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ruru27のブックマーク (3,735)

  • 送り盆の日 - 傘をひらいて、空を

    ときどき、自分の頭に不満を持つ。私が考えたいこと、覚えていたいこと、想像したいことに脳が追いつかないときに、不満を持つ。頭が悪い、と思う。誰と比べて、というのではない。私の欲望に対して、私の頭が、悪い。 夜の夢はあまり見ない。年に何度か、ほとんどはとても単純な、パターン化された夢を見る。半分ちかくが逃げる夢で、半分ちかくが人の死ぬ夢である。要するに私は、逃げてきて、そして、死んだり死なれたりするのが怖いのだろう。ひねりがない。恐怖にクリエイティビティやオリジナリティがない。 人が死ぬ夢は近ごろ簡略化されて、すでに死んだ人が出てくるようになった。死んだ人が隣にいて、私はその人が死者だとわかっている。そういう夢である。複雑なストーリーなどはない。ただの一場面である。 人と並んで歩くときの位置は決まっている。私が左側である。どういうわけか自分でもわからないが、ずっとそうしている。右に人がいると落

    送り盆の日 - 傘をひらいて、空を
    ruru27
    ruru27 2019/07/17
    死者の夢 僕の右側 私の左側
  • この町を出て、永遠に戻らなかった - 傘をひらいて、空を

    東京の下町に生まれた。放課後の主な居場所だった区立図書館には「郷土の棚」というのがあって、区内の歴史だとか、区内を題材にした落語を集めただとか、区内が登場する近代文芸のオムニバスだとか、そういうのが並んでいた。気が向いていろいろ読んだら、都市計画の大家が私の出身地一帯を指して「東京のスラム」と称していた。私は十二歳で、スラムということばを知らなかったから、辞書のコーナーに行って引いた。そこにはなんだかたいへんな印象の漢字が並んでいた。都市、貧民、貧困、密集、荒廃、失業。 私が子どものころに住んでいた小さな一戸建てはトタン屋根で、隣もその隣もそうだった。雨が降ればばらばらと大きな音がするもので、窓をあけて手を延ばしたら隣の家の壁に触れるものだった。戸主が年をとって銭湯に通うのがきつくなるとようよう自宅に風呂をつくる、そういう町だった。敷地の大きい家はたいてい町工場を兼ねていた。町にひ

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    ruru27 2019/06/24
  • 憤怒の才能 - 傘をひらいて、空を

    嫉妬って怖いですよね。歓送迎会でよく知らない人がそう言うので、そうなんですね、と私は言った。とくに意味のない、社交上のせりふである。歓送迎会はまとめてやるので、ふだんはかかわりのないよその部署の人がいるのだ。 そうなんですね。私が相槌よりやや疑問に寄った四文字を発すると、そうですよと彼は言う。俺すごい嫉妬されるんで困ってるんですよ。 彼はそのように言う。恋愛相談だ、と私は思う。唐突だと思う。私の理解によれば、嫉妬というのは「あなたは私だけに恋していると私は思い込んでいたのに、そうじゃなかったんだ、あなたは別の人を好きなんだ、その人は私ではないんだ。私の世界はまちがっていたんだ、そんなの認めたくない」という感情である。 私があなたの好きな人のようであったらよかったのか。でも私はそのようでない。あなたはその人を好きになった。私はかなしい。私はくやしい。あなたが私を好きなあなたのままでいなかった

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    ruru27 2019/06/11
  • 愛された子のピアノ - 傘をひらいて、空を

    メイ先生の家に行く。メイ先生はわたしが小学生のときに近所でピアノ教室をしていたおばあさんである。息子たちが独立して久しく、五年前に夫が亡くなってひとり暮らしをしている。さみしかろうと思ってときどき行く。 わたしにとってピアノはただの手習いのひとつで、たまたま自分に与えられたものだった。幼いころからそういう認識を持っていたし、両親もそのような姿勢だった。だからてきとうにやっていた。妹も同じようなものだったはずだ。それでも、妹の弾くピアノには自然に人を引きつける響きがあった。妹はときどき、集中しすぎているような、ぼんやりしているような、半ばこの世にいない者のような顔をすることがあって、ピアノを弾いているときもしばしばそうなった。 妹は特段に造作が整った子というわけではなかった。目から鼻に抜けるような賢いタイプでもなかった。でも妹は特別な子どもだった。はじけるように活発で、思いもかけないことを言

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    ruru27 2018/11/14
  • 『最初の悪い男』感想対談ーー世界を閉じるための「恋」、世界に出ていくための「恋」|槙野さやか|note

    ※ ミランダ・ジュライ、岸佐知子訳『最初の悪い男』を読んだ方を想定しています。作品の展開に触れている部分があります。 いちこ(ブログ「イチニクス遊覧日記」、「ポテトチップス・ラブ」) 槙野さやか(ブログ「傘をひらいて、空を」) いちこ:そろそろ『最初の悪い男』の話をしたほうがいいですか。 さやか:失礼しました、気がついたら普通のおしゃべりになってました。冒頭からいきますか、冒頭からしばらく、主人公(シェリル)の生活の話ですよね。どういう女性だと思われましたか。仕事以外の私生活に他人の気配がなくて、ちょっと妙なルールにのっとって規則正しく生活していますよね。 いちこ:そうですね……、すごくプライドの高い人なのかな?と思いました。 さやか:プライド。 いちこ:思うに、彼女の”システム”に則った生活に他人の気配がないのは、他者の視線がそこに入り込んでしまったら、自分の生活、つまり自分自身の価値

    『最初の悪い男』感想対談ーー世界を閉じるための「恋」、世界に出ていくための「恋」|槙野さやか|note
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    ruru27 2018/11/14
  • madness_of_war - よこしまコンビナート

    *1 「敵はライフル銃を持った歩兵や、上空をする空軍兵ではなく、科学技術を悪用した恐ろしい『力』だ」 「the deadly power of abused technology」の検索結果 - Yahoo!検索(画像) March 4, 1983 - Bing images 1983年 1979年 *1:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130802-OYT1T00396.htm

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    ruru27 2017/03/11
    第三次
  • 夢の腐敗 - 傘をひらいて、空を

    わたし、夢がないんです。彼女はため息をついてそう言った。そうですかと私はこたえた。それは夜に見る夢ではなく、「きりんになりたい」とか「マラソンでサブスリーを達成したい」とか、そういう夢でもなく、「将来就きたい具体的な職業がない」という意味にちがいないのだった。どうして夢イコール職業なのかわからないけれども、若者が夢といえばだいたい職業のことだ。 将来の夢って、持ったこと、なくて。彼女は小さい声で言う。まるでそれが恥ずかしいことみたいに。私は説得を開始する。あのね、私は思うんだけど、夢がなくちゃいけないっていう根拠のない伝染病の源は少年マンガですよ。ワンピースとか。「海賊王に俺はなる」、これが偉いんだ、これが主人公なんだという刷り込み。実によろしくない。唯一の道だとか天職だとか、そんなものが都合良く全員に与えられるはずがないでしょう。ルフィが悪い。「海賊王に俺はなる」が悪い。あなたは悪くない

    夢の腐敗 - 傘をひらいて、空を
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    ruru27 2016/11/30
  • 大阪ニュース | 大阪日日新聞

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    ruru27 2016/10/16
  • AQUOS PHONE f SH-13C

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    AQUOS PHONE f SH-13C
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    ruru27 2016/10/13
  • Hear the Wind Sing

    SVA first year final animation (traditional pencil animation) Music - "Floating Away" by Lullatone Watch in High Quality if possible..

    Hear the Wind Sing
    ruru27
    ruru27 2016/10/12
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    ruru27 2016/09/29
  • 幸福に帰る - 傘をひらいて、空を

    重いでしょう、と彼女が言う。重いねと私はこたえる。ごめんねと彼女が言う。誰かに聞いてほしくて。ひとりじゃ受け止められなくて。 こういう会話は何度目だろう、と私は思う。何十回もしたと思う。私は、人の話を聞くのが好きだ。何を聞いてもおもしろがっている。おもしろおかしい話じゃなくても、今日みたいに重苦しい話でも「おもしろい」。要するに他人をコンテンツだと思っているのだろう。不幸な話であっても、自分まで苦しくなることはない。その場では喉の奥からなんか上がってくるような感じがするけど、引きずらない。共感能力というものがあんまりないのかもしれない。 けれども私はそのことを言わない。ちゃんと共感しているいい人みたいな顔をしている。善良で友情あふれるまともな人みたいな顔をしている。そのほうが得をする。友人だからといって自分の卑しいところまで見せる必要はない。そういう種類の嘘はほかにもいくつもついている。積

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    ruru27 2016/08/26
  • 川本三郎「私が選んだベスト5」 夏休みお薦めガイド | レビュー | Book Bang -ブックバン-

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    ruru27 2016/08/25
  • 二十世紀の100冊〈私的海外文学年表〉 - 読書感想文(関田涙)

    今回で、記事の数がちょうど百になりました(一覧は除く)。 元々「読書感想文」は、ホームページにおいて日記の一部として、ごくたまに書いていたものです。ある程度形式を決めて、定期的に更新するようになったのは、ブログに移行した二〇一一年五月以降のことでした。 取り上げるのは新刊でも話題のでもないので、時流から外れ、のんびりしたペースで楽しんで書くことができました。尤も、そのせいで、たった百の記事を書くのに何年もかかってしまいましたが……。 僕にとって読書遍歴を晒すのは、それなりに勇気のいることです。読書好きであれば、どんなを読んでいるかで、センスや好み、その人との相性が凡そ分かってしまうからです。いわば過去の恋人の特徴をこと細かく描写するようなもので、悪趣味の誹りを受ける可能性もあるでしょう。 とはいえ、僕の記事が、誰かの快適な読書の助けにならないとも限りません。 そう前向きに考え、しばらく

    二十世紀の100冊〈私的海外文学年表〉 - 読書感想文(関田涙)
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    ruru27 2016/08/23
  • 東京新聞:姫田 忠義氏 ドキュメンタリー作家:おくやみ(TOKYO Web)

    姫田 忠義氏(ひめだ・ただよし=ドキュメンタリー作家)7月29日、慢性閉そく性肺疾患のため死去、84歳。神戸市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は長男大(だい)氏。 54年に神戸市から上京後、民俗学者の宮常一に師事。アイヌの儀式や山間地の焼き畑農法などを撮影し、消えゆく文化や暮らしを映像作品に残した。76年、民族文化映像研究所を設立。89年にはフランス芸術文化勲章オフィシエを受けた。 生涯で100を超えるフィルム作品を製作。代表作に、北海道・二風谷で撮影した映画「アイヌの結婚式」(71年)、新潟県北部でダム建設を前にした山村の暮らしを追った映画「越後奥三面-山に生かされた日々」(84年)がある。テレビ番組では宮が監修した「日の詩情」。

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    ruru27 2016/08/23
  • ■ - phaの日記

    ツクツクボウシはミニマルだから好きだ。

    ■ - phaの日記
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    ruru27 2016/08/18
  • ■ - 作品メモランダム

    ひがなエリック・サティと格闘。少し調律が狂ったピアノはかえって好い感じ。ただ指を動かすだけならともかくとして、あのとぼけた感じ――とは小生が勝手に抱いている印象ですが――を醸しだすのは難しい。 脳裏にのこる何人かのピアニストの演奏を頼みにするも、脳裏でそれを聴くことができることとそのように自分が演奏できることとは当然のことながらまったく別のことであることよ。ましてやその脳裏の片隅にいつもこの写真(→)が並んでいるとあっては。 だた、サティがどこかに書いていたように、聴くよりも弾くほうがたのしいというのはホントウである(たとえどんなに下手であっても)*1。 *1:いや、ロラン・バルトだったか。あるいは両者だったか。

    ■ - 作品メモランダム
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    ruru27 2016/08/18
  • 『「しきり」の文化論』 - あとりの本棚 〜SFレヴュー〜

    『「しきり」の文化論』 著者:柏木博 出版:講談社 ISBN:9784061497191 お気に入り度:★★★★★ 内容 第一章 しきるということ 1.己と非自己/アイデンティティ 2.自己と他者 3.しきるという思考 4.空間的しきりと時間的しきり 5.社会的しきり 第二章 しきられる世界 1.聖と俗 2.日常と非日常 3.集団によるしきり 第三章 生活の中のしきり 1.住まいのしきり(遮断)の装置 2.汚れのしきり 3.私用と共用によるしきり 第四章 しきりの提案 1.ミース・ファン・デル・ローエによるしきり 2.中廊下式間取りの提案 3.50、60年代のモダンリビングの提案 4.オフィス空間目次より ここのところ自己と他者の境界について考えていた。人によっては自己と他者の境界があいまいな様で、これが私にはどうしてそういう感じ方ができるのか、よくわからない。観察していると、どうも自分自

    ruru27
    ruru27 2016/08/18
  • 2005-08-12

    つくば県立近代美術館にて開催中のケーテ・コルヴィッツ展に行きました。コルヴィッツは前回ご紹介したバルラハとは反戦の同志であり、また芸術家としてのよきライバルでもあり、互いの作風に深い影響を与え合ったと聞きます。私はこの展覧会にバルラハの面影を求めて向かったに過ぎませんでした。しかし、これが、とんでもない代物だったのです。 ケーテの作品は、作品を「理解しよう」などという私の臆病な理性を吹き飛ばし、魂を直に揺さぶるような霊的な力を持っています。その力は個人の好みで好きか嫌いかという次元を通り越した場所にあります。それはもちろん天才だけが達し得る境地です。しかしケーテの場合、特別な一人に賦与された才能によってではなく、また作家自信の数奇な運命や強烈な個性によってでもなく、ありきたりな絶望によってそこへ辿りつきました。彼女はそれをありのままに描いただけです。 ケーテ・コルヴィッツを万人におすすめす

    2005-08-12
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    ruru27 2016/08/18
  • 悲しき熱帯 - 風の歌が聞こえますか

    昔の話だけれど構造主義に関心を持っていた時期があった。 今考えればこれには理由があって、当時ホログラフィやフーリエ解析のコンセプトに 興味を持っていた上に(当時ブームになりかかった)ライアル・ワトソンやフルシ チョフ・カプラらのホーリズムにも関心が向いていた。 つまり一言で言えば『部分と全体のかかわり』に興味があったのだ。 そのくせ当時、僕は結局レヴィ=ストロースを読まなかった。 何故だろう? 今もってわからない。 最近やっとレヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」を読んだ。 当にすごいだなぁ、と思った。 松岡正剛氏が「千夜千冊」に書いている通り、このは実に奇ッ怪かつ破天荒なだ。 さて、このの内容や意義については松岡氏の文章を読んでいただくとして、ここでは 僕なりの読後感を書いてみたい。 まず「1巻は面白くない。ブラジル奥地の先住民への接触やそこでの体験を綴った2巻 のほうが面白い。2

    悲しき熱帯 - 風の歌が聞こえますか
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    ruru27 2016/08/18