タグ

ブックマーク / aasj.jp (17)

  • 8月14日 ジャンク DNA が体細胞のゲノム多様性に大きく貢献する(8月4日 Cell 掲載論文) | AASJホームページ

    昨日はLINEトランスポゾンが、long noncoding RNA として炎症に関わる遺伝子発現を抑える論文を紹介し、ジャンク DNA も機能が持てるように我々の進化が進んでいることを紹介した。このように明確な機能が見つかることは希で、多くの場合、LINE や Alu と呼ばれる霊長類のレトロトランスポゾンは、ゲノムの多様性生成に大きな役割を果たしていると考えれている。 というのも、昨日紹介したように、同じ起源を共有する配列が、我々のゲノムに驚くほどの数で散らばっているという事実は、良く似た配列(相同)がゲノムのあちこちに存在することを意味し、何らかのh拍子で DNA が切断されると、この相同性を元に、相同組み換えが起こり、ゲノムに欠損や重複の大きな変異が生まれるきっかけになるからだ。これは、通常の相同染色体同士の組み換えと異なり、ゲノム上に存在する相同領域同士で起こるので、non-al

  • 7月31日 脳に見られる体細胞突然変異の徹底解析(7月29日号 Science 掲載論文) | AASJホームページ

    成熟してからの脳では増殖細胞は多くないので、これまであまり突然変異の解析はされてこなかった。しかし、DNAシークエンスパワーが高まって、頻度の低い変異を発見できるようになってからは、体細胞突然変異の探索が行われ、自閉症や統合失調症の発症に、新たに生じた(de novo)の変異が大きな役割を演じていることがわかってきた。 今日紹介する米国メイヨークリニックを中心とした多施設共同論文は、44例の神経学的健常人、19例のトゥーレット症候群(チックを主症状とする神経疾患)、9例の統合失調症、そして59例の自閉症スペクトラムの死後脳から、皮質、線条体、海馬組織を採取、これを200カバレージ以上繰り返し配列を読み、脳で起こる変異の包括的カタログ作成を目指した研究で、7月29日 Science に掲載された。タイトルは「Analysis of somatic mutations in 131 human

  • 6月18日 軽度covid-19感染による脳障害の解析(6月7日 Cell オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    久しぶりにCovid-19論文を取り上げる。スタンフォード大学とイェール大学からの論文で、最近問題になっているcovid-19感染後の厄介なbrain fogと呼ばれる現象について、マウスモデルで研究している。タイトルは「Mild respiratory COVID can cause multi-lineage neural cell and myelin dysregulation(軽度の呼吸器Covid感染は様々な神経系細胞とミエリンの調節不全を起こす)で、6月7日Cellにオンライン掲載されている。 我が国でも感染が収まりつつあり、世界中でも「ワクチンも行き渡り感染しても軽い」と考えられるようになったので、現在ではlong covidや、軽度感染の後に思いがけなく続く様々な神経症状を取り上げて、注意が喚起されている。この意味では、なかなかタイムリーな研究だ。 研究では肺にβ株のco

  • 6月19日 胸腺びっくり動物園:免疫学の長年の謎が解明された(6月16日 Cell オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    今日紹介するハーバード大学、Dian Mathisラボからの論文は、免疫学長年の謎を解明したとても重要な論文なので、次々回のジャーナルクラブの題材にすることを約束して、ここでは概要だけを紹介する。幸い共同著者に挙げられている和歌山大学、改正さんを個人的にも知っているので、彼にも参加してもらってこの研究の重要性を伝えたいと思う。タイトルは「Thymic epithelial cells co-opt lineage-defining transcription factors to eliminate autoreactive T cells(胸腺上皮は体細胞の分化を決める転写因子を動員して自己反応性T細胞を除去する)」で、6月16日 Cell にオンライン掲載された。 私たちの免疫細胞は、自己の細胞や分子には反応しない免疫寛容が成立している。T細胞については胸腺内でT細胞が分化する時、自己抗

  • 2月13日 エボラウイルス感染は快復後も脳内でウイルス増殖が維持される場合がある。(2月9日 Science Translational Medicine 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 2月13日 エボラウイルス感染は快復後も脳内でウイルス増殖が維持される場合がある。(2月9日 Science Translational Medicine 掲載論文) 2月13日 エボラウイルス感染は快復後も脳内でウイルス増殖が維持される場合がある。(2月9日 Science Translational Medicine 掲載論文) 私たち日人にはあまりなじみがないが、今回のパンデミックが始まるまで、世界的にはエボラウイルス感染が最も注目を集める感染症の一つだった。私たちも、ウガンダ旅行を計画しているちょうどその頃、コンゴ国境地域でエボラウイルス感染が起こったことを聞いた。感染症の性質上ほとんど旅行には問題ないと勝手に決めて、結局ウガンダ旅行を強行したが、国境の検問を厳しくするのか、山岳地帯に行進していく軍隊も目にした。 このとき

  • 1月19日 火星での有機物合成(1月14日号 Science 掲載論文) | AASJホームページ

    生物が誕生するには有機物が必要だが、有機物が出来たとしても、生物が誕生するまでには確率の低い過程が積み重なる必要がある。従って、有機物の存在を、そのまま生物の証拠を示すと早とちりしてはならない。 今日紹介する米国カーネギー研究所からの論文は、1984年南極で発見された火星から飛来した隕石の中の有機物を詳しく解析し、その形成過程を調べた研究で、1月14日号のScienceに掲載されている。タイトルは「Organic synthesis associated with serpentinization and carbonation on early Mars(初期の火星で起こったserpentinizationと炭化に伴う有機物生成)」だ。 この研究が対象にしたのは、アランヒルズ84001と呼ばれている南極で発見された隕石で、解析の結果から40億年前に形成された岩石で、1300ー1600万年

  • 1月18日 黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性は、病院では無く、野生のハリネズミの中で発生した(1月5日 Nature オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 1月18日 黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性は、病院では無く、野生のハリネズミの中で発生した(1月5日 Nature オンライン掲載論文) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は常在菌だが、免疫が低下した方に感染してしまうと、抗生物質が効かないため治療が難しい感染症を引き起こす。抗生物質耐性であることから、抗生物質を投与された家畜で発生した例外的なケースを除いては、病院内で抗生物質が使われることで発生すると考えられていた。もちろん私もそう考えていた。 ところが、今日紹介するデンマーク国立血清研究所を中心とする多施設共同論文は、ハリネズミと人間のMRSAを比較することで、MRSAは抗生物質が誕生するずっと前からおそらくハリネズミの中で発生していたことを示した、まさに「(科学的)事実は小説より奇なり」を地で行く研究で、1月5日Natu

  • 1月1日 Covid-19重症化を理解し治療するための研究が今も続けられている(12月22日 Cell に掲載が採択されたばかりのプレプリント) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 1月1日 Covid-19重症化を理解し治療するための研究が今も続けられている(12月22日 Cell に掲載が採択されたばかりのプレプリント) 元旦にCovid-19をキーワードにPubMedを検索すると、213337編の論文がヒットする。1年に10万編ペースは今も維持されているようだ。とはいえ、ウイルスにしても、病気の進行にしても、最初の1年に発表された論文から受けた興奮と比べると、驚きは減ってきた。 そんな中で最近発表された、年初にふさわしいCovid-19関連の論文を探していると、今、最も関心を集めているオミクロン株ではなく、重症化の要因を探索した、ドイツ・ベルリンにあるシャリテ大学病院からの論文が目を引いた。 統一前のドイツに留学し、東西ドイツが統一されたあと、シャリテをはじめとする東ベルリンの研究所が新しく生まれ変わり、

  • 10月31日 ネズミの脳を少しでも人間に近づける実験(10月27日 Nature オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    遺伝子の系統樹で見ると、ネズミは犬やなどより遙かに人間やサルに近い。すなわち我々と同じ仲間と言っていい。最初からこの点を考えてマウスが実験動物として選ばれたとは思わないが、幸いにもマウスを用いた動物実験系が最も整っていることは、動物から人間への進化を、実験的に検証するためにも素晴らしい選択だったと思う。 今日紹介するニューヨーク・コロンビア大学からの論文は、人類特異的な遺伝子変化をマウス脳に導入したときに起こる変化を調べた研究で、人間脳の特性理解のための研究方向を代表している論文の一つと言える。タイトルは「A human-specific modifier of cortical connectivity and circuit function(皮質神経結合性を変化させ回路機能を変える人間特異的分子)」だ。 進化では小さな遺伝子変化の積み重ねも起こるが、新しい性質が生まれやすいのは、既

    quick_past
    quick_past 2021/10/31
    花束を用意しなきゃ
  • 8月30日 変異株や新型コロナウイルスに備えるワクチンは可能か(8月27日号 Science 掲載論文) | AASJホームページ

    先週、梅北2期、参加型ヘルスケアプロジェクトの活動として、WHO武漢調査にも参加された国立感染研究所・獣医科学部部長の前田健先生をお招きしzoom講演をしていただいた。熱い議論が続き、1時間を優に超してしまったが、その様子は近々このHPでも公開するので楽しみにしてほしい。今後多くの新しいコロナウイルスが、動物の中で人間に感染する機会を待っていることがよくわかる講演だった。 もしコロナウイルス、特にsarbecovirusにより、新しいパンデミックを覚悟する必要があるとすると、一つは広い範囲のsarbecovirusに効果がある治療薬とワクチンの開発が必要になる。 例えばすでに米国政府が170万回分を12億ドルで調達を決めたメルク社molnupiravirは、以前紹介した、経口投与可能、ウイルスRNA複製を中断しないで遺伝子変異を指数関数的に上昇させるという特徴で、レムデシビルを凌駕する可能

  • 8月25日 脳血管関門を通る核酸薬 (8月12日 Nature Biotechnology オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 8月25日 脳血管関門を通る核酸薬 (8月12日 Nature Biotechnology オンライン掲載論文) 遺伝子が重複して組織での遺伝子発現が正常より上昇してしまうと病気になる多くの病気が存在する。わかりやすいのはダウン症のように染色体数が増えることで起こる病気だが、MECP2重複症のように、局所的に遺伝子が重複する場合もある。このような状態の治療には、RNAase 依存性のアンチセンスオリゴ核酸(ASO)や、Dicer依存性の2鎖RNAを用いるRNAiやshRNAを用いて、mRNA量を半分程度に低下させる方法が考えられ、開発が進んでいる。 今日紹介する東京医科歯科大学からの論文は、DNAとRNAが結合したheteroduplexに脂肪を結合させることで、遺伝子制御効率を高められるだけでなく、全身投与した核酸薬が脳血管関門

  • 5月26日 ケトンダイエットと腸内細菌(5月28日号 Cell 掲載論文) | AASJホームページ

    これまでなんどもケトンダイエットの不思議な効果を示す論文を紹介してきた。例えば小児の難治性てんかん発作が4割の子供で軽減できるという報告などを見ると(https://aasj.jp/news/lifescience-easily/11255)、そのメカニズムを突き詰めてより簡便な治療法へと発展してほしいと思う。 今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文はケトンの効果の一つ原因が、腸上皮細胞のケトン体分泌、ケトン体による細菌叢の変化、細菌叢による免疫系の変化という複雑な回路を介していることを示した研究で5月28日号Cellに掲載された。タイトルは「Ketogenic Diets Alter the Gut Microbiome Resulting in Decreased Intestinal Th17 Cells (ケトンは腸内細菌叢を変化させ、腸管のTh17細胞を低

    quick_past
    quick_past 2020/05/30
    ファクトチェックはしないサイトなのかここ(;´Д`)オカルトっぽいのも多い
  • 4月13日 便の細菌叢移植による自閉症の治療(4月9日Scientific Reports掲載論文) | AASJホームページ

    先日マウス自閉症モデルで見られる社会性の低下を、乳酸菌の一種ロイテリ菌が改善できること、そしてこの作用が迷走神経刺激を介したオキシトシン分泌によることを示したテキサス・ベイラー医科大学からの論文を紹介した(http://aasj.jp/news/watch/9990)。ただ、これらの結果はすべてマウスでの話なので、是非ヒトでも早く研究を進めてほしいと期待を述べた。それから何日も経ってはいないが、自閉症を健康人の便から分離してきた細菌叢を服用させて治療できる可能性を示した論文がアリゾナ州立大学から4月9日号で報告された。タイトルは「Long-term benefit of Microbiota Transfer Therapy on autism symptoms and gut microbiota (自閉症の症状と細菌叢に対する細菌叢移植治療の長期効果)」だ。 腸内細菌叢が自閉症の症状に

    quick_past
    quick_past 2019/04/14
    元の論文では対象者の年齢が明かされてない。既往の疾病の有無もない。もともと胃腸のコンディションが最悪で、それが自閉症様な所見につながってた可能性、周囲のサポートや経年の変化が抜け落ちてる。
  • 8月29日:生まれつきの愛煙家 (Cancer Research オンライン版掲載論文) | AASJホームページ

    肺がんとタバコについては因果関係が明らかで、遺伝子より環境要因や生活習慣によるガンだとどうしても考えてしまう。しかしよく考えてみると、タバコ好きがニコチン中毒だとすると、タバコ好きとタバコ嫌いはいるはずで、この遺伝的背景により、肺がんにかかりやすい人と、かかりにくい人が別れるはずだ。たしかに従来の研究でニコチンに対する受容体遺伝子の変異により、タバコをどうしても多く吸ってしまい、その結果肺がんになる確率が高くなることが知られていた。 今日紹介するハワイ大学からの論文は同じ問題をニコチンに対する感受性ではなく、ニコチンの代謝に関わる遺伝子に焦点を当てて調べた研究でCancer Research オンライン版に掲載された。タイトルは「Novel association of genetic markers affecting CYP2A6 activity and lung cancer ri

    quick_past
    quick_past 2018/09/10
    個人的にアルコールもだけど、それを求めるのは日頃のストレスからの回避行動だと思ってたんだけど、重篤な中毒者には先天的原因を持つ可能性もあるということか
  • 5月26日 最近の自閉症研究まとめ(5月22日号JAMA Psychiatry掲載総説) | AASJホームページ

    今日、明日と自閉症についての総説や論文を紹介したい。最初はJAMA Psychiatryに掲載された総説で、自閉症研究の現状をコンパクトにまとめている。コロンビア大学、NY自閉症研究センター、やエール大学の専門家が書いている。タイトルは「The emerging clinical neuroscience of autism spectrum disorder (新しく現れてきた自閉症スペクトラムの臨床神経科学)」だ。 現役を退いてすでに5年を超えたが、分野を問わず論文を読んでいて実感するのが、自閉症スペクトラム(ASD)についての研究の進展だ。私が門外漢であるためより興味を惹かれることもあるが、多くのテクノロジーが集められて研究が進んでいるアクティブな領域であることは間違いない。ただ、実際の治療に携わる医師や心理士、教育者は、なかなか最新の研究をフォローするだけの余裕がないと思う。そんな

    quick_past
    quick_past 2018/05/28
    実際にはまだまだ詳しいことがわからなくて、原因も機序も違う症状が便宜上ASDって呼称にまとめられてるようなかんじ
  • 11月27日:うつ病は脳血管の障害?(Nature Neuroscience掲載論文) | AASJホームページ

    分子メカニズムをたどって行くと、新しい組織発生の中には外界のストレス反応と共通の分子を使っている過程が多いことがわかる。例えば、毛の発生にはEDDAと呼ばれる炎症性サイトカインTNFファミリー分子が関わり、その結果ICAM等の接着因子が誘導される。同じように哺乳動物で進化したリンパ節やパイエル板、乳腺などもそうだ。もちろん、多くの病気も最近では炎症との関わりで考えられるようになっており、動脈硬化は言うに及ばず、糖尿病でのインシュリン抵抗性も慢性炎症として捉えるようになっている。 今日紹介するニューヨーク・マウントサイナイ医大からの論文は社会ストレスで誘導されるうつ病も血管の透過性が上昇することで始まる炎症に起因する可能性を示した研究で11月号のNature Neuroscienceに掲載された。タイトルは「Social stress induces neurovascular pathol

    quick_past
    quick_past 2017/11/28
    磁界を外からかけて血流を増やすと、うつの改善になったとしているTMSは結局エビデンスが足らなかったんだけど、うつが器質的な方向からも起こるとすると、今までの抗うつ薬は何だったのかとも思えてくる。
  • 自閉症は人類進化に必須の性質(11月15日Time & Mindオンライン掲載論文) | AASJホームページ

    今日紹介するのは研究論文ではなく、人類進化において、自閉症傾向を持つ人の存在の重要性を考察した総説で、考古学に関する雑誌Time & Mindの11月15日号に掲載されている(http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/1751696X.2016.1244949)。論文はOpen Accessなので専門家だけでなく、グーグル翻訳などを使ってもぜひ一般の方も一読されることをお勧めする。タイトルは「Are there alternative adaptive strategies to human pro-sociality? The role of collaborative morality in the emergence of personality variation and autistic traits (人間の社会性にとっての適応戦略

    quick_past
    quick_past 2016/11/21
    尊敬や特別扱いってのは社会から浮いてろと言われることと紙一重な上に、そういう愛玩動物的な立場すら与えられなかった平均以下の能力しか得られていない発達障害者はそれこそ存在否定されるんだよなあ。
  • 1