メニューは2つだけ…倒産から始まった米穀店主の逆転劇 総武線・新小岩駅の南口を出ると目に入る、アーケード商店街。全長約420メートル、約140店舗が軒を連ねるその商店街をのんびり10分ほど進むと、住宅街に出る。 それまでの賑やかさとは別世界のように静かでひっそりとした通りを歩いて2、3分、明かりをつけた軒先の黄色いテントが夕闇に浮かび上がる。テントにはなにも書かれていないから、ぱっと見はなに屋なのかわからない。 ある土曜の夜、その不思議な店を訪ねると、先にふたり並んでいた。店のなかをのぞくと、10人ほどのお客さんがカウンターに並び、黙々と食事をしている。カウンターの奥では、ひとりの男性がきびきびと動き回っていた。 2、3人のお客さんが会計を終えた後、男性に「どうぞ!」と呼ばれて、店内に入る。入口の正面にある券売機には、長文のメッセージが貼られている。 「当店はステーキ屋ではなく、ご飯屋です