに助け合い、完全な小市民を目指そう。” かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くんは、清く慎ましい小市民を目指そうと決意していた。同じ志を立てた同級生の小佐内さんとたがいに助け合う“互恵(ごけい)関係”を密かに結び、小市民としての高校デビューを飾り平穏な日々を送るつもりでいたのだ。ところがふたりの学園生活に、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる。はたして小鳩くんと小佐内さんは、小市民としての穏や
米澤穂信 1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞を『氷菓』で受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長辺及び連作短編集部門)、14年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。『満願』、15年『王とサーカス』はそれぞれ3つの年間ミステリ・ランキングで1位となり、史上初の2年連続3冠を達成。 ――古典部シリーズ第6弾『いまさら翼といわれても』がいよいよ文庫化ですね。省エネ主義の高校生、折木奉太郎をはじめ古典部の面々が日常の謎に遭遇する学園ミステリで、本作は彼らが高校2年生の1学期から夏休みに入る頃のエピソードが集められた短編集。彼らの過去あるいは未来に関わる話が多く、内面の転機を迎える予感がありますね。 米澤 古典部の4人が2年生になり、それぞれ人間関係も変化しているし、学んだこともあります。だんだん自分自身の問題
今回の受賞作『黒牢城』は、戦国時代を舞台とした歴史ミステリー小説。織田信長に背いて「有岡城」へ立てこもった武将の荒木村重が、説得に来た織田方の軍師・黒田官兵衛を牢獄に幽閉したという史実が元になっており、城内で起きる怪事件を黒田の力を借りて解決していく。 同作は『このミステリーがすごい!』を筆頭に2021年度に発表されたミステリー小説アワードで数々の首位を獲得。大手ショッピングサイト「Amazon」の日本文学カテゴリーでも売れ筋ランキング1位の座を占めるなど一般読者からの人気も高い(執筆時点)。 また米澤氏はゲーム好きな一面を持つことでも知られ、朝日新聞社が運営するウェブサイト「読書好日」のインタビューにおいて、自身のゲーム遍歴を披露している。特に1995年に発売されたシミュレーションRPG『タクティクスオウガ』をお気に入りの作品として挙げ、タイトル名は明かされていないものの、とあるゲームで
米澤穂信の出世作 米澤穂信の三作目。2004年刊行。東京創元社のミステリ・フロンティア枠で刊行された作品。2001年の『氷菓』、そして2002年の『愚者のエンドロール』から二年の沈黙を経て久々に出た新刊が本作である。2005年版の「このミス」では国内20位に入っている。 米澤穂信の出世作 おススメ度、こんな方におススメ! 古典部シリーズとの関係 あらすじ まずもって、タイトルからしてヤバイ マーヤの圧倒的な存在感と「劇的」に惹かれる気持ち 意味を持ち始める「矛盾」 もう一人のヒロイン太刀洗万智 「哲学的な意味」を問い続けた少女の物語『花冠の日』 おまけ:ユーゴスラヴィア史を知りたい人へ その他の米澤穂信作品の感想はこちらから 『さよなら妖精』は、この作品が出ていなかったら、米澤穂信はマイナーラノベレーベルの一作家で終わっていたのではないかと思えるほど重要な作品である。昨今のような一線級の人
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