日本の安全保障政策をめぐっては、政党を越えた「コンセンサス」がある。こう言えば信じられるだろうか。 それは、「総合安全保障」の推進についてのコンセンサスである。実際に、様々な政治家がこのキーワードを異口同音に用いているのである。 たとえば、安倍晋三首相は、2012年の自由民主党(自民党)総裁選挙にあたって、総合安全保障を掲げた。「日本再起。強い日本で、新しい『日本の朝』へ」という主要政策の柱の1つが、「外交・総合安全保障の確立に全力」である(注1)。 対する野党の国民民主党も、基本政策として総合安全保障を打ち出している。同党のウェブサイトには「私たちの理念と政策の方向性」に、「総合安全保障政策を取りまとめます」とある(注2)。 国民民主党の源流たる民主党も、総合安全保障をマニフェストに載せていた。菅直人首相のもとでは「総合安全保障、経済、文化などの分野における関係を強化することで、日米同盟