織田信長とはどんな武将だったのか。歴史評論家の香原斗志さんは「傍若無人なイメージがあるが、史実をみると決してそんなことはない。一度仲間になった相手は徹底的に信用していた。ドラマで描かれたような、自分しか信じない人物ではない」という――。 歴史への誤解を広めている「どうする家康」 主役である以上、徳川家康がそれなりに美化されるのは仕方ない。織田信長が家康の引き立て役として描かれ、ダークサイドが強調されても、ある程度は許容されると思う。これら歴史上の巨人が、これまでと違う描き方をされること自体が、安易に否定されるべきではない。 とはいえ、脚本家が思い描く家康像や信長像をドラマで鮮明にし、見せ場を作るまではいいが、あきらかに史実と認定されていることや、すでに学問上の定説になっていることまで無視するとなると、話は別である。NHK大河ドラマは、歴史ドラマとして楽しんでいる視聴者が多い以上、史実や定説