Published 2022/09/04 10:44 (JST) Updated 2022/09/14 09:33 (JST) 江戸前期の1622(元和(げんな)8)年9月10日、江戸幕府は長崎・西坂で、キリシタン55人を処刑した。「元和の大殉教」と呼ばれる。ちょうど400年となる10日、西坂公園などでカトリック長崎大司教区の記念祭が開かれる▲幕府は1614年にキリスト教の信仰を禁じていたが、「キリシタンの町」長崎の信仰熱は冷めず、大多数の住民が信仰を守り続けていた。命懸けで宣教師をかくまう信徒も多かった▲業を煮やした2代将軍徳川秀忠は、捕らえていた宣教師や信徒らの大量処刑に踏み切る。その残酷さは、日本二十六聖人記念館(西坂町)で展示されている「大殉教図」を見ればよく分かる▲神父や修道士ら25人は火あぶりにされた。長時間苦しめて棄教(ききょう)させようと、勢いを弱めた火でじわじわ責め立てた
Published 2022/04/27 10:12 (JST) Updated 2022/04/27 10:15 (JST) カトリック長崎大司教区で、神父による性被害などの相談業務を担い、被害信徒から「命綱」と信頼された元職員がなぜ退職に追い込まれ、訴訟に踏み切ったのか。教会関係者の証言を基に背景を探った。 元職員が主張する大司教区側からの「圧力」は、教会で起きた二つの不祥事に端を発している。 一つは2018年5月の性被害問題。県内の教会で神父Aからわいせつ行為を受けた女性信徒がPTSDを発症し、その後、二次被害を受けたとして提訴。長崎地裁は今年2月、大司教区の責任を認め損害賠償を命じた。 もう一つが18年10月に発覚した神父Bによる教区資金の無断流用問題。長崎市の世界遺産、大浦天主堂の拝観料など計約2億5千万円を知人に無断で投資・貸し付けし、20年9月、髙見三明大司教(当時)が信徒に
Published 2022/04/18 11:00 (JST) Updated 2022/04/18 11:25 (JST) カトリックの総本山バチカンが2020年公開したローマ教皇ピウス12世(在位1939~58年)関連の機密文書に、太平洋戦争の終戦直後、ピウス12世が米国側に対し、広島、長崎への原爆投下は「戦争犯罪」の可能性があると苦言を呈した記録があったことが分かった。10日、長崎市内であったバチカン所蔵史料の研究に関するシンポジウム(角川文化振興財団主催)で、日本大国際関係学部の松本佐保教授(国際政治史)が報告した。 松本教授によると、ピウス12世は45年10月、当時の欧州連合国軍米司令官アイゼンハワー(後の米大統領)らと会談。原爆投下の「戦争犯罪」の可能性を指摘した上で、米軍を中心とした日本占領政策について、日本に対する慈悲と日米関係改善による平和構築や日本市民への配慮を要求、
昭和30年代の長崎を舞台に、被爆とカトリックの信仰について描いた映画「祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-」の試写会が2日、長崎市尾上町のユナイテッド・シネマ長崎で開かれた。 舞台あいさつで松村克弥監督と主演の一人、黒谷友香さんが登壇。松村監督は「多くの方々の協力でこの日を迎えられてうれしい」。黒谷さんは「若い世代の人たちにぜひ見てもらいたい。平和について考えるきっかけにしてほしい」と語った。 本作は同市出身の劇作家、故田中千禾夫(ちかお)さん(1905~95年)の戯曲「マリアの首」が原作で、映画化は初。原爆で壊滅的な被害を受けた旧浦上天主堂の取り壊しに伴い、撤去の動きがある被爆マリア像を守ろうとするカトリック信者の女性、鹿(高島礼子さん)と忍(黒谷さん)の生きざまを描いた。昨年2月には、東彼川棚町の片島魚雷発射試験場跡や長崎市の館内市場などでロケが行われた。 黒谷さんは取材に対し「長崎ロケは
長崎と広島の平和団体、カトリック教会の関係者が核兵器廃絶を目指す活動などを支援するため、昨年設立した「核なき世界基金」は、創設1周年を記念したワークショップを10日に長崎市で開く。世界の「核被害者」への支援について考え、核兵器禁止条約の第1回締約国会議に向けた具体的な提言も検討する方針。 核なき世界基金は、2019年のローマ教皇の被爆地訪問を受けて創設。1年間で約800万円が寄せられた。核兵器禁止条約の批准拡大を後押しする活動や、核兵器由来の放射線被害者への支援などに活用するという。 2日は同基金運営委員を務める、核兵器廃絶地球市民集会ナガサキの朝長万左男実行委員長とカトリック長崎大司教区の高見三明大司教が市役所で会見。朝長氏は「核実験などによる核被害者への支援を考えたい」と語った。 「世界のヒバクシャとともに-支援のあり方を考える」と題したワークショップは、10日午後1時半から長崎市平野
長崎市の漫画家、奈華よしこさんが、16世紀にローマを訪問した天正遣欧少年使節の一人、千々石ミゲルの波乱に満ちた半生を描いた漫画「光の彼方(かなた)へ」(タイピント印刷)を出版した。 キリスト教の禁教から信仰の解禁までの史実に沿いつつ、創作を交え男女の情愛などさまざまなエピソードを盛り込み、ミゲルら登場人物を感情豊かに生き生きと描いている。 本作では、安土桃山時代、九州のキリシタン大名の名代としてヨーロッパを訪れた同使節4人が、8年ぶりに長崎に帰ってくるシーンから始まる。豊臣秀吉による「バテレン追放令」で表立った布教ができなくなっていた中、4人は「イエズス会」に入会。その後、ミゲルは脱会、棄教し大村藩に仕官するが、過酷な人生を歩み…。 奈華さんは、プロ漫画家として約35年活躍。これまでにドイツ人医師シーボルトの娘・楠本イネを題材にした漫画などを出版している。本作については「禁教による弾圧で多
「沈黙」など長崎県ゆかりの作品を残した作家遠藤周作(1923~96年)の没後25周年を記念し、「遠藤周作事典」(鼎(かなえ)書房)が刊行された。作品解説などを通じ、キリスト教など多彩なテーマで書かれた遠藤文学の全容と遠藤の人物像に迫っている。 遠藤の研究者らでつくる遠藤周作学会(川島秀一代表、105人)が約5年前から研究資料を集約し、準備を進めてきた。 これまでに刊行された遠藤周作文学全集(新潮社、全15巻)に収録された全作品と、単行本として刊行された小説、戯曲、評論、エッセーを網羅。計436の作品ごとに出典、研究者らによる解説、評価などを記している。昨年6月、遠藤周作文学館(長崎市東出津町)での発見が公表された「影に対して」も取り上げている。 ほかに、遠藤と交流のあった人物や趣味、演劇など多方面にわたる文化活動などについても触れている。巻末には付録として「英語圏における遠藤文学の評価と研
小崎さんの遺志を受け、「多くの人にコルベ神父の存在を知ってほしい」と語る荒木教授=長崎市三ツ山町、長崎純心大 長崎でキリスト教を広めた後、アウシュビッツ強制収容所で人の身代わりになった故コルベ神父。長崎で被爆したカトリック修道士、小崎登明さんはその生き方に感銘を受け、研究を続けてきたが、4月に93歳で亡くなった。神父の徳を世界に伝えたいという遺志を受け継ぎ、親交があった長崎純心大の荒木慎一郎教授(68)は小崎さんの著書を英訳。神父没後80周年の8月14日までに米国で出版する予定だ。 荒木教授は2018年末ごろ、共通の知人の紹介で小崎さんと知り合った。初めて会ったのは聖コルベ記念館(長崎市本河内2丁目)の部屋。神父に関する写真やノート、ファイルがぎっしりと置いてあった。小崎さんは「神父様が知られていないのは残念。たくさんの人に知ってもらいたい」と老いを感じさせない熱量で語ったという。 荒木教
元鎮西学院学院長の森泰一郎さん(76)=諫早市=が今春、キリスト教を学んでいた関西学院大大学院を修了し、地元諫早で新たな一歩を踏み出そうとしている。教会に所属せずに、来月から「聖書を読む会」を開く準備を進めている。森さんは「一人で悩みを抱える人たちの心のよりどころになりたい」と話す。 森さんは中高を鎮西学院で過ごし、東京の大学院修了後、鎮西学院が運営する短大(現在の鎮西学院大)で教壇に立った。地域経済学を専門とし、学長を経て2015年から学院長を務めた。 学生時代にあこがれていたプロテスタントの牧師を目指し18年4月、関西学院大大学院神学研究科に入学。3年間の大学院生活では、鎮西学院などの学校が担ってきた神学の歴史などを研究し、論文にまとめた。 今春、大学院を修了し、県内の教会で牧師として活動する道も検討したが、聖書が説く考え方を在野で伝える方針に転換。「(牧師の)権威を持って教えるという
Published 2021/04/12 23:30 (JST) Updated 2021/04/13 12:39 (JST) ポーランド出身のマキシミリアノ・コルベ神父(1894~1941年)が1930年5月に長崎市で発行を始めた日本語の月刊誌「聖母の騎士」が今年5月号で千号となった。キリスト教布教を目的にしていて戦時中は発行を止められたが、戦後に再刊し今日に至る。若い世代にも関心を持ってもらえるようウェブ上でも読めるようにすることを検討している。 日本語の創刊号名は「無原罪の聖母の騎士」で、表紙に聖母マリアの絵を配している。発行する目的や、迫害を逃れ隠れていた信者が大浦天主堂で名乗り出た「信徒発見」などを14ページにわたって記載。A5判で現在と変わらない。発行所の聖母の騎士社によると、最初はカトリック長崎教区の教報の付録として作成、長崎市の藤木博英社で1万部印刷しポーランド人修道士たち
核兵器禁止条約の発効を受け、カトリック長崎大司教区の高見三明大司教と広島司教区の白浜満司教は22日、核保有国も非保有国も含め「全ての人が一致して核兵器のない世界の実現に向け参加する必要がある」と訴える声明を発表した。 声明は、2019年に来崎したローマ教皇フランシスコが語った「核兵器のない世界は可能であり、必要」との言葉を引用。条約に実効性を持たせるため核抑止論という「壁」を乗り越え、核保有国や「核の傘」に依存する日本などが批准するよう「働き掛ける決意を新たにする」とした。 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)も同日公表した声明で、非政府組織(NGO)、メディア、地方自治体、企業、若者などの市民社会は機運を生かし「条約の普遍化と規範強化へ革新的・創造的な活動を強化すべき」と訴えた。
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