聴覚障害の作曲家がゴーストライターに作曲を依頼していた件、世間に衝撃を与えていますがこれが良いことなのか悪いことなのか、私個人は興味がありません。 あくまで音楽家の興味関心は音楽そのものにあるのであって、世間からの評価や音楽を巡る表象にはないでしょう。 さて、この問題にまつわる批評や記事の中で「不協和音」という用語が散見されますが、この用語は誤解を受けているように感じます。 不協和音という用語は非常に曖昧な概念であり何を不協和音と考えるかは流派や時代によってもかなり異なりますし、究極的には個人の問題になってしまいます。 にも関わらず不協和音は明らかに拡大解釈され、あたかも明確な定義があるように考えられているようです。 実際には不協和音に一義的な定義はなく、長い音楽の歴史を背負った複雑な概念なのです。 ということで、今回は協和・不協和をめぐる議論の密度を理解していただき、音楽の豊かさを感じて