21歳。忘れてしまう前に、死んでから2年少し経つ父の話をさせてくれ。 家は二代続いていた自営業で、祖父が亡くなった時に父はサラリーマンをやめ、三代目になったそうだ。 昔はけっこう上手くいってたんだって。儲かって儲かって仕方がなくて、お金を入れてた地元の信用金庫の人からは未だに感謝されてるぐらいだ。儲かったお金は祖父が連帯保証人になってた親戚のせいで吹っ飛んだので俺におこぼれがくることはなかったがな! でも俺が7才ぐらいのときかな、事業は上手くいかなくなってしまった。石油が値上がりしてな。夫婦仲は最悪になり、毎日喧嘩が聞こえてくるリビングと自室が離れていることが唯一の救いだった。すべてが最悪になってしまい、父は家を避けるように日中仕事場にこもり、帰るなりビールを煽る。高校生のときには家族が見てないところで酔った勢いで殴られてたので父のことは大嫌いだった。縋るように手を出した新事業も失敗。もと
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