昨年の10月以来、イスラエル軍によるガザでの虐殺は凄(せい)惨(さん)を極めている。国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は5月20日、戦争犯罪などの疑いでイスラエルのネタニヤフ首相やガラント国防相らの逮捕状を請求すると発表した。 彼らが、ガザという狭く、逃げ場のない地で人々を散々追い詰め、いたぶり、傷だらけにしたあげく、ラファという南部の限られた場所に追いやり、命を奪ってきた人間たちであることは明白だ。それが罪にならなくて何が罪になるというのか。 その翌日、上川陽子外務大臣は、逮捕状請求について「今後の動向を重大な関心を持って、引き続き注視してまいりたい」と述べるにとどまり、フランスのようなICC支持の言及はなかった。 この空虚さは何だろうか。医師である蟻塚亮二さんの著書「沖縄戦と心の傷 トラウマ診療の現場から」の中の言葉を思い出す。被害と加害が生じている場での「支援者」のあり方につ