クーデターを起こした国軍部隊は権力奪取に失敗しているので、正しくは「クーデター未遂事件」とするべきであるが、一般に未遂事件後のスハルト陸軍少将による首謀者・共産党勢力の掃討作戦に関連する一連の事象全体を指して「9月30日事件」と総称している。 事件の背景として、国軍と共産党の権力闘争、スカルノ大統領の経済政策の失敗にともなう国内の混乱、マレーシアとの対立により国際連合脱退まで至った、国際政治におけるインドネシアの孤立などがあった。この事件を契機として、東南アジア最大の共産党であったインドネシア共産党は壊滅し、スカルノは失脚した。 9月30日事件の詳細な経緯については、スハルト政権崩壊後の今日においても、未だ多くの謎に包まれている。以下の3つの他にも様々な陰謀説が主張されているが、いずれも推測の域を出ていない。 インドネシア共産党と近い軍人を使って反共的な将軍らを排除しようとしたスカルノと、