近年、日本各地の公立図書館で講演会やセミナー、展示会など本を貸す以外のことも行われるようになった。そんな日本の図書館の動向を報告するために、2017年、著者は米シカゴで開催されたアメリカ図書館協会の年次大会に参加したところ、アメリカ図書館界のケタ違いのスケールの大きさに圧倒された。 「ヒラリー・クリントンら大物政治家からイーサン・ホークら映画スター、スポーツ界の人までが集い、自身の読書体験などについて語り合い、ライブラリアン(図書館情報学修士号所持者)たちがグーグルなどIT企業や出版社の人たちと熱く議論する場もありました。そんな中でも私が最も衝撃を受けたのは、ライブラリアンたちが自分たちの社会的役割を見定め、連帯感や気概を持っていたことですね」 本書は、著者が出合ったアメリカの図書館での事例紹介に始まり、その背景を解き明かしたものだ。 コネティカット州の図書館では館長が呼びかけて警察官や治