私はあえて彼に「正論」をぶつけてみた。 ――労働組合は基本、組合員の利益のために賃上げや労働環境の改善に取り組む組織である。そして賃上げは本来、働き手が労働組合に入るなどして、自らが要求して勝ち取るものだ。今回、労働組合は自分たちの『取り分』を削り、組合員ではない非正規職員のために賃上げを実現させたのであり、ヨシツグさんは、組合に入って声を上げることもせず、組合費も払わず、利益だけを享受したということになるのではないか――。 すると、ヨシツグさんはこう反論した。 「労働組合なんて、入れるわけないでしょう。そんなことしたら即雇い止めです」 「非正規」で働くことの現実 十数年前、私が非正規労働者の過酷な働かされ方について記事を書くと、正社員を中心とした、主に企業内労働組合の組合員から「まずは正社員が直面している賃下げや不当解雇の問題について書くべきだ」「正社員の待遇が上がれば、それと連動して非
1人の人間が、週に1度以上の頻度で原稿を書くのは、たぶん、不自然なことなのだ。 私の場合、各方面の媒体に掲載している記事を合算すると、ひと月あたりでおよそ十数本だ。実に、2日に1本のタイミングで原稿を書いている計算になる。 これは、異常なことだ。 であるから、コメント欄にも、ときどき 「何も話題が見つからないのなら、無理に書く必要はないのですよ」 という感じの、あたたかいアドバイスが寄せられる。 おっしゃる通りだと思う。 私自身、書かないことに対して原稿料が発生するのであれば、ぜひそういう仕事ぶりで生計を立てたいと思っている。 「今週は特に書きたいことがないので原稿は書きません。読者のみなさんは、真っ白な画面を眺めつつ、各自瞑想を楽しんでください」 みたいなテキストでお茶を濁せたらどんなに素晴らしいことだろう。 それでも締切はやってくる。 それゆえ、私は今日もなにごとかを書かねばならない。
このコラムが公開される頃、日大アメフト部の問題はどうなっているのだろうか? 権力、不正、服従、正当化、自己保身、ウソ、無責任、密室性、心理的抑圧etc……。 これまで研究者たちが検証を試みた「心のメカニズム」が、見事なまでに再現された“事件”だった。 内田正人前監督と井上奨コーチの節操なき会見は、「権力が強さではなく弱さに宿る」ことを知らしめる象徴的な会見だったし、先だって行なわれた日大アメフト部の選手の言葉には、「不安という感情が人を弱くも強くもする」ことが赤裸々に表れ、切なかった。 今回のような事件は、どこの組織でも起きるし、起きてきた。過去には何人もの、“内田氏”、“井上コーチ”、“日大アメフト選手”がいたし、“外野席”にいる私たちも例外じゃない。 そして、手を染めてしまった“あと”を、左右するもの。 SOC。Sense Of Coherence。直訳すると「首尾一貫感覚」。 SOC
このコラムが公開される頃、日大アメフト部の問題はどうなっているのだろうか? 権力、不正、服従、正当化、自己保身、ウソ、無責任、密室性、心理的抑圧etc……。 これまで研究者たちが検証を試みた「心のメカニズム」が、見事なまでに再現された“事件”だった。 内田正人前監督と井上奨コーチの節操なき会見は、「権力が強さではなく弱さに宿る」ことを知らしめる象徴的な会見だったし、先だって行なわれた日大アメフト部の選手の言葉には、「不安という感情が人を弱くも強くもする」ことが赤裸々に表れ、切なかった。 今回のような事件は、どこの組織でも起きるし、起きてきた。過去には何人もの、“内田氏”、“井上コーチ”、“日大アメフト選手”がいたし、“外野席”にいる私たちも例外じゃない。 そして、手を染めてしまった“あと”を、左右するもの。 SOC。Sense Of Coherence。直訳すると「首尾一貫感覚」。 SOC
このコラムが公開される頃、日大アメフト部の問題はどうなっているのだろうか? 権力、不正、服従、正当化、自己保身、ウソ、無責任、密室性、心理的抑圧etc……。 これまで研究者たちが検証を試みた「心のメカニズム」が、見事なまでに再現された“事件”だった。 内田正人前監督と井上奨コーチの節操なき会見は、「権力が強さではなく弱さに宿る」ことを知らしめる象徴的な会見だったし、先だって行なわれた日大アメフト部の選手の言葉には、「不安という感情が人を弱くも強くもする」ことが赤裸々に表れ、切なかった。 今回のような事件は、どこの組織でも起きるし、起きてきた。過去には何人もの、“内田氏”、“井上コーチ”、“日大アメフト選手”がいたし、“外野席”にいる私たちも例外じゃない。 そして、手を染めてしまった“あと”を、左右するもの。 SOC。Sense Of Coherence。直訳すると「首尾一貫感覚」。 SOC
こんにちは、福島県郡山市の総合南東北病院外科の中山祐次郎です。前々回から、この連載は特別編「医者の本音」シリーズとして全8回で毎週お送りしております。 私は大腸がんの専門なので、患者さんにがんの告知をすることは日常的にあります。 そんな時、患者さんのほとんどは頭が真っ白になり、思考が止まってしまいます。私が詳しいご病状を説明しても、ほとんど頭に入らないことがよくあります。私はそれを非常に気にかけているので、紙に書いて説明するようにし、場合によっては翌週にもう1度、同じ話をすることさえあります。 がんの告知という、恐らく人生最大級のショックを受けた時。訳が分からなくなってしまうのは、とてもよく分かります。しかし、医者は検査や治療のスケジュールを決めていかねばなりません。そこで、がんと告知された時に皆さんが、どんなに頭が真っ白になっても、医者に対してしておくべき質問をまとめました。最低限、次の
高校一年生のとき、小川理子さんは坂本龍馬に心底ほれ込み、京都霊山護国神社にある墓にラブレターを埋めるため足を運んだ。荒廃した墓を1968年に再建したのは松下幸之助であることは、もちろんその時は知る由もない。高校時代から坂本龍馬にひかれるあたり、もともと組織を変革するリーダーの資質があったのかもしれない。 小川さんが、高級オーディオ機器「テクニクス」を復活させるため、その責任者の命を受けたのは2014年、51歳のときだった。高級ブランドのイメージと、小川さんのジャズピアニストとしての経歴が重なりあい、ブランド価値の向上に一役買うことになる。新製品の発表会では常に華やかな空気をまとい、先頭に立ってプレゼンテーションをする。 続きを読む 「音楽も仕事も中途半端だね」。先輩の言葉に奮起する とはいえスポットライトを浴びるのは一瞬のこと。大きな使命を負って、奔走する日々だ。ビジョンを描いて進むべき方
愛媛県知事「首相への抵抗」何のため? 加計問題で孤立無援。「援軍」は現れるのか 深沢道広 経済・金融ジャーナリスト 愛媛県が4月に続いて5月にも加計問題を巡る新文書を国会に提出した。安倍晋三首相らは全面否定している。筆者は愛媛県知事がなぜ首相に抵抗するのかずっと疑問に思っていた。政治的パフォーマンスという見方も一部に出ているが、「補助金投入に伴う透明性確保」というまっとうな理由が第一ではないか。ありのままにオープンにするスタンスは、安倍政権とはあまりに対照的だ。 支持率下げ止まり、首相は強気 新文書は加計学園の獣医学部新設をめぐり、首相や官邸が早い段階から何度も加計学園側とやり取りを重ねた経緯を時系列に記載したもの。4月に明らかになった文書(加計学園、愛媛県、今治市が2015年4月に官邸で柳瀬氏らと面談したことが記された文書)より以前の経緯、なぜその面談が実現したのかが読み取れる。 新文書
米軍から “汚染された土地” が還ってくる! 沖縄の軍用地返還は「負担軽減」ではない。「新たな負担」だ 島袋夏子 琉球朝日放送記者 沖縄県北部に広がる「やんばるの森」は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林だ。環境省は世界自然遺産への登録を目指している。 しかし、森にはもう一つの顔がある。「米軍北部訓練場」として長らく使われてきたのだ。 2016年にその過半が返還された際、日米両政府は「復帰後最大規模の土地の返還」「沖縄の負担軽減」と強調した。だが、厄介な問題が発覚するのに、そう時間はかからなかった。森のあちこちから、照明弾、ペイント弾、タイヤ、バッテリーの一部といった廃棄物が続々と出てきたのだ。 艶やかな緑の木々の合間に残された無機質な廃棄物は、北部訓練場がベトナム戦争中から米軍のゲリラ訓練に使われていたことを物語る。そこには世界自然遺産候補地のイメージとはかけ離れた、灰色の歴史の跡が刻まれていた
沢の斜面に、うつ伏せで重なり合うように倒れていた父と子。新潟県阿賀野市の五頭連峰に登山に出かけて3週間余り、遺体で見つかりました。2人が向かったと見られる山は、標高1000メートルにも満たない「低い山」でしたが「低い山こそ注意が必要」と指摘する声は多くあります。遭難経験者も語る「低い山に潜むリスク」についてです。 (ネットワーク報道部記者 佐藤滋 玉木香代子) 新潟県で遭難した父子が向かったと見られるのは、標高954メートルの山でした。 今月5日の午後8時すぎ、「道に迷ったのでビバークする」と家族に連絡。 翌日の午前5時半ごろには「これから下山する」と再び携帯電話で連絡がありましたが、その後、行方がわからなくなりました。
6月は多くの企業で人事異動のある季節。仲間から足元をすくわれて不本意な人事となった例も多く聞く。社内の人間なのに蔭で足を引っ張る人に共通することは何か。そしてそんな不本意な人事に遭遇したあと、どのような気持ちで仕事をすればいいのか。ベストセラー『他人を攻撃せずにはいられない人』をはじめ、臨床経験をもとにした多くの著書を刊行している精神科医の片田珠美さんが分析する。 なぜ蹴落とそうとするのか わざと足を引っ張る人はどこにでもいる。なぜこんなことをするのかといえば、何よりも自己保身のためである。自分の失敗を同僚のせいにすれば、自分は責められなくてすむと思うからこそ、事実を歪曲して同僚こそ失敗の責任者であるかのように上司に報告する。あるいは、業績をあげている同僚の悪口を上司に吹き込んで、この同僚が飛ばされれば、自分が昇進できるかもしれないと思うからこそ、「あの人は横領している」と告げ口する。 こ
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