「男性学」の多様な視点 多賀先生は「男性学・男性性研究」がご専門とのことですが、読者の方の中には、「男性学」という言葉を初めて聞く方もいるかと思います。先生が考える、男性学の定義を教えていただけますか。 大きく2つの側面から定義できると思います。1つは、フェミニズムや女性学からの問題提起を受けて「男性」の立場からジェンダー問題を自分自身の問題として捉え直す、いわば「男性の当事者学」というものです。 もう1つは、「男性」というものを、社会的につくられた性別、つまりジェンダーの視点から批判的に捉え直す研究というものです。この定義だと、研究する人が「男性」かどうかは問われません。最近の英語圏では、こうした研究を「男性学」ではなく「男性性研究」(masculinities)と呼んでいます。 私は、これら両方の意味を込めて自分の専門を「男性学・男性性研究」と呼んでいますが、今日は「男性学」を、これら