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ブックマーク / ima-inat.hatenadiary.org (14)

  • ホッブズの民主制論――リチャード・タック『眠れる主権者』 - Hello, How Low?

    『リヴァイアサン』によれば、設立されたコモンウェルスは自然状態における人びとが互いに契約を交わすことによって成立する。群れのなかの個々人相互の契約によって主権が創設されるという、この驚くべきメカニズムの影に隠れて、ひそかにその群れのなかでは多数決投票が行われている。 コモンウェルスが設立されるのは、誰であれ一人の人かあるいは人びとの合議体に、人びと全ての人格を表す権利、つまり彼らの代表になる権利が、人びとの多数派によって与えられるということに、群れをなした人びと一人ひとり全てが一人ひとり全てと合意し誓約する場合である。賛成投票した人も反対投票した人も、一人ひとり全てが、その一人の人かあるいは人びとの合議体の全行為と判断を権威付ける〔…〕。Leviathan, chap.18. ホッブズはここで、人びとが誰に自分たちを代表させる権利を与えるのかを投票することになる集会――まさに契約のために集

    ホッブズの民主制論――リチャード・タック『眠れる主権者』 - Hello, How Low?
    rodori
    rodori 2018/09/09
    眠れる主権者(委託者)。
  • '16読書日記 4冊目『ユートピア的身体/ヘテロトピア』フーコー - Hello, How Low?

    ユートピア的身体/ヘテロトピア (叢書言語の政治) 作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,佐藤嘉幸出版社/メーカー: 水声社発売日: 2013/06メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 私が言いたいのは次のようなことだ。人は、中性的で無色の時間のなかで生きるのではない。人は、一枚の長方形の紙のなかで生き、死に、愛するのではない。人が生き、死に、愛するのは、明るい区域と暗い区域によって、階層の歳によって、階段の段差によって、くぼみによって、でこぼこによって、堅固な領域ともろく透過的で多孔質の領域によって、碁盤目状に区切られ、分割され、混交された空間の中である。通行のための領域が、街路、列車、地下鉄が存在する。一時の休憩所の開かれた領域が、カフェ、映画館、海水浴場、ホテルが存在する。また、休息と自分の家の閉じられた領域が存在する。ところで、互いに区別され

    '16読書日記 4冊目『ユートピア的身体/ヘテロトピア』フーコー - Hello, How Low?
    rodori
    rodori 2016/04/05
    中性。
  • '11読書日記9冊目 『ジャン・ジャック・ルソー問題』カッシーラー - Hello, How Low?

    ジャン=ジャック・ルソー問題 (みすずライブラリー) 作者: E.カッシーラー,Ernst Cassirer,生松敬三出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1997/12メディア: 単行購入: 2人 クリック: 134回この商品を含むブログ (6件) を見る110p 総計2551p I先生に頂いたので早速読んだ。短い論文ではあるが、大変に濃密で興味深い。まさに「ルソーをカントから読む」ということなのであろうが、それは面白い試みで説得的でもあるのだが、印象としてはカント過ぎるルソーを感じてしまった。いや、それほどルソーを読んでるわけではないのですが。 カッシーラーは、これまで(1932にこの論文は書かれた)ルソーが体系的・統一的に読まれてこなかったと指摘する。様々な研究書はあるがどれもルソーを一貫性のあるものとして読めていない、というのだ。それをカッシーラーは「ジャン・ジャック・ルソー問

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  • '14読書日記40冊目 『〈政治的なもの〉の遍歴と帰結』森政稔 - Hello, How Low?

    政治的なもの〉の遍歴と帰結 ―新自由主義以後の「政治理論」のために 作者: 森政稔出版社/メーカー: 青土社発売日: 2014/06/24メディア: 単行この商品を含むブログ (12件) を見る変貌する民主主義 (ちくま新書) 作者: 森政稔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/05/01メディア: 新書購入: 10人 クリック: 123回この商品を含むブログ (67件) を見る一部で待望されまくっていた筆者の論文集が刊行された。ちくま新書『変貌する民主主義』がこの時代に民主主義を論じることにつきまとうある種の退屈さ(!)から現代の民主主義をめぐる状況を鋭く論じ、広い読者を得た(に違いない)のに対して、今回のはあまり一般の方にはおすすめできないかもしれない。むしろ筆者が「政治学の思想系」と呼ぶ――門外漢にはほぼ分からないであろう持って回った感じのする、しかしその曖昧さの表現

    '14読書日記40冊目 『〈政治的なもの〉の遍歴と帰結』森政稔 - Hello, How Low?
    rodori
    rodori 2014/10/07
    ハイデガー。
  • '14読書日記27冊目 『事物のしるし――方法について』ジョルジョ・アガンベン - Hello, How Low?

    事物のしるし 方法について 作者: ジョルジョアガンベン,岡田温司,岡源太出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/05/11メディア: 単行 クリック: 48回この商品を含むブログ (12件) を見る「アガンベンによる人文科学の方法論」。三章だてで、それぞれ「パラダイム」、「しるし」、「歴史学と考古学」が扱われる。フーコーの議論を発展・展開させた議論だが、単にフーコーの紹介・解説にとどまるのではなく、彼の方法論の中心概念となるものを思想史上に位置づけなおし、いわばフーコーの方法論自体にその方法論を適用してみせるというメタな構造になっている。たとえば、第一章では、しばしばその近さが指摘されてきたにも関わらず、フーコーがクーンの「パラダイム」という概念を用いずに、エピステーメーと言ったり、言説体制と言ったりしたということの意味を、アリストテレスの「パラダイム」概念にまでさかのぼって

    '14読書日記27冊目 『事物のしるし――方法について』ジョルジョ・アガンベン - Hello, How Low?
    rodori
    rodori 2014/09/15
    paradigm(周りに言い渡す)
  • '10読書日記68冊目 『ジェンダー・トラブル』ジュディス・バトラー - Hello, How Low?

    ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱 作者: ジュディスバトラー,Judith Butler,竹村和子出版社/メーカー: 青土社発売日: 1999/03/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 75回この商品を含むブログ (60件) を見るp296 総計20964p やっと読んだ、ジェンダー・トラブル。もはやフェミニズム政治哲学の古典となっただと言えるだろう。書は、フェミニズムの理論、特に解放理論と言われるものに対して強力な批判を加えたものだ。禁止-排除だけではなく、むしろ生産的でさえある法によってジェンダーは構築される。いや、それだけではなく、自然的-身体的な性である「セックス」さえ言説の網の目に包囲されている。法の「あとに」構築された主体、これこそがジェンダーに他ならない。こうしたジェンダー理論に対して、打ち立てられてきた理論は解放理論であった。それは

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  • アレント『暗い時代の人々』序文とブレヒト「後世へ向けて」 - Hello, How Low?

    暗い時代の人々 (ちくま学芸文庫) 作者: ハンナ・アレント,阿部斉出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/09/07メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 12回この商品を含むブログ (31件) を見るリベラル・デモクラシーと神権政治―スピノザからレオ・シュトラウスまで 作者: 柴田寿子出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/09/01メディア: 単行購入: 2人 クリック: 4回この商品を含むブログ (13件) を見るお亡くなりになった柴田寿子先生のアレントについて書かれた論文(「政治的公共圏と歴史認識――アーレントにおける「光の物語」と「闇の記憶」」『リベラル・デモクラシーと神権政治:スピノザからレオ・シュトラウスまで』東京大学出版会、2009年所収)を読んでいたら、なぜかすごくぐっときてしまった。アレントにおいて公的領域に属さない事柄は、公的領域が人々が誰

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  • '11読書日記61冊目 『カント政治哲学講義』アーレント - Hello, How Low?

    完訳 カント政治哲学講義録 作者: ハンナアーレント,ロナルドベイナー,Hannah Arendt,Ronald Beiner,仲正昌樹出版社/メーカー: 明月堂書店発売日: 2009/03メディア: 単行購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る318p 総計18648p そんなにちゃんと読んでいない。アレントの議論の射程を、講義録編集者のロベルト・ベイナーが上手くまとめてくれていた。特に、アレントは判断力を、初期の頃のように活動者の政治的判断力としてのみ捉えているのではなく、観察者=注視者の判断力として捉えていたというところ。観察者=注視者は過去を、言わば、救うことができる唯一の存在である。それはニーチェの永劫回帰の思想ともつながりを持つ。どちらも、歴史という意味のない循環する時間に意味を与えようとする試みなのだ。ニーチェ、ベンヤミン、アレント。このあたし

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  • Party's over by Jan-Werner Müller - Hello, How Low?

    パーティーズ・オーヴァー ヤン・ヴェルナー・ミュラー (Jan-Werner Müller "The party's over" (Review of Ruling the Void: the hollowing of western democracy by Peter Mair) Jan-Werner Müllerは政治学者で、シュミットに関する著作が邦訳されていたり、憲法パトリオティズムや現代の民主主義の危機に関する著作が有名です。London Review of BooksでPeter Mairというアイルランドの政治学者の"Ruling the Void"を書評していて、今回の欧州議会選挙についても(その結果が分かる前の書評ですが)書かれています。 Constitutional Patriotism (English Edition) 作者: Jan-Werner Müller

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  • Hello, How Low?

    社会契約論: ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ (ちくま新書 1039) 作者: 重田園江出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/11/05メディア: 単行この商品を含むブログ (21件) を見るカントの政治哲学: 自律・言論・移行 作者: 金慧出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2017/08/18メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る精神の革命――急進的啓蒙と近代民主主義の知的起源 作者: ジョナサン・イスラエル,森村敏己出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2017/07/11メディア: 単行この商品を含むブログを見るどれも大変面白かったが、特に重田先生の『社会契約論』は先生自身の叙述のおもしろさも堪能できる。イスラエルはあまりに啓蒙を単純化しすぎているし、ウィッグ史観に陥りがち、ラディカルさ競争をしてみても大して意味はないと感じるが、ドルバック

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    rodori
    rodori 2014/02/22
  • '14読書日記11 『道徳哲学講義』アドルノ - Hello, How Low?

    道徳哲学講義 作者: T.W.アドルノ,Theodor W. Adorno,船戸満之出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/08/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る三つのヘーゲル研究 (ちくま学芸文庫) 作者: テオドール・W.アドルノ,Theodor W. Adorno,渡辺祐邦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る『三つのヘーゲル研究』が非常に良かったので、アドルノがカントの道徳哲学を講義した『道徳哲学講義』も読んでみた。結論として、非常に良いカント入門書――というかひとわたり入門書を読み終えた人が最後に読むべき入門書――となっていると思う。『啓蒙の弁証法』から入ってアドルノの晦渋さにうんざりした後にこの講義を読めば、

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  • 思想史の方法論、スキナー(とポーコック) - Hello, How Low?

    大学院のゼミで、思想史の方法論について、特にクェンティン・スキナー(Quentin Skinner)とジョン・ポーコック(John Pocock)のそれについて発表しました。「思想史の方法論、あるいは思想史は何の役に立つのかというぶしつけな問いについて――ケンブリッジの歴史家を中心に――」というものです。博論をかくにあたって、いろいろ方法について、あるいは書き方、大枠のストーリーについて考えていて、一度方法論――とりわけ僕はスキナーのそれに依拠しようと考えているのですが――についてちゃんとまとめてみるかと思ったのでした。当初は、かなりおおまかにまとめて類型化しようかと思ったのですが、書き始めてみると結構細かくなってしまって、割りとしっかりしたもの(だと自負するにすぎないのですが)になったので、発表した原稿をアップロードしてみようかと思いました。よろしければご覧ください。 https://d

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  • '13読書日記33冊目 『三つのヘーゲル研究』テオドール・アドルノ - Hello, How Low?

    三つのヘーゲル研究 (ちくま学芸文庫) 作者: テオドール・W.アドルノ,Theodor W. Adorno,渡辺祐邦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る303p 残念ながら版切れになってしまっているようだが、書はヘーゲルをどう読めばいいか、どう読めば面白く読めるかを、アドルノにはありえないほどの分かりやすさで――それは翻訳者の方針(とにかく短く切って訳す)によるところが大きいのだが――示してくれる。はっきり言えば、『啓蒙の弁証法』のあのわけのわからなさに比べて、はるかに読んで益するところの大きい――「益する」という発想こそ書でアドルノは批判するが――だと思う。 アドルノのヘーゲル読解の肝は、ヘーゲルの叙述の中にある非同一性に徹底してこだわるということである。弁証法は非同一性を

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  • '12読書日記19冊目 『社会学の根本問題』ゲオルク・ジンメル - Hello, How Low?

    社会学の根問題―個人と社会 (岩波文庫 青 644-2) 作者: ジンメル,清水幾太郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/08/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (16件) を見る143p 総計5249p どうも、このタイトルが悪い。いかにも教科書的で硬そうなタイトルである。しかし、とにかく内容が面白い。第三章「社交」は感動的でさえある。第四章も啓蒙主義からロマン主義、社会主義への思想史を明快に論じており、後のカッシーラーやテイラー、バーリンのひな形がそこに見出されるようである*1。これほど面白いのに岩波文庫で絶版なのは、非常に腹立たしい。おそらくこの真面目くさったタイトルのせいで売れないのだろう。残念極まりない。 ジンメルによれば、社会の最も根的な性格は相互作用(Wechselwirkung)である。 それ[社会]はそもそも機能的な

    '12読書日記19冊目 『社会学の根本問題』ゲオルク・ジンメル - Hello, How Low?
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