2010年という年が,日本の図書館業界において,長く記憶に留められる1年になったことは間違いないでしょう。それは日本図書館協会による「認定司書制度」の正式な発足,岡崎市立中央図書館(あるいは三菱電機インフォメーションシステムズ〈MDIS〉)事件(参考。杉谷智宏さんによる労作です),そして高知県立図書館と高知市立図書館の「合築」問題(参考1,参考2)によってである,と僕は見ます。この3つの「事件」は,1970年代より今日にいたるまで日本の国家レベルにおける図書館政策の不在,そして図書館業界(そのナショナルセンターであるところの日本図書館協会と,その有力な構成要素である公共図書館系団体である日本図書館研究会,図書館問題研究会を中心とする)が推し進めてきた,『市民の図書館』(初版1970年,増補版1976年)というひとつの不磨の大典政策文書に基づく,公共図書館運動の最終的な帰結と破綻を,業界に携
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