政治はもとより経済や経営まで、統計が思考判断の基準になっている。だが、統計自身は“ヤバい”ものらしい。 英国政府が統計を基に行っている、様々(さまざま)な政策。その多くが失敗していると、同国議会・下院図書館所属の統計学者は、大胆に指摘する。統計ばかりか、それらを使った予測モデルもまた信頼できない。世界の一流の経済学者も、2008年の金融危機を予測できなかった。国連の提唱する「持続可能な開発目標」ですら、個々の達成目標は曖昧なままだ。
アベノミクスの10年、労働者にツケ…「意外。教科書にはなかった」 元首相の指南役・浜田宏一氏インタビュー 大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)
「サラリーマンの街」と呼ばれ、飲食店がひしめく東京・新橋。昨年末、新型コロナ禍で迎えた3回目の年の瀬は政府による行動制限がなく、忘年会などで押し寄せる人波を複雑な心境で見つめる男性がいた。 新橋駅近くに診療所を構え、コロナ患者の往診に奔走してきた在宅医の佐々木淳さん(49)。感染「第8波」が拡大局面に入っていた時期。年明けには全国の1日当たりの死者数は過去最多を更新した。第8波で亡くなった受け持ちの患者も少なくなかった。
「人手が足りない。普段は接客にあたらないスタッフがフロントで荷物の受け渡しを手伝うなど、1人2役でやっている」。東京・浅草の雷門近くの浅草東武ホテル(台東区)で、総支配人を務める小賀与敬(おがよしひろ)さんは実情を明かす。 背景にあるのが海外観光客の急増だ。このホテルの1月の外国人宿泊者数は、水際対策が緩和された昨年10月の4倍。観光業界ではコロナ禍で多くの人材が離職し、従業員数は2020年10月の開業時より2割近く減った。昨秋から臨時アルバイトを募集したが「人員の補充が追いつかない」。
東京都世田谷区が新たな区史の編さんを巡って執筆者全員に著作権の譲渡を求めた問題で、区は反対していた青山学院大の谷口雄太准教授に執筆させないことを決めた。2023年度の執筆者の委嘱更新に伴い、区が求めていた著作権譲渡の承諾書が3月末の期限までに提出されなかった。区の担当者は「発行時期や区史の内容を含め、区が責任を持って事業を進めるため」と説明した。 谷口氏は中世史を担当する予定だった。2月に区から配布された承諾書で、執筆者の許可がなくても区側で原稿を修正できる「著作者人格権の不行使」を含めた著作権の譲渡を求められ、「行政の解釈で都合よく歴史を書き換えることが可能になる」と見直しを訴えていた。本紙の取材に「関係者と今後の対応を協議する」と話した。 区によると、執筆担当の大学研究者や区内外の学芸員ら41人のうち39人が、著作権譲渡の承諾書を提出。残る1人は、他の仕事を理由に辞退した。24年からの
16日本紙朝刊1面に、森友学園問題で自殺した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんを巡る訴訟の記事「『不意打ち』で改ざん究明阻む」と、「国交省 統計書き換え」の記事が並んで掲載された。この紙面に対し、読者から「なぜ財務省は『改ざん』で、国交省は『書き換え』なのか、教えてほしい」との意見が届いた。何が違うのか。 (読者部・須藤恵里)
5年に1度、農林水産省が実施する国の基幹統計「農林業センサス」の一部で、60年以上の歴史がある「農業集落調査」の存廃がいま、議論になっている。次回2025年について、農水省が「実施が困難」だとして廃止の方針を示したところ、研究者らが猛反発。継続を求める署名は1000人を超えた。一方で、基幹統計は、相次ぐ不正で信頼性が低下。統計にかかわる職員の減少も進む。国の政策立案を支える重要統計は、大きな変革を迫られている。(特別報道部・山田祐一郎)
原子力規制委員会は26日の定例会合で、地質データに関する審査資料の不適切な書き換えが判明した日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、資料の作成方法が改善されたとして、中断していた再稼働に向けた審査を再開することを決めた。審査を有利にするために意図的に書き換えたかどうかは「確認できなかった」とした。 規制委は、原電の社内規定には、審査資料に地質データを記載する際の明確なルールがなかったが、規定を改め、データを変更しないなどのルールを定めたため、改善が確認できたとした。 原電によるデータ書き換えは2020年2月の審査会合で、規制委側の指摘で判明した。原子炉建屋直下の断層が地震を引き起こす活断層かを判断する重要な地点について、ボーリング(掘削)で取り出した地層の状態を、活断層の可能性につながる「未固結」から、可能性の否定につながる「固結」に書き換えるなどした。規制委は昨年8月、
加藤勝信厚生労働相は7日の記者会見で、東京地裁が先月末、長時間の家事代行労働の末に亡くなった女性=当時(68)=の過労死を認めない判決を出したことについて、「国側の主張が受け入れられた」と述べた。家事労働者への適用を除外している労働基準法の改正が必要かについては、「(除外規定の)廃止には慎重な検討が必要だ」として規定廃止に否定的な考えを示した。 加藤氏は「個人の家庭の指揮命令の下で家事に従事している者は通常の労働関係と異なり、国家による監督規制が不適当であるということでいまの制度になっている。そうした考え方の経緯・実態も踏まえた検討が必要」と語った。 女性は寝たきり高齢者のいる家庭で24時間拘束され、1週間働いた後に急死した。東京地裁は待機時間などを含む1日19時間の業務中、労働時間は外部の会社に雇用される形式で行われていた介護業務の4時間半のみとして過労死を否定、労災を認めなかった国の決
専門職の人の労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度が、導入を主導した安倍晋三元首相らの当時の説明と懸け離れた運用になっている。経験が浅く希望もしていない人が高プロを適用された疑念が直近の調査で浮上。当時も今も所管の厚生労働相を務める加藤勝信氏は、当初の説明通りになっていない実態を指摘されても正面から答えず、制度を見直さない姿勢を示した。(池尾伸一、写真も) 高度プロフェッショナル制度 証券トレーダー、コンサルタントなど5業種の年収1075万円以上の社員を対象に労働時間の上限規制を外す制度。安倍晋三政権が政治主導で立案、過労死遺族や労働組合は「過労死を増やす」と反対したが2019年4月に導入された。今年3月末時点で21社22職場で665人に適用。2カ所の職場で在社時間と社外の労働時間の合計が月間400時間以上に達し、「過労死ライン」(残業含む労働時間月約273時間)を大幅に上回
「本当は嫌なのにサイン」の疑念 労働時間の上限外す高度プロフェッショナル制度、1割強「希望していない」 専門職の人の労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度の適用対象者に厚生労働省系の研究機関が実施したアンケートで、1割強が適用を「希望していない」と回答したことが分かった。高プロは本人が希望し同意しない限り適用できない仕組みだ。本当は希望していないのに同意に追い込まれている疑念が生じている。(池尾伸一) 高度プロフェッショナル制度 トレーダー、コンサルタントなど5業種の年収1075万円以上の社員を対象に、1日原則8時間などの労働時間上限の規制を外し、残業代も支払われない。今年3月末時点の対象は665人と前年から113人増加。21社の22カ所の職場で導入された。2カ所の職場で、在社時間と労働時間の合計が月間400時間以上に達し、「過労死ライン」と呼ばれる月100時間を125時間以上も上回
日本手話㊧と手指日本語㊨の違いを実演する、国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科の木村晴美教官。同学科のYouTube動画から。解説動画作成は慶応大・松岡和美研究室 6月に「東京都手話言語条例」が制定された。しかしこうした条例を巡っては、いくつかの大きな問題が存在する。そのひとつ、手話という語が何を指すのかについて言語学的な立場からの議論を紹介しよう。 手話言語条例 ろう者の全国団体「全日本ろうあ連盟」が2010年から、手話言語法、手話言語条例の制定運動を進めており、同連盟のモデル案を元に多くの条例が作られている。同連盟ウェブサイトによると7月11日現在の制定数は、34都道府県を含む456自治体。
49歳以下の世代 投票率1%下がると年7万7000円損します! 東北大教授が独自に試算<参院選2022> 10日に投開票される参院選では、低下傾向にある投票率にも注目が集まる。年齢が下がるほど、全国的に投票率が低くなる傾向があるだけに、識者は「49歳以下の世代は、投票率が1%下がると年間約7万7000円損をする」という試算を公表し、投票を呼び掛けている。(井上峻輔、我那覇圭)
家庭の貧困が子どもの学習理解や進学を阻む傾向が、内閣府の初の全国調査で明らかになった。貧困層の子どもの学校の授業が「分からない」割合が、比較的暮らし向きが安定している層の3倍以上で、進学希望が「中学・高校まで」にとどまる割合は4倍以上だった。生まれた環境が人生を左右しかねない「親ガチャ」がデータ面からも裏付けられ、対策が求められている。(渥美龍太) 調査は昨年2〜3月、全国の中学2年生とその保護者5000組に郵送で実施し、回収率は54.3%。世帯の収入を調べ「貧困層」「準貧困層」と、比較的に暮らし向きが安定している「それ以外」に分け分析した。 子どもにクラスの中での成績をどう思うかを聞くと、貧困層は「やや下のほう」と「下のほう」の合計が52%と、それ以外の26%の2倍に上った。授業の理解度で「ほとんどわからない」と「わからないことが多い」の合計は、貧困層が24%となってそれ以外の7.3%
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