東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の影響が海洋生態系に広がっている。東北地方で放射性セシウムを含む魚介類が次々に見つかったほか、東京湾の魚からも微量のセシウムが検出された。海底での食物連鎖や河川からの流入で汚染の長期化が懸念されており、専門家は継続的な監視が必要だと指摘している。(伊藤壽一郎)河川から流入 日本原子力研究開発機構が3月に発表した試算によると、福島第1原発から出たセシウム134と同137は計2万4700テラベクレル(テラは1兆)で、約7割の1万7100テラベクレルが海洋に入ったとみられる。陸上と海上の放射線量から推計した。 原発の汚染水経由で海に直接流入したのは7100テラベクレルで、残る1万テラベクレルは大気中に拡散してから海面に降下したという。 これを基にセシウム137の海洋拡散をシミュレーションしたところ、1リットル当たり0・1ベクレル以上の海水は3月時点で