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282森達也の検索結果1 - 40 件 / 40件

  • 【総選挙2014】もう投票しなくていい(森達也)|ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来

    Photo by Yuliya Libkina(CC BY 2.0) もう投票しなくていい。僕はもうあきらめた。 仮にこれから多少は投票する人が増えたとしても、おそらく50%には届かない。つまり有権者の半分以下の意思で、これから4年間の政治体制が決まる。しかも予想では自民単独で300議席以上。315議席を上回るとの見方をした新聞もある。ならばあと2議席で衆院定数の3分の2。 つまりどう少なめに見積もっても、公明党を足せば与党が3分の2を占める。ならばこの4年で憲法を変えることが充分に可能になる。現状において参議院も公明党を足せば与党は過半数だ。仮に公明党が政権を離れたとしても、参院で否決された法案は衆院で再可決することが可能になる。 将棋でいえば詰み。チェスならチェックメイト。臨界は超えた つまり法案はさくさくとすべて通る。ねじれ解消良かったね。ならば二院制の意味は何だろうと思うけれど、も

      【総選挙2014】もう投票しなくていい(森達也)|ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来
    • 例の北野誠さんの件なんですが|森達也 リアル共同幻想論|ダイヤモンド・オンライン

      ロケットがミサイルに変わった 毎日のように続く新型インフルエンザの報道に呆れている。草なぎ全裸逮捕事件から始まって、ここ数カ月のメディアの暴走ぶりは、いくらなんでも常軌を逸している。何が起きたのだろう。まるでどこかで号砲が鳴ったかのようだ。でもこれまでの暴走とは何かが違う。なんとなく違和感がある。何だろう。 そういえば放送レポートの岩崎貞明編集長から、「例の北朝鮮のミサイル発射問題だけど、ミサイルなんて言葉を使っているのは、世界でも日本くらいのようだよ」と教えてもらった。以下は彼のブログからの一部引用。 (略)ところが、海外のメディア、外電の類は逆にほとんどすべてが「ロケット」という表記であり、韓国の報道でも「ミサイル」の表記は使用していなかったという。そして、4月13日に出された、国連安全保障理事会が北朝鮮を非難した議長声明でも、表現は「the recent rocket laun

      • 「責任はA級戦犯だけではなくすべての国民にある」

        1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 住宅地を少し歩く。細い路地を抜けると突然視界が開ける。異様な光景だ。敷地いっぱいに墓石が並んでいる。でも普通の墓石ではない。ほぼすべては高さ50センチメートルほどの小さな直方体(先端は少し尖っている)。台石は1枚だけ。すぐ足もとの墓碑には「陸軍歩兵加藤周一郎之墓」と彫られている。 大阪市天王寺にある真田山陸軍墓地。徴兵令が初めて発令された明治4年、当時の兵部省が設置した日本で最初の兵士の墓地だ。当初の面積は2万8040平方メートル。そして今は1万5077平方メートル。 ここには戦

          「責任はA級戦犯だけではなくすべての国民にある」
        • タイトルを勝手につけるな。批判するなら最後まで読め

          1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 新聞労連が主催するシンポジウムで発言した タイトルを勝手につけるな。批判するなら最後まで読め。絶対にまとめるな。 ……『経』の読者にとっては意味不明な書き出しだと思うけれど、タイトルとこの書き出しの意味については、後で説明するつもりでいる。今回はここからが本文。 1カ月ほど前のことになるけれど、新聞労連(日本新聞労働組合連合)が主催するシンポジウムで発言した。このときの様子が毎日新聞福井版に掲載された。以下に記事の全文を引用する。少し長いけれど中略はしない。その理由も後で書く。

            タイトルを勝手につけるな。批判するなら最後まで読め
          • 殺人事件は年間1件だけ!?ノルウェー紀行 | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

            テレビ番組のロケを終えて、ノルウエーから帰国したのは3日前。ほぼ1週間の滞在だった。 NHK―BSで放送されるこの番組のタイトルは『未来への提言』。NHKのサイトから、その内容と趣旨の一部を引用する。 「21世紀の人類が抱える共通の課題について、世界のキーパーソンに徹底インタビューし、未来を切りひらくヒントを探り、道しるべを提示するシリーズです。環境問題、平和の構築、最先端科学、エイズ撲滅、医療、未来学、教育など様々な分野で活躍するキーパーソンに、日本を代表するその道の専門家がじっくりとロングインタビューを行い、とっておきの未来への提言を聞き出します。」 今回のテーマは厳罰化。文中にある「日本を代表するその道の専門家」が森達也。自他共に認める方向音痴としては、その道をちゃんと歩けるかどうか心配になる。ただし、厳罰化については(専門家ではないけれど)、オウム以降のこの社会の急激な変化と

            • はびこる排外主義とレイシズムに日の丸が泣いている

              1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 3月14日、僕は参議院会館の1階講堂にいた。民主党の有田芳生参院議員が呼びかけた「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」に参加するためだ。この日に配布されたチラシには、集会の趣旨が以下のように記述されている。 「在特会」(在日特権を許さない市民の会)などによる異常デモが、東京・新大久保(2月9日)、大阪・鶴橋(2月24日)で行われました。そこでは「朝鮮人 首吊レ 毒飲メ 飛ビ降リロ」「よい韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」「ハヤククビツレ チョウセンジン」(新大久保)「鶴橋大虐殺

                はびこる排外主義とレイシズムに日の丸が泣いている
              • “殺された被害者の人権はどうなる?”このフレーズには決定的な錯誤がある

                1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 元最高検検事、土本武司・筑波大学名誉教授の発言 この10月、大阪で起きたパチンコ店放火殺人事件の公判に、「絞首刑は残虐な刑罰を禁じた憲法に違反する」と主張する弁護側の証人として、元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授が出廷した。自ら死刑執行に立ち会った経験を踏まえながら、「(絞首刑は)正視に堪えない。限りなく残虐に近いものだ」と証言した土本は、死刑制度そのものについては「憲法は、法律によればどんな刑罰も科せるとしている」と肯定しながらも、「残虐でないことを担保するような方法でなけ

                  “殺された被害者の人権はどうなる?”このフレーズには決定的な錯誤がある
                • 地域ニュース | 中国新聞デジタル

                  地質調べず固い岩盤発覚…事業費42億円増、水道代に影響 広島県の送水事業 (1/19) 広島市を流れる太田川から呉市方面へ水道用水を運ぶ新たな送水トンネルの建設で、広島県企業局は19日、...

                    地域ニュース | 中国新聞デジタル
                  • 犬猫30万匹を“安楽死”させる僕たちの民意 | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                    つい先日、西日本の地方都市に講演で呼ばれた。終了後に控え室で、主催団体のスタッフや関係者たちと談笑していたら、扉が小さくノックされた。 スタッフが扉を開ければ、30代前半という感じの女性が、もじもじとした様子で立っていた。「森さんにお話ですか?」と訊かれた彼女は「はい」と頷くのだけど、なかなかその用件を口にしようとしない。大勢がいるところでは話しづらい内容なのかもしれない。察したスタッフや関係者たちは、「じゃあしばらくロビーにいます」と中座してくれた。 「お疲れなのに申し訳ありません。私はこの地の動物愛護センターに去年から勤めています」 そう言ってから彼女は、名刺を差し出した。肩書きには獣医の記載がある。 「森さんは、動物愛護センターはご存じですか」 かれて僕は頷いた。要するにかつての保健所だ。飼い主のいない犬や猫の里親を探したり処分したりするところ。 「……私は動物が好きで獣医になったん

                    • 国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要

                      1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 映画『フェアゲーム』が暴くもの 2010年に公開されたアメリカ映画『フェア・ゲーム』は、CIAで諜報活動に従事していた女性工作員ヴァレリー・プレイムの回顧録をベースにしている。つまり実話。ペンシルベニア州立大学を卒業後にCIAにスカウトされたプレイムは、CIAが作った架空の会社の社員として、主に大量破壊兵器の調査などの任務を行っていた。夫であるジョゼフ・ウィルソンは元外交官で、イラク大使代理、国家安全保障会議(NSC)のアフリカ担当部長などを歴任している。 2001年、イラクがア

                        国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要
                      • 安倍首相、ご厚意ありがとう。でも歳も近いあなたに指導されたくない

                        1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 僕もよくブサヨとか書かれるけれど…… 今月も締切が近づいた。でもまだ原稿には手がつけられてない。困った。テーマくらいは決めなくては。そう思っていたら、担当の笠井一暁から以下のメールが来た。 5月号のテーマについて、「憲法」はいかがでしょうか。安倍首相は、96条の改正を叫んでいますが、「国民は憲法についての意思表示をする機会を奪われていた」というような彼の主張には、個人的にはまったく納得できるものはなく、ただの詭弁としか思えません。 「改憲を掲げた自民党が圧勝したことが民意の反映」

                          安倍首相、ご厚意ありがとう。でも歳も近いあなたに指導されたくない
                        • 過熱する領土問題譲渡することも一つの選択肢だ

                          1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 領土問題の本質は身も蓋もない剥き出しの利権だ カタツムリになるよりはスズメになりたいとポール・サイモンが歌う『El Condor Pasa』(邦題は『コンドルは飛んでゆく』)の中盤に、以下のような歌詞がある。 Away I’d rather sail away Like a swan that’s here and gone A man gets tied up to the ground He gives the word its saddest sound Its sadde

                            過熱する領土問題譲渡することも一つの選択肢だ
                          • 連合赤軍がうらやましい。とても屈折した言い方だけど。

                            1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 あなたは連合赤軍の事件を知っているか? 5月13日、連合赤軍事件をテーマにしたシンポジウム『浅間山荘から40年 当事者が語る連合赤軍』に参加した。 事件からは今年でちょうど40年。なぜこのような凄惨な事件が起きたのか、この事件によって社会の何が変わったのか、そして何を教訓にすべきなのか、そんなことをテーマにして、5時間という長丁場のディスカッションが行われた。 ……とここまでを書いてから、連合赤軍や彼らが起こした事件についてこの連載の読者は、どの程度の情報を共有しているのだろうか

                              連合赤軍がうらやましい。とても屈折した言い方だけど。
                            • 拉致問題、もはや萎縮などしている場合じゃない | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                              テレビ画面の中の彼はいつも怒っていた 「やっとお会いできましたね」 椅子から立ち上がりながら、蓮池透さんは言った。僕も同じ思い。正真正銘の初対面であるけれど、そんな気がしない。ほぼ同世代で新潟出身ということも共通しているけれど、もちろんそれだけが理由じゃない。 北朝鮮による拉致被害者である蓮池薫さんの実兄であり、家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)の元副代表で事務局長でもあった蓮池透さんの顔は、五人の拉致被害者が帰国した2002年10月以降、家族会のスポークスマンとして、ほぼ毎日のようにテレビで見ていた。 テレビ画面の中の蓮池さんは、いつも怒っていた。苛立っていた。日本政府の対応は生ぬるいとして、北朝鮮への強硬な制裁を激しく主張していた。憲法九条が拉致問題の解決を阻害していると発言したこともある。北朝鮮に対して自衛隊を出動させるべきだと主張したこともある。 その蓮池さんが、

                              • 厳しく批判された「お言葉」発言。 でも何かが引っかかる | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                                10月23日の閣議後に行われた閣僚懇談会で岡田克也外相は、国会開会式での天皇陛下の「お言葉」について、「大きな災害があった直後を除き、(ずっと)同じ挨拶をいただいている」と述べたうえで、「陛下の思いが少しは入った言葉がいただけるような工夫を考えてほしい」と宮内庁に検討を求めた。 岡田外相のこの発言に対して、同じ民主党の西岡武夫参院議院運営委員長は同日、「天皇陛下の政治的中立性を考えれば、開会式における陛下のお言葉について、私どもが政治的にあれこれ言うことは、あってはならない。信じがたい」と強い調子で批判し、自民党の大島理森幹事長も、「政府が陛下のお言葉にものを申し上げるのは、憲法上も、政治論としても行き過ぎた発言だ。民主党のおごりを感じる」と自民党本部で記者団に語っている。 批判は政治家からだけではない。メディアや識者などからも、岡田発言に対しての批判の声は多い。たとえば産経新聞はそのコラ

                                • 何かが変だ。その"さん"づけに違和感がある | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                                  1 2 3 4 何かが変だ。その"さん"づけに違和感がある 新聞を読みながらふと思う。何かが変だ。テレビのニュースを見ながら思う。やっぱり何かが変だ。 その変な何かについて、すぐわかるときもあれば、なかなかわからない場合もある。でもこのときは、何かが変だと気づいてから、何が変なのかに気づくまでに、あまり時間はかからなかった。 ……いきなり何を書いているのか、我ながらよくわからない。悪文のうえにもったいぶっている。だから単刀直入に書こう。最近、何か変だと思ったのは、足利事件再審についての報道だ。 ただし、その変だと思った「何か」については、最後に記すつもりでいる。今回はその前に、再審という制度について、思うところを書いてみたい。 確定した判決についての審理を再び行なうことを再審と呼ぶ。つまり裁判のやり直し。これを求める再審請求は刑事訴訟法に定められた手続きで、「被告人の利益」になる場合に限っ

                                  • 全国に300万台超、カメラに監視されて安心ですか?

                                    1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 ジョージ・オーウェル、『1984年』の世界 時代は1984年。核兵器を使った第三次世界大戦を経て、オセアニアとユーラシア、そしてイースタシアという三つの超大国によって、世界は分割統治されている。 ただし三つの国の関係は、大戦が終わった今も、決して友好的ではない。それぞれの国境付近は紛争地域でもあるらしく、戦争状態はずっと続いている(と報道されている)。 ウィンストン・スミスが暮らすオセアニアは、国家の最高権力者であるビッグ・ブラザーによって統治されている。物資は欠乏し耐久生活を強

                                      全国に300万台超、カメラに監視されて安心ですか?
                                    • 「将軍さま」と「事実上のミサイル」その意外な共通点

                                      1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 『将軍さま』は嘘ではないが正しくもない 北朝鮮による拉致問題が国民的な関心事となった2004年頃、朝鮮(韓国)語の翻訳を仕事にしていた韓国生まれの友人から、「最近は仕事がやりづらくなった」との話を聞いたことがある。 「つい数日前も、北朝鮮で隠し撮りしてきた一般国民のインタビューを翻訳したとき、局のプロデューサーから『将軍さま』を『我が党と我が人民の偉大なる指導者さま』に修正しろと指示されたよ」 つまり強調だ。いや、正しくは誇張というべきかもしれない。うなずく僕に、彼はさらに言った

                                        「将軍さま」と「事実上のミサイル」その意外な共通点
                                      • テロで子どもを失いかけた父親が選んだテロリストへの報復策

                                        1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 終戦記念日の翌日に放送された 石破茂自民党政調会長のインタビュー 毎月の締め切りが近くなった20日前後、編集部の笠井一暁から「今月はこんなテーマはどうでしょうか」とのメールが来る。採用する場合もあるし無視する場合もある。いつかは書こうと思いながら、そのまま塩漬けになってしまったテーマもある。今月のメールはこんな内容だった。 「すでにご存知と思いますが、石破さんは、1週間ほど前の報道ステーションで、『日本は1年以内に核兵器を作ることができるとの抑止力を誇示するためにも原発は必要』と

                                          テロで子どもを失いかけた父親が選んだテロリストへの報復策
                                        • 今さらだけど意思を表明し続ける今上天皇はすごい

                                          1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 この時期によく見かけるセイタカアワダチソウ 暑い夏が終わっていきなり秋になった。千葉と茨城の県境近くの田園地帯にある家の近くの田んぼでは、畦道に沿ってヒガンバナが大輪の花を咲かせている。よく見れば不思議な花だ。葉がない。茎と花だけ。ならば光合成ができないじゃないかと思うけれど、花を落とした後に葉が出るらしい。 ヒガンバナだけではない。少し前までは路地を歩けば、キンモクセイの香りがいたるところに漂っていた。地面にはびっしりとドングリが落ちている。セミやカエルの声はいつのまにか聞こえ

                                            今さらだけど意思を表明し続ける今上天皇はすごい
                                          • 非国民で売国奴の僕はこの国でますます居場所を失くすだろう

                                            1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 今日の日付は2012年12月13日。投票日まで2日を切った。 多くの人が指摘するように、今回の選挙は日本の今後を、ある程度は決めることになるだろう。とても大事な選択だ。でも同時に、とても嫌な雰囲気だ。 11月のアメリカ大統領選の際には、投票日直前のハリケーン「サンディ」に対応する姿勢の違いが、ロムニーよりもオバマへの支持をより増やしたとの指摘がある。 ただしオバマ圧勝の背景は、白人エスタブリッシュメントに迎合した新自由主義経済などの政策を打ち出すことに終始する共和党の存在意義自体

                                              非国民で売国奴の僕はこの国でますます居場所を失くすだろう
                                            • 橋下市長の慰安婦問題発言は、女性はもちろん、男性をも蔑むものだ

                                              1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 *今回の原稿は、ダイヤモンド社、ハフィントンポスト双方の了解を得て、より短くしたヴァージョンをハフィントン・ポストに掲載しています。 なぜこれほど際どい発言を繰り返すのか 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の従軍慰安婦をめぐる発言に対しては、維新の会や自民党の右派政治家などからも、強い批判が向けられている。ただし「人権軽視である」とか「国益を損なう」など、いかにも常套句的な指摘については違和感がある。「人権軽視である」は正しすぎて平板だし、「国益を損なう」はあまりに卑しい。益が

                                                橋下市長の慰安婦問題発言は、女性はもちろん、男性をも蔑むものだ
                                              • 無抵抗の男を殺し“正義は遂行された”と叫ぶ米国の狂気

                                                1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 かつてテロは一般的な言葉ではなかった この5月3日、朝日新聞労働組合が主催する「言論の自由を考える」シンポジウム第24回に、パネラーの一人として出席した。 24年前のこの日、つまり1987年の憲法記念日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が侵入し、小尻知博記者(当時29歳)と犬飼兵衛記者(当時42歳)に向けて、いきなり散弾銃を発砲した。犬飼記者は右手の小指と薬指を失い、小尻記者は翌5月4日に死亡した。 事件から3日後の5月6日、時事通信社と共同通信社に「赤報隊一同」を名乗る犯行声

                                                  無抵抗の男を殺し“正義は遂行された”と叫ぶ米国の狂気
                                                • 牛丼1杯を作るために必要な水は何トン?

                                                  1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 タイの屋台で飲むビールには氷が入っている 今僕は、バンコックから車で1時間ほどの小都市サラヤのホテルで、この原稿を書いている。スワンナプーム国際空港に着いたのは、今から4日前の午前5時半(現地時間)で、車でほぼ1時間のサラヤ・パビリオン・ホテルにチェックインしたのは午前8時。深夜に羽田を発った機内では映画を観続けてしまい、ほとんど眠っていない。旅装を解くと同時にベッドにもぐりこんで、2時間ほど仮眠をとってから洗面台で顔を洗い、バスルームの水道水を備え付けのポットに入れて沸かし、テ

                                                    牛丼1杯を作るために必要な水は何トン?
                                                  • メディアがこの世界から想像力を奪う

                                                    1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 ジェームズ・ナクトウェイに会ってきた 「たった一度でいい。世界中の人たちが戦場を自分の目で見たら、リン火剤で焼かれた子どもの顔、一個の銃弾によってもたらされる声も出ないほどの苦痛、手榴弾の爆風で吹き飛ばされた足。そんな恐怖と不合理と残虐さを、皆が自分の目で見れば、戦争はたった一人の人間にさえ許されない行為を万人にしているのだと、きっとわかるはずだ。 でも皆は行けない。だから写真家が戦場に行き、現実を見せ、事実を伝え、蛮行を止めさせるのだ」 引用したこのフレーズは、2003年に公開

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                                                    • 判決を左右する精神鑑定、その限界を考察せよ

                                                      1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 ふと気がつけば、一時は連日のように報道されていた足利事件関係のニュースや記事を、テレビや新聞で目にすることはほとんどなくなった。 ある意味で当然だ。今年3月の再審判決公判で、菅家さんの無罪は確定し、栃木県警や国家公安委員長、検察の一部は謝罪の意を表明した。 つまり冤罪であったことが証明された。 ただし(真犯人は結局見つかっていないことなども含めて)問題はまだ多く残されている。考えるべき課題も少なくない。そのひとつは飯塚事件だ。足利事件発生から2年後である1992年、福岡県飯塚市の

                                                        判決を左右する精神鑑定、その限界を考察せよ
                                                      • 教えてください。ツイッターって何ですか?

                                                        1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 「森さんはツイッターはやらないのですか」 この質問を最近はよくされる。勤務している大学の学生から。新刊についてのインタビューをされている最中に。あるいはシンポジウムの終盤に行われる観客との質疑応答で。そのたびに僕はこう答える。 「ツイッターってよくわからないのですが」 質問をした学生や新聞記者や会社員26歳(たぶん)は僕のこの答えに、「ああそうですか」とうなずきながら、ちょっとだけ困ったように笑う。今さらそんなこと言われてもなあといった雰囲気がなんとなく漂う(被害妄想かもしれない

                                                          教えてください。ツイッターって何ですか?
                                                        • 「自衛」を大義にして、人は人を殺し、戦争を起こしてきた

                                                          1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 「テロとの戦い」で何十万もの市民が犠牲になった テレビのニュースを見ていた。イラク情勢だ。スンニ派の過激武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と政府軍との戦闘は激化する一方で、拘束された政府軍兵士の多くが処刑されたという。とても憂慮すべき事態ですとコメンテーターが言う。今のイラクは国家崩壊の危機にある。そしてもしもそんな事態になったら、スンニ派とシーア派の争いはアラブ全域に連鎖する。 イラクからの支援要請を受けたアメリカでは、空爆など具体的な手を打てないオバマ政権を、

                                                            「自衛」を大義にして、人は人を殺し、戦争を起こしてきた
                                                          • 北朝鮮当局の演出を手伝い、流布する日韓のメディア

                                                            1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 映像は恣意的なものだ。でも、映像は客観を装う マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』を再見した。公開時には日本国内だけでも39万人という動員を記録したこの映画については、(カンヌでパルムドールを受賞した『華氏911』も含めて)僕は大きな評価をしていない。 ただし、一般的なムーアへの批判である「現実を恣意的に切り取っている」とか「都合良く論理を構成している」などの観点に同調するつもりはまったくない。作品は自己の表出であり、「恣意的に切り取る」ことは当たり前だ。ムーア

                                                              北朝鮮当局の演出を手伝い、流布する日韓のメディア
                                                            • 地下鉄サリン事件 、一通の手紙が裁判を覆すかもしれない

                                                              1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 かつてのオウム青山総本部のビルの前で かつてのオウム青山総本部のビルの前で、僕はしばらく立ちつくしていた。茫然としていたといってもいい。いまだにオウムの本部ビルが当時のままにあるとは、まったく予想していなかったからだ。 だから考える。3年ほど前にオウムのサティアン群が建設されていた旧上九一色村に行ったときは、何も見つけることができなかった。サティアンどころか残骸もない。ただの草原だった。 地下鉄サリン事件翌年の96年、サティアンはすべて解体された。その翌年には跡地に「富士ガリバー

                                                                地下鉄サリン事件 、一通の手紙が裁判を覆すかもしれない
                                                              • 南京大虐殺、被害者は30万人でも15万人でも(極端に言えば)どっちでもいい

                                                                1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 齢50になる男がいる。中肉中背。年甲斐もなく髪は中途半端なロンゲ。千葉県と茨城県の県境のあたりに居住している。 名前は緑川南京。奇妙な名前だけど本名だ。南京と書いてナンキョウと呼ぶ。でもそう呼ぶ人はまずいない。ナンキンだ。子供の頃はこの名前が嫌だった。中学のときに社会科の教師に「大虐殺くん」と冗談で呼ばれ、それ以後このニックネームが定着しそうになり、さすがにこのときは泣きながら職員室で抗議した。一度父親に「どうしてこんな名前をつけたんだ?」と聞いたら、先祖が京都の南のほうにいたら

                                                                  南京大虐殺、被害者は30万人でも15万人でも(極端に言えば)どっちでもいい
                                                                • なぜ僕たちは刑事裁判に参加するのか?|森達也 リアル共同幻想論|ダイヤモンド・オンライン

                                                                  5月21日から裁判員制度が始まる。基本的には選挙権を持つ国民のすべてが、この制度の対象になる。法務省はこの制度の周知に懸命だけど、その概要がどうもよくわからない。何がわからないのかがわからない。何となく焦点がぼけている感じが、どうしても拭えない。 (1)国民が刑事裁判に参加する制度である。 (2)被告人が有罪か無罪か(被告人が犯罪を行ったことにつき「合理的な疑問を残さない程度の証明」がなされたかどうか)を判断する。 (3)法律に定められた範囲内で、どのような刑罰を宣告するかを決める。 (4)裁判員制度の対象となるのは、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪などの重大な犯罪の疑いで起訴された事件とする。 (5)原則として、裁判員6名と裁判官3人が、ひとつの事件を担当する。 選挙人名簿から無作為に選択された国民は、一部の例外(年齢が70歳以上であった

                                                                  • 僕は自分がいちばんおいしいと思うラーメンを作ったのだ | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                                                                    自作のドキュメンタリー映画『A』と『A2』の上映会は、今も時おり催される。回数としては年に数回。1998年と2001年の公開時には動員にとても苦労した(要するにまったく当たらなかった)作品だけど、まったく当たらなかったぶんだけ寿命は長い(何しろ観た人が少ないのだから)。 上映の際には、できるだけその場にいるようにしている。なぜなら観客の反応や感想を知りたいからだ。 いろいろ差異はあるけれど、テレビ番組と映画の最も大きな違いはここにある。テレビは一過性だ。人気番組の場合は放送後にDVDで販売されるなどの事例も多いけれど、ほとんどの番組は基本的には1回放送したらそこで終わり。 でも映画は終わらない。観続けられる。いつまでも。だからもうひとつのテレビとの違いが現れる。観客たちがいるその場に、自分も身を置くことができることだ。 その結果、作品は安定しない。絶えず揺さぶられる。 もちろん作

                                                                    • 大相撲夏場所、青い龍のマスクの力士が乱入!? | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                                                                      2010年大相撲夏場所。序盤戦から上位力士たちの勝敗は荒れ模様。千秋楽を迎えたこの日、国技館は異様な熱気に包まれていた。なぜなら、横綱白鵬、大関日馬富士、大関琴欧州、関脇把瑠都の4力士が、すべて12勝2敗と横一線で並んでいたからだ。 まずは把瑠都と日馬富士の一戦は、水入りの大相撲で把瑠都の豪快な上手投げが決まり、結びの白鵬と琴欧州の一戦は、白鵬の内無双がやはり豪快に決まった。 これより優勝決定戦。白鵬と把瑠都が土俵に上がる。二人とも肌は紅潮している。場内はかつてないほどの興奮状態。何度かの仕切り直しを繰り返して、いよいよ制限時間いっぱいが近づいてきた。 土俵下にいる東西の呼び出しが立ち上がる。立行司木村庄之助の軍配がかえる。いよいよ世紀の一戦が始まるかと思われたそのとき、東側の花道がどっとどよめいた。蹲踞の姿勢を取りながら一瞬だけその方向に視線を送っcは、驚いたように口を開けてその場に立ち

                                                                      • 間違ってはいけない。信仰は無慈悲で残虐、アンフェアだ

                                                                        1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 アルジェリア軍の作戦は正しかったのか アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件は、どうやら最悪の事態を迎えそうだ。昨日(1月21日)未明、プラント大手「日揮」は日本人7人と外国人3人の従業員の遺体を確認したと発表した。アルジェリア軍の強硬な作戦で多くの犠牲が出たことは確かなようだけど、現時点で詳細はまだわからない。犠牲者はさらに増える可能性もある。 ありえない作戦だとアルジェリア政府を批判する人もいれば、決断は正しかったと主張する人も少なくない。これらを判断するためには

                                                                          間違ってはいけない。信仰は無慈悲で残虐、アンフェアだ
                                                                        • 高校球児はなぜ丸刈りを強制されるのか

                                                                          1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 高校野球が終わった。優勝は沖縄の興南高校。この時期に沖縄の高校が優勝したということは、いろいろな意味で示唆的だ。 ……などと書き始めたけれど、政治とスポーツとを安易に同じ位相で語るなどすべきじゃない。とても軽薄な文章だ。もしも読み返していなかったら、ここからさらに「基地問題で揺れる沖縄の意地を見た」などと書いていたかもしれない。暑さで頭のねじが弛んだとしか思えない。 そもそも野球に興味はない。ならばなぜこんな無理な書き出しをしようとしたのかといえば、ずっと気になっていた疑問につい

                                                                            高校球児はなぜ丸刈りを強制されるのか
                                                                          • 自虐史観と呼びたければ呼べばよい。でも、加害の記憶から目を背けてはいけない

                                                                            1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 世界は広い、でも人の頭の中は小さい 大阪環状線森ノ宮駅を降りる。もう夕暮れだけど晩夏の陽射しはまだまだ強い。目的地まではここから徒歩で5分ほど。でも急がないと。閉館時間が迫っている。 館内に入ってすぐ目につくのは、大阪空襲の際に米軍の爆撃機が落とした焼夷弾の複製模型だ。傍でまじまじと眺める。何だか笑い出したくなるくらいに大きい(もちろん笑わないけれど)。 動物園に行ったとき、僕はダチョウの大きさに毎回驚く。あるいはカバやサイやバッファロー。水族館ならマンボウとかジンベイザメとかセ

                                                                              自虐史観と呼びたければ呼べばよい。でも、加害の記憶から目を背けてはいけない
                                                                            • 遅い朝食か 早めの夕食か|森達也 リアル共同幻想論|ダイヤモンド・オンライン

                                                                              赤とんぼの歌って知ってる? 「ねえ赤とんぼの歌って知ってる?」 今年小学校6年生になる長男が、枕もとでふいに聞いた。学校から帰ってきたばかりらしい。朝方まで急ぎの原稿を書いていた僕は、寝ぼけながら訊きかえす。 「何だって」 「赤とんぼの歌、歌詞わかる? 最初の部分」 「……まだ眠い」 「お願い」 「夕焼け小焼けの赤とんぼ」 「その次」 「……追われてみたのはいつの日か」 「追われたってどういうこと?」 「追い払われたということだろ」 「誰が誰に追われたの?」 大きな欠伸をしてから僕は考え込む。そういえば確かにわからない。誰が誰に追われたのだろう。考えようにも次の歌詞がわからない。 「……赤とんぼがいるのだから季節は秋だよな」 「うん」 「ならば子供たちが稲刈りの邪魔をして、大人たちに追い払われたというところかな」 「ブー」 「何だよそれ」 「間違いです

                                                                              • 〝何となく無人島"イースター島とモアイの真実 | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

                                                                                1 2 3 4 〝何となく無人島"イースター島とモアイの真実 キャビンで目を覚ます。就寝前に枕元に置いた腕時計の針は、午後6時50分を示している。ただしこの時計は日本を出たときのまま、時差の調整をしていない。日本との時差は14時間のはずだから、現在の正確な時刻は午前4時50分ということになる。そろそろ夜明けのはずだ。 まだ薄闇のデッキに出る。船尾、つまり東側の空は、微かに明るくなっている。 デッキをぐるりと回る。船首の向こうに黒い陸地が見える。そしてぽつぽつと見えるオレンジ色の光。現在の船の速度は20ノット強のはず。時速にすれば40キロ近く。ほとんど車の速度だ。つまり船は(多くの人が抱くイメージより)かなり速い。陸地は少しずつ大きくなり、そして明るくなる。オレンジ色の光のほとんどは街灯のようだけど、人家の灯りらしき光も見える。ゆっくりと動く光はおそらく車だろう。 「おはようございます」 背

                                                                                • 九条の国、誇り高き痩せ我慢

                                                                                  1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。 森達也 リアル共同幻想論 テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る! バックナンバー一覧 アメリカでは正当防衛の概念がとても広い 昨年2月26日、米南部サンフォードの住宅街で事件は起きた。この時点で17歳のトレイボン・マーティンは、自宅近くのコンビニで買い物をして知人宅に戻る途中、彼を不審者とみなした自警団団長でヒスパニック系白人のジョージ・ジマーマン(29歳)に声をかけられてもみ合いになり、ジマーマンが持っていた銃で胸を撃たれて死亡した。 この事件の裁判で検察側は、「警察官を気取った被告が、(マーティンが黒人であるため)偏見を持って追いかけて射殺した」と指摘したが、

                                                                                    九条の国、誇り高き痩せ我慢
                                                                                  1