1980年代後半、任天堂はアメリカ家庭用ゲーム機市場の95%を有する、圧倒的な存在だった。強固な小売ネットワークを築き、ソフトメーカーはファミコンでゲームを制作するために不利な条件であっても契約を結んだ。 「ゲーム業界の巨人、任天堂」。 誰もがそう思っていた時代、その巨人に立ち向かったゲームメーカーがある。それがセガだ。アメリカにおける当時のセガはアーケードゲーム専門の中小メーカーに過ぎなかったが、大きな野心を抱いていた。 世界最大規模の玩具メーカー マテル社にてバービー人形を世界的なヒット商品に育て上げ、スーパーヒーロー“ヒーマン”を生み出したトム・カリンスキーがセガ・オブ・アメリカのCEOに就任すると、ジェネシス(日本名:メガドライブ)の発売とともに攻勢に出るのであった──。 日本では1988年に発売されたメガドライブ。日本国内での累計販売台数を見ると、ファミリーコンピュータが1935